スタート時や以前の応援メッセージ

長崎大学長 片峰 茂
長崎大学長  片峰 茂

 

長崎大学病院
メディカル・ワークライフバランスセンターへのエール

 平成22年12月から1年余にわたって、文部科学省の「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会」委員として、医療過疎、医師不足の打開策としての医学部入学定員増及び医学部新設の妥当性等に関する議論に参加しました。眼目の医学部新設に関しては対立的議論に決着が着かず両論併記の結論となりましたが、1年間の議論を通して明らかになったのは、医師の数を中途半端に増やすだけでは問題は解決しないということです。地域間や診療科間の医師配置の不均衡を是正するための制度改革が不可避ですし、人口の超老齢化と右肩下がりの経済というこの国の状況を踏まえての福祉・介護をふくめた医療全体のシステム改革なしには、問題は解決しないのです。

 その中で、女性医師が一線で働き続けることのできるシステム・環境整備も最重要の懸案の一つです。平成20年度段階で、我が国の医師総数に占める女性の割合は18.1%です。近年の医学部入学者に占める女性の割合が1/3を越えていることから、女性医師比率は今後確実に増え続けます。最大の問題は、女性医師の就業率が免許取得直後をピークに下がり続け、11年後には76%まで落ち込むという事実です。多くの女性医師が、結婚・妊娠・出産・子育てを経験するこの時期におけるワークライフバランスの維持がきわめて重要であることが判ります。この国の医療の将来を鑑みれば、状況は“待ったなし”です。長崎大学病院においても、女性医師のワークライフバランス維持のための様々の環境整備方策を大胆に遂行するとともに、女性医師自身の意識改革を図る必要があります。

 そのような中、長崎大学病院メディカル・ワークライフバランスセンターがスタートします。今後のライフワークとしてこの課題に取り組むことを決断された初代センター長伊東昌子先生に敬意を表するとともに、心よりのエールを送ります。大学としてセンターの実効ある業務遂行のために全力で支援申し上げることをお約束して、センター発足のお祝いのご挨拶といたします。

長崎大学病院長
長崎大学病院長  河野 茂

 人にとって仕事と生活は人生の大きな部分を占めています。少子高齢化と経済の低迷、また東日本大震災など未曾有の危機に対して、私たちは前を向いてしっかり協力し合い前進して行かなくてはなりません。そこには将来を託する子供を育て、また頼れる社会を築くためにも高齢者を支援するためにワークライフバランス、すなわち仕事と生活の調和を目指すシステム作りが不可欠です。

 医療の現場を考えてみますと、女子医学生は2002年には43%、2011年には31%を占めています。看護師も平成9年412名であった数が、平成16年に527名、平成19年630名、平成22年764名、平成24年には864名とこの15年間で倍増しています。女性医師も医員などの非常勤は40%を占め、病院教員の17%は女性です。このように増加した現状において、いかに働きやすい病院環境を築いていくかが、大学病院に課せられた使命であります。

 この使命を果たすべく、今回メディカル・ワークバランスセンターを本院に設立できることは大きな意義があり、長崎大学が掲げる新任の教官に占める女性教官の割合を30%越える目標を達成する意味でも、大きな助けになると確信しています。全ての医療職の仕事と生活の調和のために、大きな貢献を期待し、病院としてもしっかりと支援をしていきたいと考えています。

長崎大学男女共同参画推進センター長 大井久美子
長崎大学男女共同参画推進センター長 大井 久美子

メディカル・ワークライフバランスセンターの誕生に寄せて

 長崎大学では平成21年度に採択された女性研究者支援プロジェクトの中で掲げたミッションに則って理系の女性研究者を支援して参りました。そのとき調査した結果では、長崎大学の女性研究者は140人余でありましたが、未就学児を持つ方は1割に満たないということがわかり、大変驚きました。もちろん、お子さんが3人いてがんばっていらっしゃる方もいましたが、30代40代の働き盛りでは独身者が多く、しかも、職位があがるにつれ女性研究者の数は減少しておりました。これは何を意味しているのでしょう。出産育児によってワークライフバランスがとれなかったため、せっかくのキャリアを捨ててやめざるを得なかったに違いありません。一方、日本では、医師は最も尊敬される職業の一つであります。医師は、患者の命を預かるのですから、一瞬たりとも気が抜けない、でも、非常にやりがいのある仕事を担っているのです。一人の患者を継続して診療にあたらなければならないケースも多いので、日曜も祭日もなく、自分の都合で休むわけにはいきませんでした。こういった事情から、女性医師は出産育児を機にやめてしまった方も少なくないと思います。しかし、よく考えてみて下さい。「日曜も祭日もなくずっと継続して診療にあたる」というのと「出産育児」を無理矢理ぶつける必要はないのではないでしょうか。しかも「出産育児」は一生の中で、限られた期間であります。女性医師のライフワークバランスをとる事は、男性医師にとっても、また、男女を問わず、若い研修医にとっても、働きやすい環境を作る事に他なりません。常日頃このように考えていたときに「メディカル・ワークライフワークバランスセンター」の誕生です。ホームページには、診療科からの女性医師ウェルカムメッセージをはじめ、わくわくするような記事がたくさん載っていました。うれしくてたまりません。これから、予想外の大変な事が待ち構えているかもしれませんが、地道に少しずつ前進していただきたいと思います。心から応援しております。

長崎大学長  片峰 茂

 長崎大学文教キャンパスに新しいシンボルが誕生した。教養教育棟と教育学部棟の間の広場に立つ“風の中で”と題する青銅像である。風の中で、顔を上げ両手を拡げ、前に向かって歩もうとする乙女の姿が表現されている。男女共同参画をとりわけ意識したわけではないが、結果として、50年以上にわたって正門に佇み続ける男性の“若人の像”と、格好のバランスとなった。

 製作者の佐藤敬助教授によると、このようなモニュメントは、様々な人々との無言の会話を通して、長い年月をかけ、その空間に調和しシンボルとして定着していくのだそうである。これから、“風の中で”は、時を超えて多くの学生、とりわけ女子学生たちに、様々の言葉を語りかけることになる。そして、彼女らが夢や志を育むための縁(よすが)として、キャンパスに定着してほしいものである。

 これからの日本社会の持続可能性が、女性の進出と活躍にかかっていることは間違いない。これまでの、男を立てる奥ゆかしさと謙譲の美徳で表現される古典的女性像を脱け出し、最先端で輝くことのできる女性人材をいかに多く育てることができるか。大学に課せられた最大のミッションの一つである。さまざまな逆風をしなやかに乗り越え、前に進みつづける、たくましく、そして美しく輝く女性職業人たちこそが、地域の創生やこの国の未来創造のカギを握っている。

 あじさいプロジェクトへの期待はきわめて大きい。

長崎県医師会会長  蒔本 恭

 長崎の医療の充実のためにも子育て中の医師を支えようという取組みの一環として、2014年4月に「長崎県医師会保育サポートシステム」が発足しました。同年6月から本格的に活動を開始し、利用者である医師、支え手である市民の皆さんへの周知を図っているところです。5月、9月、2回の研修会や新聞紙上への掲載などを経て市民サポーターは10月現在で60名ほどになり、医師の多様なリクエストにも対応できる状態に近づいてきました。市民の皆さんの「医師を支えたい」という温かい気持ちが感じられます。

 その市民の「意欲」を実際に「支援」という形にして医師に届ける上で、長崎大学病院メディカル・ワークライフバランスセンターの果たす役割は重要です。医師の具体的なニーズの把握やサポーター情報の適切な提供のおかげで、細やかな配慮をしながらのスピーディーな斡旋が可能になります。長崎大学病院メディカル・ワークライフバランスセンターと県医師会とのコラボレーションによって、子育て中の医師が心置きなく医療に従事し、忙しい中でも充実した日々が送れるよう、そして長崎の医療がますます発展していくことを願ってやみません。

長崎県福祉保健部医療人材対策室長 村田 誠

 今や「まち・ひと・しごと」が全国的なキーワードですが、離島を多く抱え、人口減少と高齢化が全国に先がけて現実の問題となっている長崎県では、「人が輝く、産業が輝く、地域が輝く長崎県づくり」を県政の基本理念に掲げ、一人ひとりをきめ細かく支える体制づくりを目指しております。高齢化の進展や疾病構造の変化、医学の進歩等による医療を取り巻く環境の変化に対応するためには、地域医療を担う人材の確保は大変重要な課題です。
 その中で、平成24年度より「医療におけるワークライフバランスセンター事業」を長崎大学病院に委託し実施していただいております。センターには、相談窓口の設置、潜在医師の把握によるネットワークの形成、情報発信、復職トレーニング、病院管理者への普及啓発などワークライフバランスにかかる多岐にわたる活動を通して、就労環境の整備を着々と進めていただいていると感謝しております。
 多忙な医療現場の中で、女性も男性も共に働きやすい環境を整えることにより、医療の道を志した時の高い理想をいつまでも追い求め、働き続けることができる長崎県を目指して、今後ともご協力をいただきますよう宜しくお願い致します。