2018年11月16日

「日本医師会女性医師支援センター事業九州ブロック別会議」
開催日時/平成30年11月10日(土)14:00~16:00
会  場/長崎県医師会館 大会議室

医師会関係者など約40名が集まり、オブザーバーとして南副センター長が、報告・協議内容を拝聴しました。

<南副センター長所感>
 日本医師会女性医師支援センターの事業のひとつである、九州ブロック別会議は、今年度、長崎県医師会が主幹で開催されました。メインテーマを「女性医師支援はどこまで進んだか」と掲げ、これまでの各県の取組を統合して、今後につなげたいという長崎県医師会瀬戸牧子常任理事の意気込みが伝わりました。

 長崎県医師会会長の森崎正幸先生、日本医師会常任理事の道永麻里先生のご挨拶のあと、道永先生より平成29年度の日本医師会女性医師支援センター事業報告がありました。日本医師会女性医師バンク(キャリア継続支援(離職防止)と復職支援(再研修含む)の2つの支援体制)においては、「常勤」「非常勤」に加えて、「スポット勤務」という月1-2回の勤務形態を増やして斡旋をスタートすると、求職者の登録は約3倍、就業成立件数は約2倍弱に増えたということでした。補助事業としては、「医学生、研修医等をサポートするための会」「託児サービス併設」の費用補助などがあり、センターも活用しています。全国で開催数や託児利用子ども数が年々増加していることを示されました。他にも、様々な取組があり、定着しているものも多いと感じました。

 その後、九州ブロック各県より、「病児保育の現状、他県にも伝えたい働く医師支援の試み」というテーマで発表がありました。
 長崎大学病院は院内病児保育施設がまだ無く、基幹型臨床研修病院においても、九州で長崎は一番保有率が低いという結果は、何が問題なのでしょうか?

●各県の基幹型臨床研修病院における三種の神器比較表(平成30年度)

基幹型
臨床研修
病院数
院内
保育施設
保有率
病児・病後児
保育施設
保有率
短時間
正規雇用
導入率
熊本県 14  64%  50%  93%
福岡県 45  85% 44%  61%
鹿児島県 10  90% 60%  90%
佐賀県 6  83%  17%  67%
宮崎県 7  71%  71%  86%
沖縄県 16  69%  44%  88%
大分県 12  83%  42%  92%
長崎県 15 87% 13% 67%

◆熊本県医師会
 院内病児・病後児保育施設の保有状況は、14基幹研修病院の中で7施設(50%)にあり、平成26年度の保有率(39%)より上昇した。11月から、山間部にある「そよう病院」「山都町」「ファミリーサポート」(熊本県)が協力して育児支援を行う「そよかぜサークル」が立ち上がった。
 かかりつけ医の訪問診療中に週1回からの外来業務を担ってもらう復職支援「お留守番医師制度(勤務中の保育料無料)」を行っており、開業医と離職中の医師のWinWinのマッチングにより、現在5件就業成立している。
 熊本大学医学部附属病院各診療科の医局長に行ったアンケート調査の結果報告があり、医局員を男性、育児中以外の女性、育児中の女性に分けてキャリア形成における各種割合を比較した。育児中の女性は、大学院生の割合、専門医の割合では、男性、育児中以外の女性と有意差はないが、学会発表の割合、英語論文投稿の割合、海外留学の割合は低いことを示し、育児中の女性医師のアカデミックな活動を支援する必要があると発表された。

◆福岡県医師会
 全国で20市ある人口50万以上の政令都市が、福岡県には福岡市と北九州市の2つある。いずれも20政令都市の中で、病児・病後児保育の施設数・延べ利用者数が10位以内という恵まれた環境にある。福岡市は、福岡市医師会や福岡地区小児科医会との連携も良く、北九州市は市外の病児も受け入れ可能である。今後県全体として広域化を目指したいと話された。女性医師の勤務環境調査に回答のあった基幹型臨床研修病院における院内病児保育保有率は44%で、平成27年度の保有率32%より上昇した。

◆鹿児島県医師会
 10基幹型臨床研修病院の院内病児・病後児保育施設保有率は60%(6施設)。

◆佐賀県医師会
 6基幹型臨床研修病院の院内病児保育施設保有率は佐賀大学医学部附属病院の1施設のみで17%。

◆宮崎県医師会
 7基幹型臨床研修病院の院内病児・病後児保育施設保有率は71%(5施設)。保育支援サービスモデル事業は、NPO法人に外部委託して運営しており、利用医師と保育サポーターの全体顔合わせ交流会を年1回開催している。

◆沖縄県医師会
 16基幹型臨床研修病院の院内病児保育施設保有率は44%(7施設)。預かり人数(定員)は3人が2施設、4人が3施設、6人が2施設。施設の規模や医師数が多いからといって病児保育預り人数(定員)が多いわけではない。院内病児保育施設を保有する7施設のうち、5施設は赤字経営のため、行政の補助を期待している。
 研修医を対象としたキャリア教育セッションを開催している。

◆大分県医師会
 12基幹型臨床研修病院の院内病児保育施設保有率は42%(5施設)。

◆長崎県医師会
 15基幹型臨床研修病院の院内病児保育施設保有率は13%(2施設)。九州ブロック内で院内病児・病後児保育施設保有率は最低の順位という、悲しい現実が公表された。婚活パーティ「女医コンin長崎」の後援を行った。

 続いて、「女性医師支援はどこまで進んだか~三種の神器をもとに各県の比較、各研修病院の比較~」というテーマで、ディスカッションが行われました。参加者からは、本会議で横断的にデータを集約し、各県の状況を比較検討できたことが、今後の取組参考のために非常に良かった、との声が複数出ていました。


2018年11月13日

「長崎医師保育サポートシステム」は、育児支援を必要とする医師と保育サポーター(子育ての援助ができる方)を、コーディネーターがマッチングを行うことで、医師の仕事と子育ての両立や就労継続を支援します。

★利用医師の声
icon_razz.gif仕事に専念する時間が増え、安心して子どもを預けて、資格試験の勉強や学会参加ができるようになりました。
icon_razz.gif週1回の利用ですが、カンファレンスや勉強会に参加でき、臨床的にも非常に役立っています。
icon_razz.gifパートナーや保育園のほかに頼れる先ができて安心感が持てました。
icon_razz.gif帰宅して、育児や家事に追われ、疲れてできなかった論文の準備に時間をとれるようになりました。

~活動実績~ 2018/4/1~11/7時点
新規登録:医師5名、保育サポーター25名

<登録状況>
・医師       48名(うち4~10月に利用した医師 19名)
・保育サポーター 133名(うち4~10月に活動した保育サポーター 25名)

<資料請求(認知経路)>
・医師       11件(メール、子育て医師のための説明会、相談業務など)
・保育サポーター  59件(自治会掲示板、ふれあいセンター、大学病院外来、テレビ・新聞など)

<主な活動内容>
◎サポートの頻度は、少数回から週6日、不定期など幅広くご利用いただきました。
◎サポート時間は、平均で1回2時間前後が多いです。
 ・医師宅やサポーター宅での保育
 ・保育園や幼稚園⇔医師宅の送迎
 ・習い事や塾⇔医師宅の送迎
 ・保育園から勤務先内託児室への送り
 ・病気のお子さんの医師宅での保育 など
 +保育と合わせて家事支援

●子育て中の医師の皆さま
仕事と子育ての両立で困っている方やお子さんが生まれた方、保育サポートシステムを利用してみませんか?
コーディネーターまでご相談ください。 お問い合わせや資料請求は、お気軽にこちらからお申し込みください。

●子育て中の医師を応援してくださる保育サポーターさんを大募集しています!
ぜひ、子育て支援の活動に力を貸してくださるようなお知り合い・ご友人・ご近所の方に、本システムをご紹介ください。
お問い合わせや資料請求は、お気軽にこちらからお申し込みください。
★保育サポーターの声はこちら

●保育サポートシステムの情報はこちらで随時更新しております。ぜひご覧ください。

※お問い合わせ先
長崎大学病院メディカル・ワークライフバランスセンター
長崎医師保育サポートシステム コーディネーター:有馬
E-MAIL:info01アットマークnagasaki-ajisai.jp
    (「アットマーク」を「@」に換えて下さい)


2018年11月8日

長崎大学病院 消化器内科(客員研究員) 南ひとみ先生のインタビューを追加しました。


2018年11月7日

【平成30年度 第3回復職&リフレッシュトレーニング 11/5(月)行いました!】

復職&リフレッシュトレーニングは、育児・介護等で休職・離職中の医師に医療現場との気持ちの距離を縮めてスムーズな復職を促すプログラムです。就労中の方も、知識をリフレッシュしたい方はご参加いただけます。

今回は【急性冠症候群~見逃してはいけない胸痛~】をテーマに開催しました。参加者は9名で、うち初参加は2名でした。大学院生1名、地域病院1名、育休中4名、休職中3名でした。
「医学部不正入試問題」に始まり、「働き方改革」「女性医師支援」に世間の注目が集まっていることなどから、今回のトレーニングが「女性医師の復職講習会」として、NHK長崎放送局よりTV取材が入り、放送されました。

icon_exclaim.gif復職&リフレッシュトレーニングのDVDを貸し出ししています。視聴をご希望の方は、センターまでご連絡ください。


↑講師の循環器内科 米倉 剛先生

急性冠症候群(ACS:acute coronary syndrome)とは、不安定プラーク破綻とそれに伴う血栓形成により生じる、不安定狭心症、急性心筋梗塞、虚血に基づく心臓突然死の総称です。診断のために、胸痛の特徴、心電図をみるときの注意点は、①まずST上昇の有無を確認、②キャリブレーションの確認、とのことです。短時間で結果のでる心筋バイオマーカーは有用であること、胸痛発症からの時間により治療の選択が異なることなどを教えていただきました。また、植込型補助人工心臓やTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)の最新の治療の映像を供覧しました。

 

<<参加者アンケートより>>
・胸痛をみた場合の対応について、知識の再確認ができました。
・理解できるか不安でしたが、無理のない内容で楽しく受講できました。
・胸痛の患者さんに対する鑑別診断、ファーストタッチの際にするべき検査など再確認することができ、臨床に復帰する前に受講できて良かったです。


トレーニング後の「ママドクター意見交換会」には、7名が参加してくれました。妊娠を契機に、一旦退職された先生が3名いらっしゃいましたが、みなさん、復職を予定しているとのことでした。保育園入所のことや、お子さんの発熱で頻回に呼び出されたこと、ワンオペ育児になりそうなこと、当直・日直について夫とのスケジュール調整がうまくできるかなど、復職前の不安を共有しました。いろんな場面に備えて、センターが行う両立支援「長崎医師保育サポートシステム」の活用をお勧めしました。

icon_redface.gif託児室では、育休中・休職中の方5名のお子さんをお預かりしました。
 
↑託児風景                 ↑お迎えの様子

icon_exclaim.gif復職&リフレッシュトレーニングに関する記事はこちら


「女性医師等キャリア支援連絡会議 全国会議」
開催日時/平成30年11月2日(金)13:30~16:00
会  場/東京医科歯科大学M&Dタワー 鈴木章夫記念講堂
主  催/全国医学部長病院長会議

厚生労働省平成30年度女性医師等キャリア支援モデル全国展開事業に採択された一般社団法人全国医学部長病院長会議事務局が主催する「女性医師等キャリア支援連絡会議」の全国会議に長崎大学の代表として南副センター長が参加しました。

<南副センター長所感>
 全国医学部長病院長会議(以下AJMC)が、厚生労働省平成30年度女性医師等キャリア支援モデル全国展開事業に採択され、全国における女性医師支援等の取り組みを紹介し、効果的な取り組みの後押しをしていくこととなり、今回、女性医師等キャリア支援連絡会議全国会議が開催されました。長崎大学は、都道府県女性医師等キャリア支援協議会の幹事大学として、長崎県で連絡協議会を開催し、関係機関と意見交換を行うことになります。

 会議の冒頭、AJMC山下英俊会長、文部科学省西田憲史高等教育局医学教育課長の挨拶がありました。次に、全国会議開催の趣旨説明をAJMC男女共同参画委員会相原道子委員長が行い、全国の各医療機関において実施されている女性医師等がキャリアと家庭を両立できるような取組を収集・分析し、効果的な支援策の全国展開を支援することで、女性医師等のキャリア支援の充実を図ることが本事業の目的だと話されました。長崎大学病院も、支援してもらえることを期待します。
 日本医師会から「女性医師支援センター事業について」の報告がありました。参加者からは、現在関東地区で東京女子医大と連携して行っている再研修事業を、各地区に拡げ、再研修できる施設を設置してほしいという希望が挙がりました。
 厚生労働省からは「厚生労働省が取り組む女性医師等勤務環境改善」について説明がありました。平成28年度の調査結果より、20代~40代の子どものいる女性医師は、その他の医師(男性:子どもあり・なし、女性:子どもなし)と比較して勤務時間が短いが、50代以降は勤務時間に大差がなくなること、つまり、子どものいる女性医師は、50代から勤務時間が増加するが、その他の医師は、年代が上がるにつれ勤務時間は短くなったと示されました。これは、病院勤務の医師についての調査結果ですが、子どもの成長とともに、子どものいる女性医師の勤務時間は上昇し、男性医師は、子どもがいてもいなくても、勤務時間に大きな影響が出ていません。子育て期間中は女性の方が往々にして勤務時間の調整をしている結果ではないかと思われました。男性の働き方が変わり、性別役割分担意識がなくなれば、子どものいる女性も働きやすくなると思います。
 また、平成29年度の女性医師への調査結果より、仕事を続けるうえで必要な制度や仕組み・支援対策は、第1位が「病児保育」でした。長崎大学でも、院内病児保育施設の設置は、女性医師の悲願でもあります。厚生労働省は、各病院が抱える保育・病児保育の莫大な運用資金に対しても、今後診療報酬改定などで対応していく予定だと話されました。
 参加者からは、医学生へのキャリア教育のみではなく、研修医や指導医講習会などでのワークライフバランスの教育を行うべではないかと質問があり、平成32年度には研修医ガイドライン改定が予定されており、その際に考えるとの返答がありました。

 その後、基調講演として10年以上女性医師等のキャリア支援の取組を継続している3大学の講演がありました。

◆旭川医科大学 二輪草センター
 私たちのセンターの初年度に見学・意見交換をさせていただきました。活動開始とともに、院内24時間保育園を開設、2年後には病児・病後児保育所を開設しています。また、バックアップナースシステムは画期的で、子どもやご家族の急な病気・介護・受診などで休む看護師の代理として、勤務してもらうスタッフで病児保育も担当できるそうです。10年間の活動で、当事者意識が変わり、組織が変わり、育児休業取得者数は増加、女性管理職が増加、女性教員が増加、看護師退職率の低下など、働きやすい環境が整備されているとのことでした。

◆東京女子医科大学 女性医療人キャリア形成センター
 「高い知識・技能と病者を癒す心を持った医師の育成を通じて、精神的・経済的に自立し社会に貢献する女性を輩出すること」という建学の精神に基づき、さまざまな支援を行っておられます。日本医師会が連携している、再研修部門も充実しており、メディカル・ワークライフバランスセンターのホームページで東京女子医科大学のe-learningのバナーを設置し、紹介しています。女性の上位職への積極登用、女性科(女性医師(専門医)・女性医療スタッフによる診療・女性特有の疾患に限らない・女性医師を希望する患者の診療が可能)の新設で女性教授を増やし、「ガラスの天井を突き破れ!」と頑張っておられます。女性教員が増えることで、男性中心の運営から新しい変化が期待できます。

◆九州大学 きらめきプロジェクト
 九州で最初に活動を開始していますが、もともと女子医学生比率が少なく、現在も教員の女性比率は8%程度と低いそうです。参加者からは、「きらめきプロジェクトのスタッフ枠は、短時間勤務ができるとあるが、男女の賃金格差を生んでしまう懸念があるのではないか」との厳しい質問が挙がりました。長崎大学病院の「復帰医」も、類似の短時間枠で、長期間離職した医師の慣らし復職には好都合ですが、育休明けの復職の場合、社会保障がなく、保育園入所条件もクリアすることが難しくなるという欠点もあります。九州にある各大学の10医学部では独自の女性医師等支援がスタートしており、長崎大学の「あじさいプロジェクト」も、頑張っていると紹介していただきました!

 基調講演を拝聴し、長崎大学病院において、これからできることがあると実感しました。司会の東京女子医大医学部長からは、「アジアにおいても、家事・育児を全部抱えている女性医師は日本くらいだ」というコメントがあり、今後、私たちのセンターが行っている両立サポート「長崎医師保育サポートシステム」の拡大が大事ではないかと思いました。


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