平成28年度 医師の両立支援状況調査結果のご報告
2016年7月6日

1.<調査の目的>
病院経営者・管理者として、ワークライフバランス施策に対する認識を把握し、長崎県内病院の育児・介護休業制度等の両立支援策の取り組み状況や短時間勤務制度利用等の実態調査を行う。
毎年度継続調査を実施することで、傾向と対策とし、活動に反映させるため。

2.<対象と方法>
実施日:平成28年6月6日
調査対象:長崎県内152病院
調査方法:調査票を郵送し、同封の返信用封筒およびメール・FAXで回収。
質問内容:常勤・非常勤医師数、子育て中の医師数、職場環境の整備について、ワークライフバランス施策の認識についてなど。
調査票はこちらをご覧ください。

3.<結果と考察>
 配付・回答数(回答率):配付152病院 回答102病院(67.1%)
結果:集計抜粋グラフはこちらをご覧ください。

 今年度の調査の回答率は102/152=67.1%、長崎医療圏と県央医療圏からは、75%を超える病院よりご回答いただき、3年連続で県内100病院以上からご回答いただきました。また、これまで100病院の担当部署よりメールアドレスをご登録いただいており、そちらへ回答の再依頼も行い、業務を簡略化できました。

 長崎県内の病院に勤務する女性医師の割合は、最近4年間は22-23%で推移しています。勤務形態は、女性医師の場合、常勤55%、非常勤45%と非常勤勤務の割合が男性(非常勤割合25%)より多いという結果でした。また、今年は子育て中(小学6年生までのお子さんを養育中)の女性医師の数と分布を把握するために、各病院にその人数をご報告いただきました。その結果、子育て中の女性医師は、女性医師全体の24%でした。長崎県内の病院勤務医師全体では6%となり、子育て中の女性医師はマイノリティです。

 両立に関する取り組み姿勢については、休暇や休業制度(産前・産後・育児・介護)の周知・取得促進には半数以上の病院が積極的に取り組んでいる結果でした。質問した取り組み項目の中では、男性の家事・育児参加の奨励について取り組んでいる病院が26%と、ほかの項目よりかなり少ない結果でした。この取り組みが進むことにより、女性の社会進出が促進されるのだと思います。

 ワークライフバランス施策についての考えでは、ワークライフバランスを重視している割合が、H25年32%から徐々に増加しており、H28年は39%となっています。トップ主導で推進されている割合も、H25年18%からH28年30%まで増加傾向です。施策によるメリットでは、病院業績が向上すると考える割合が22%と4年間で最多でした。デメリットでは、病院にとって負担が大きいと感じる割合が7%と、4年間で初めて10%を下回りました。メリットを感じる割合は増加傾向、デメリットを感じる割合は減少傾向にあると思われました。

 勤務環境の整備については、仕事と生活の両立ができるように配慮した制度は、60%前後の病院に整備されていました。施設については、女性医師が利用中の院内保育施設や、院内病児保育施設があるのは、10%以下でした。日本全体として、職場内保育施設を増やそうとしている現状です。病院は、女性の多い職場です。ぜひ、施設の整備も充実していただきたいと思います。

 医師の負担軽減に配慮している取り組み事例として、一番多く回答があったのが医療クラークの配置(29病院)でした。勤務時間削減(16病院)や当直翌日の勤務緩和(15病院)が続きました。今後も、取り組み病院が増えていくことが期待されます。

 最後に、両立支援に関する意見として一番多かったのは、県北・離島では常勤医師が少なく、ワークライフバランスの取り組みが困難ということでした。今回の調査で明らかになったのは、病院に勤務する女性医師(596名)のうち35%(206名)が長崎大学病院に所属していること、子育て中の女性医師(145名)のうち半数以上の51%(74名)が長崎大学病院に所属していることでした。県内全域を考えると、極端に偏在していますが、長崎大学病院としては、女性医師のキャリア継続を可能にする環境をさらに整備していく必要性を感じました。そして日本で最多の有人離島を持つ長崎県においては、県内各地域で、女性医師・医療人をサポートする環境が整備されるよう努めてまいりたいと思いました。

icon_razz.gif調査へご協力いただきました各病院のみなさま、ありがとうございました。