九州大学病院きらめきプロジェクトキャリア支援センター主催
「九州大学病院きらめきプロジェクト10周年記念講演会」
日時:平成28年9月20日(火)13時~16時
会場:九州大学医学部 百年講堂大ホール
台風の影響も心配されるなかでの参加でしたが、南副センター長から記念講演会の報告です。
九州で最初に女性医師支援を立ち上げた九州大学、現在は大学病院が主体となって活動し、活動開始から10周年を迎えた記念講演会に参加しました。
開会の言葉を述べられたのは、九州大学病院長、および、きらめきプロジェクトキャリア支援センター長の石橋 達朗先生で、平成22年から男女にかかわらず病院の医療人をサポートしてこられました。
第一部のきらめきプロジェクト活動報告では、副センター長 樗木 晶子先生から、「医師の仕事を簡単にやめてはいけない」という根本的な考え方のもとに、将来ステップアップを約束したシステム「きらめきプロジェクトスタッフ(短時間非常勤雇用・最大3年間)」を含め、種々の支援内容について説明がありました。長崎大学病院にも、復帰医・パート医という短時間勤務可能な制度はありますが、各診療科の医局に所属するため、その後どのような働き方(ステップアップ)になっているのか、残念ながら当センターでは全体像は把握できていません。
きらめきプロジェクトスタッフが実施しているランチミーティングは、子育て中の悩みも相談し合える場で、当センターでも同じようなシステムを持ち、短時間勤務中の医師とかかわることができればいいと思いました。
第2部の記念講演では、福岡学園福岡歯科大学理事長で、プロジェクト発足当時に九州大学病院長であられた 水田 祥代先生から「輝いて美しく:女性医療人へのエール」というタイトルで力強く励ましていただきました。女性医師の職位はまだまだ低く、高めるためには「自ら主張し、自ら手を挙げよ!」「健康で賢く、温かく、そして強い意志を持つように!」「完璧な両立の束縛から自由になる!=一生勉強し一生仕事をするのだから、ゆっくりでいいし、家事育児のアウトソーシングも考えよう!」と話されました。
また、沖縄科学技術大学院大学(OIST) 副学長の久保 真季先生からは、「男女共同参画は大学グローバル化のキーポイント」というタイトルのお話しの中で、日本は女性が活躍しない国、していない国という評価を受けている、無意識の偏見の除去を目指す必要がある。はしごではなく、ジャングルジムのようなキャリア形成、成功者となり嫌われることを気にしない、最初から仕事を制限しない、完璧主義スターを目指さないなど、水田先生と同じく、力強いメッセージを発信されました。OISTでは、重要な会議は時間内、子連れ出張にも補助があるそうです。日本の支援は甘すぎる部分があり、教授などマネージャーの研修が大事だとも話されました。
最後に、社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 会長 古川 貞二郎氏が、「豊かな社会と女性の活躍」というタイトルで、人に対して尽くす喜びを感じること~患者さんに対して、家族に対して~、自覚と誇りと使命感を持つこと、社会で役立って初めてキャリアは役に立つこと等、医師の現状を理解されたうえでの女性医師への期待のコメントを述べられました。
樗木先生はじめ演者の方々の的確なご指摘が胸に響きました。10年継続されて成熟した、九州大学・九州大学病院の活動の素晴らしさを感じました。当センターが推進するあじさいプロジェクトは、今年で5年目になりました。これからも、きらめきプロジェクトの後を追いながら、頑張っていきたいと思います。