岡山大学主催 岡山MUSCATフォーラム「育メン・育ボス・育自」に参加しました
2017年11月7日

岡山MUSCATフォーラム「育メン・育ボス・育自」

日時:平成29年11月3日(金・祝)13:30~16:30
会場:地域医療人育成センターおかやま 3階 MUSCATホール
主催:岡山大学医療人キャリアセンターMUSCAT

■基調講演  『国における女性医師支援の取組』
演者:櫻本 恭司 氏 (厚生労働省 医政局医事課 医師臨床研修推進室 医師臨床研修専門官)
■特別講演  『男性も女性も輝けるワークライフバランス~キャリアを続ける方法~』
演者:石蔵 文信 氏 (大阪大学人間科学研究科 未来共創センター 招へい教授)
■パネルディスカッション
 『育メン・育ボス・育自』
-パネリスト-
・神﨑 寛子 氏 (公益社団法人 岡山県医師会 理事)
・岡田 あゆみ 氏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 小児医科学 准教授)
・池田 宏国 氏(岡山大学病院 乳腺・内分泌外科 助教)
・小川 千加子 氏 (岡山大学病院 産科婦人科 医員(キャリア支援枠))
-コメンテーター-
・櫻本 恭司 氏(厚生労働省 医政局医事課 医師臨床研修推進室 医師臨床研修専門官)
・石蔵 文信 氏 (大阪大学人間科学研究科 未来共創センター 招へい教授)


<南副センター長感想>
 岡山大学では、平成19年より「女性を生かすキャリア支援計画」に取り組み、平成22年度より県の委託を受けて「MUSCATプロジェクト」として岡山県下の医師の出産・育児・介護を支援し、環境整備を行っておられ、すでに11年目だそうです。「あじさいプロジェクト」立ち上げの時から、参考にさせていただいている先駆者であり、今でも私たちの前を走っておられます。

 今回8回目となるMUSCATフォーラムでは、『育メン、育ボス、育自』というテーマで、男性に焦点を当てて男女共同参画・女性医師支援を考える会でした。これまでのMUSCATフォーラムと比較して、男性参加者が多いとのことで、岡山の男性医師の意識はすでに高まっていると感じました。
 開会挨拶をされた岡山大学 病院長の金澤右先生は、「MUSCATプロジェクト」が目に見える効果を上げており、ご自身の医局の医師も”MUSCAT支援”を受けていると話されました。

 次に、岡山大学 医療人キャリアセンター MUSCAT センター長の片岡仁美先生より、「MUSCAT プロジェクト」の概要説明があり、女性を生かすキャリア支援からスタートして、現在は医師不足地域でのサポートも行っているとのことです。
 基調講演は「国における女性医師支援の取組」として、厚生労働省医政局の櫻本恭司先生が話されました。医学部卒後10年の先生で、共働き・子育てをしながら厚労省での激務をこなされております。今年3月にも久留米大学病院「元気プロジェクト報告会」で櫻本先生の講演を拝聴しましたが、久留米大の先生が発表された「やる気スイッチ」にも触れられ、「復職の声掛け」は、やる気スイッチのひとつであるとのことでした。
 私共のセンターが、春・秋に医局長とワークライフバランス推進員に確認している”復職状況確認”や”復職&リフレッシュトレーニング”は、間接的・直接的に、休職中の女性医師のモチベーションを上げるスイッチ活動になっていると確信できました。
 
 特別講演の石蔵文信先生は、パートナーと3人の娘さんは医師とのことです。3人目のお孫さんの誕生をきっかけに、大阪樟蔭女子大学を今年の春に退職され、最近は主に「育爺」となり、循環器疾患やメンタルケアを行う日々を過ごされているそうです。女性医師の夫や父親という立場から選ばれた「育爺」の道では、革ジャンを着てお孫さんを前抱っこしたり、保育園の園芸サポーターとして尊敬されたりと、日々楽しんでおられます。子(孫)育てで、体を使い不眠症予防、頭を使い認知症予防ができる!と、アクティブシニアの生活を推奨されています。こんなお爺ちゃんがいると、子・孫の人生も変わると思います。
 他にも、元気なら産休だけでもいい、子どもが3か月までの夜泣きと、3年までの感染症を乗り越える病気のときのシミュレーションをしておく、収入は子育てに注ぎ込む、お金・親など使えるものは使う、親がだめならシッターを頼む、イクメンをやりすぎるとパタニティ・ブルーになるので、育児よりも家事の分担がおすすめ・・・等々、共働き家庭へのアドバイスがたくさんありました。また、定年後のシニア生活についても、石蔵先生の経験・診療から得たアドバイスを面白おかしく語っていただき、会場が笑の渦に巻き込まれることが何回もありました。

 後半はパネルディスカッションでした。キャリア支援枠を利用している女性医師の発表では、「パートナーとキャリアプランを考える・自信に満ちたキャリアダウンもある・背中を押してくれる人は必ずいる」というお話、男性医師の「母親の介護と妻のキャリアを考えて神戸から岡山へ転居」されたお話、子どもが貴重であるという価値観のため、子育てを優先したいと考える小児科医の問題を提起する小児科管理職のお話や、岡山県医師会理事の調査結果の報告がありました。

 最後に、片岡センター長より、「今は、様々な支援を選べる時代になっており、選ぶか・選ばないかで、働き方も変わってくる」というご発言がありました。
以前、神戸大学で参加したセミナーでも、「シッター・サポーターを使うか・使わないかは、変われる人か、変えられるのに変われない人である」というアドバイスを受けたことがありました。選ぶか・選ばないか、その選択・決断の時に、キャリア継続ができるように、私共のセンターが背中を押す活動をしていきたいと思いました。