2019年度 医師の両立支援状況調査結果のご報告
2019年7月23日

1.<調査の目的>
病院経営者・管理者として、ワークライフバランス施策に対する認識を把握し、長崎県内病院の両立支援制度の取組状況や労働環境改善を意識した先進的な取組の実態調査を行う。調査結果は、メールマガジンを通して情報発信を行うことで、新しい職場環境づくりを促す。

2.<対象と方法>
実施月:2019年6月
調査対象:長崎県内149病院
調査方法:調査票を郵送し、同封の返信用封筒やメールで回収。
質問内容:常勤・非常勤、研修医の医師数、子育て中の医師数、育児休業・介護休業を取得した職員数、ワークライフバランス施策の認識、両立支援制度の取組状況、労働環境整備についてなど。
調査票:医師の両立支援状況調査

3.<結果と考察>
配付と回答数(回答率):配付149病院 回答100病院(67.1%)
結果:集計抜粋グラフはこちらをご覧ください。
icon_redface.gif【抜粋グラフ】

 長崎県内の100病院に勤務する女性医師の割合は、直近6年間は23%前後で推移している。勤務形態は、女性医師は、常勤62%、非常勤38%、直近4年間の割合は約6:4、男性医師は、常勤78%、非常勤22%、直近4年間の割合は約8:2。

 子育て中(小学6年生までの子がいる)の女性医師は145人。女性医師全体の24%、医師全体では6%を占めており、過去2年間と比較して著変なし。女性医師が勤務していない病院は27病院。また、子育て中の女性医師は36病院に集中して勤務している。
 「ワークライフバランス施策についての考え」では、ワークライフバランス施策を重視している割合とトップ主導で推進されている割合はいずれも40%以上と上昇傾向だが、半数を超えない。施策によるデメリットとして、病院にとって負担が大きいと感じる割合と、医師間の不公平感を高めるリスクがあると感じる割合はいずれも7%で、直近6年間は10%前後の一定数を示している。
icon_redface.gifデメリットがあると回答した病院の半数は、離島・へき地の病院で、人材確保の困難さが一因と考えられますが、ワークライフバランスの考え方、男女共同参画の考え方を理解して、可能な施策を進めていただきたいと思います。

 勤務環境の整備について、「仕事と生活の両立ができるように配慮した制度や施設」については、時間短縮勤務や呼び出し・当直への配慮などは70%以上の病院で整備され、昨年度と比較して増加。院内保育施設がある病院は34%、院内病児保育施設がある病院は5%で、低調なまま。
 研修医を含め若い世代の医師が多く勤務する「新・鳴滝塾」の16病院のうち、時間短縮勤務制度は15病院、院内保育施設は14病院が導入し、概ね整備完了。院内病児保育施設は3病院(佐世保共済病院、佐世保中央病院、長崎県対馬病院)のみ保有。
icon_redface.gif九州内の基幹型研修病院における院内病児保育施設保有率は、長崎県が一番低い状況です(2018年日本医師会女性医師支援センター事業九州ブロック別会議参照)。今後の課題として、子育て中の医師が、長崎県内の病院で研修-専攻-研究-キャリア形成の期間を、安心して過せるように、病児保育施設の整備を進めていただきたいと思います。

icon_redface.gif新・鳴滝塾の16病院における「ワークライフバランス施策についての考え」をトップの認識として数値化すると、特に認識が高い病院は、長崎みなとメディカルセンターと長崎大学病院でした。トップがワークライフバランス管理職として先導することで、県内にますます働きやすい病院が増えるように願います。

icon_redface.gif県内病院の労働環境改善についての取組事例と、待遇や就労環境の整備についての改善点を抜粋グラフに紹介します。医師事務作業補助者の活用、当直明けの勤務緩和等の配慮、有給休暇取得の促進などは、多くの病院で取り組まれています。また、病棟の複数主治医制と救急の多い部署での交代勤務制は、これからの「働き方改革」の切り札になると思います。導入が徐々に広がり、浸透することを期待します。

【医療圏別の女性医師について】

 100病院に勤務する女性医師616人(大学病院を含む)のうち、子育て中の女性医師は145人(145/616=25%)であった。医療圏別に見ると、長崎医療圏の女性医師は最多の377人(377/616=61%)が勤務し、そのうち子育て中の女性医師も95人と最多。子育て中の女性医師の66%(95/145=66%)は、長崎医療圏で勤務している。
 続いて、県央医療圏に118人の女性医師、うち子育て中の女性医師は26人(26/118=22%)、3番目に多いのは佐世保医療圏で90人の女性医師、うち子育て中の女性医師は14人(14/90=16%)であった。3医療圏(長崎・県央・佐世保)に勤務する女性医師が95%を占め、他の医療圏には約10人未満だが、すべての医療圏の病院に女性医師が勤務している。
 佐世保医療圏の医師数は、2017年から男女共に年々増加し、今年度は県央医療圏の医師数を上回った。
icon_redface.gif長崎・県央医療圏の子育て中の医師が利用している「長崎医師保育サポートシステム」が、佐世保医療圏の子育て中の医師も利用できるように、対象拡大を図っています。関係各所のご協力を何卒よろしくお願いいたします。

 子育て中の女性医師は、3医療圏(長崎・県央・佐世保)に93%の高い割合で勤務し、県北医療圏には4年連続で子育て中の女性医師は0%。他の医療圏には、4人未満の子育て中の女性医師が勤務している。
icon_redface.gif共働き・子育て世代にとって、院内保育施設・院内病児保育施設があれば、子どもが小さい時に離島などで勤務をすることも選択肢になります。現在離島などで頑張っている子育て中の女性医師に、働きやすい環境を提供して、「働きやすい病院」というアピールがあれば、後続の子育て世代の医師が勤務地として選択しやすいと思います。

icon_redface.gif長崎県内の医師が、男性でも女性でも、子育て中でも、子どもがいなくても、イキイキと仕事と生活の両立ができるように、センターが推進する「あじさいプロジェクト」活動をご支援ください。


icon_idea.gif調査の貴重なデータは、長崎県の医療のために活用いたします。ご協力いただきました病院の皆様、ありがとうございました。