第10回 岡山MUSCATフォーラム「わたしが輝く、あなたが輝く」
日時:2019年11月17日(日)13:30~16:00
会場:地域医療人育成センターおかやま 3階 MUSCATホール
主催:岡山大学医療人キャリアセンターMUSCAT
<南副センター長感想>
岡山大学は、2007年度に文部科学省医療人GPの採択を受けて「女性を生かすキャリア支援計画」を立ち上げ、2010年度からは岡山県の委託を受けて「MUSCUTプロジェクト」が始動、岡山県女性医師キャリアセンター運営事業として新たにスタートし、県下の医療人が活躍するための環境整備に取り組まれています。2012年度にスタートした私たちの「あじさいプロジェクト」にとっては、道しるべとしてずっとご指導いただいている先輩プロジェクトです。
MUSCATプロジェクト主催の講演会には、過去2回(2017年度と2016年度)参加させていただき、毎回素晴らしい講演を拝聴しています。
今回の特別講演は、共に医師であるご夫婦、聖路加国際病院 副院長/乳腺外科部長/ブレストセンター長の山内英子先生が「あなたらしく輝く-夫婦でのアメリカ臨床留学を通して-」、聖路加国際病院 腫瘍内科部長/オンコロジ―センター長/がんゲノムセンター長の山内照夫先生が「Professional×2-輝きの相乗作用-」というタイトルで、ご夫婦の半生とキャリア形成の歩みについてお話しされました。
英子先生は、聖路加国際病院で初めての女性外科研修医として医師のキャリアをスタートされました。その後、照夫先生と結婚され、妊娠し、その頃に乳腺外科の道に進まれたそうです。照夫先生の留学に同行、渡米し、研究者や臨床医として、厳しい就職状況・過酷な勤務環境の中、挫折しそうになりながらも、熱意を持って交渉しながらキャリアを継続されました。それでも就職先の決まらなかった時は、専業主婦として思春期のお子さんと貴重な時間を過ごすことができたとのこと。決して平坦ではない道のりをパートナーとたくさんの人の協力を得て進んでこられた英子先生が考える「あなたらしく輝く」ために必要なキーワードは、① 寄り添う② 育てる③ 感謝する ことだそうです。英子先生は、増え続ける日本の乳がん患者さんに寄り添って、治療を支えておられ、尊敬します。
照夫先生は、鹿児島県出身でいわゆる「薩摩隼人」。医学部卒業後に東京で就職してすぐに、英子先生と恋に落ち結婚して、お子さんが生まれました。渡米して研究生活を行い、臨床医としても修行を行うなか、英子先生との関係性は、同居人、ライバル、兄弟姉妹、扶養者、サポーターと、時々に立場の変化を感じたそうですが、今は公私ともにパートナーだと実感しているそうです。研究生活の時期や、就職先が決まらなかった時は収入がなく、英子先生に養われて、「世界一の主夫」を目指したそうですが、その柔軟な姿勢がアメリカでの激動の30代を過ごすことができた要因のひとつではないかと感じました。ご夫婦ともに15年にわたる充実したアメリカでの研修を終えて、日本に帰国され、愛着のある聖路加国際病院で、高め合った分野で輝きを放ちながら、社会へ還元されています。
ご夫婦ともにプロフェッショナルとして輝くためには、お互いのキャリアを尊重し、柔軟な姿勢で、ともにキャリアを継続する熱量が大事だと感じました。
特別講演の後には、参加者がグループに分かれてディスカッションを行う企画があり、若い医師と先輩医師が語り合い、短い時間でしたが盛り上がっていました。私のテーブルでも、貴重な意見を聞くことができました。これからも「MUSCATプロジェクト」のご活躍を参考にしながら、「あじさいプロジェクト」も日々精進していきます。