平成26年度 長崎県男女共同参画週間イベント
「輝くママの陰にナイス・パパあり」
日時:平成26年7月17日(木)13:30~16:30
場所:長崎県美術館 2階ホール
講師:安藤哲也氏(特定非営利活動法人 ファザーリング・ジャパン ファウンダー・代表)
内閣府男女共同参画局において、男女共同参画週間の平成26年度キャッチフレーズは「家事場のパパヂカラ」です。
長崎県男女共同参画週間イベントの一環で、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進チーム座長、内閣府・男女共同参画推進連携会議委員などを兼務されている安藤哲也氏の講演に参加してきました。また、長崎県の事例発表として、大村市のボランティアグループ「大村えほん侍」による「えほん侍 参上!~絵本の読み聞かせで子どもの心をつかむ」や長崎市の「ながさき笑いヨガ倶楽部」による「笑って笑って健康に~笑いの効用について」など、興味深いお話もありました。
ファザーリング・ジャパン(以下:FJ)の代表をされている安藤氏は「前世はイタリア人」とご自分で話されるほど、長めの髪を後で束ね、見た目ファッショナブル。一見NPO法人代表には見えないような出で立ちで、軽快にご自身のプロフィール紹介から始められました。二男一女の父親、出版社や大手IT系企業の管理職などの経歴を持ち、2006年11月にFJを立ち上げ代表に。若い世代の父親を支援するなど、さまざまな活動に携わっていらっしゃいます。
安藤家では、「時間の使い方=朝型になって家族との時間を持つ」と「家族が気持ちよく帰ってこられる家」がキーワードの生活。安藤氏のタイムスケジュールは、朝5時に起床、子供の朝食を作り、食べながら会話、奥様を送り出してから、食器を片付け、洗濯物を干し、10時~16時が仕事。その後子供を迎え入れ、おやつを出し、奥様のビールグラスを冷やして待つ―というもの。朝の時間がいかに貴重かを、実体験をもって話されていました。
「子供の思春期の問題は、家族と向き合った時間で軽減されるといわれている」と語る安藤氏は、“朝食の時間が子供の話をきくいい機会”とおっしゃっていました。
「育児は、期間限定の次世代育成。パパこそ育休を取るべきだ」と主張される安藤氏のFJでは、育休を取得するパパが多いとか。赤ちゃんと接することでコミュニケーション能力がアップし、職場に戻ると営業成績が上がったり、タイムマネジメント力が向上し残業が減ったりと「育休取得が職場にとってマイナスではない」ことが実証済みだそうです。
「女性の社会での活躍とイクメンはセット。でも“イクメン”いう言葉があるうちはまだまだ。もっと積極的に関わり(質より量をこなせ!週末だけパパになるな!)、妻を労わらなければ。『女性は家を守り、男性は働く』という考えをもっている男性は“windows95”だよ!OSをバージョンアップしなきゃ、奥さんから“シャットダウン”されちゃうよ!!」と話されていたのが非常に印象的でした。会場からも「分かりやすい!」「そうそう!!」などの声が上がっていました。
男性の育児参加がスムーズにできないのは、学校教育・行政のあり方(父親学級をもっと充実させるなど)を変えなければいけない。現に今の子供たちは授業に、男子は家庭科・女子は技術科などがあり、将来の職業や家庭での在り方が変わってきている―とのこと。FJでは、セミナーやワークショップなどを開催し、“パパスイッチ”を押す手助けをしていて、毎回盛況に終わっているイベント事例をいくつか紹介されました。
「 “パパスイッチ”が入らない→妻の不満が募る→夫婦関係がギクシャク→家庭での疎外感→子供との距離が拡がる・・・という負のスパイラルに陥り、家が『ホーム』ではなく『アウェイ』になってしまう。そうならないために『笑っている父親』になりましょう!」ということでした。
FJの極意6カ条をご紹介いただきました。
●子どもができたら、OS(父親ソフト)を入れ替えよう。
●義務から権利へ。客体から主体へ。さらば「家族サービス」
●男の育児は、質より量。イイトコドリ育児をやめよう
●子育てパパは仕事もデキル。育児で備わる3つの能力*
*時間管理能力・リスクマネージメント能力・人材開発能力の3つ
●パートナーシップの構築~妻の人生は、夫のものではない
●地域活動を通じて、シチズンシップ**を獲得しよう
**市民としての身分。地域の父親になろう!
力説される安藤氏も、仕事に没頭するあまり奥様に家出されたことがあり、その時にすべてを悟ったと苦笑いされていました。妻への愛情を忘れず、よい父親よりも「笑っている父親」でありたい―。実感のこもる、とても楽しい講演会でした。