長崎県主催労働セミナー「経営戦略としてのワーク・ライフ・バランス」に参加しました
2015年5月21日

平成27年度長崎県労働セミナー
「企業活性化のための経営戦略としてのワーク・ライフ・バランス」
開催日時/平成27年5月20日(水)13:30~15:30
会  場/ホテルセントヒル長崎3階 紫陽花の間
主  催/長崎県

 長崎県主催の労働セミナーとして行われた今回の講演は、人口の流出が止まらない長崎県の現状を改善するため、経営戦略の一環としてワーク・ライフバランスを積極的に取り入れようというものでした。 講師の松久晃士さんは、トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社勤務を経て、2010年に現在在籍中の株式会社ワーク・ライフバランスに参画し、ワークライフバランスコンサルタントとして、講演会や企業・自治体のコンサルティングなどを通して、全国で活躍されています。


株式会社ワーク・ライフバランス 松久晃士氏

 セミナーは、最初に参加者が二人一組になって自己紹介することから始まり、途中途中でワークを行い、日頃の自分の仕事に対する考えなどを話し合ったりしながら進んでいきました。

◆テーマ1.ワーク・ライフバランスとは何か
 ワーク・ライフバランスと聞くと、“仕事とプライベートのバランスを取る”、“ゆとりを持って働く”などという風に捉えがちですが、意味合いとしては「バランス」よりも「シナジー(相乗効果)」という方が正しいとのことでした。仕事と家庭・私生活の双方が影響し合い、より高め合っていくといった相乗効果が得られる働き方、日々の過ごし方が求められているということでした。ここでのワークは、「自分の仕事にどのようなミッションがあるか」と、「自分が仕事やプライベートで取り入れたもの(インプット)によって、自分の生活にどのような効果や影響があるか(アウトプット)」をお互いに話し合うものでした。

◆テーマ2.ワーク・ライフバランスはなぜ必要か
  ワーク・ライフバランスが必要な理由は、 1.日本は先進国の中で一番働く時間が長い割に成果(生産性)が伴っていない 2.少子化対策の第一段階として、女性に経済力をつけることが必要 (女性の経済力がつけば金銭的に余裕が生まれ、出産率が上昇) 3.働き手不足のなか、優秀な人材を確保するため 4.間近に迫った大介護時代到来に備えるため 5.人口構成の変化により働き方を変えなければ経済発展が見込めない ということでした。

◆テーマ3.組織を活性化するための手法
  ワーク・ライフバランスを職場に根付かせる具体的な方法として、自己管理と自分の働き方の見直しを行える「朝・夜メール」(朝と夜にその日の予定とその日の行動をメールで送る)や、メンバー全員で職場の問題に取り組むための「カエル会議」(理想的な職場にするために行う定期的な会議)などを紹介されました。ワークでは、昨日の自分の行動をできるだけ細かくシートに書き出し、自己管理力を確認しました。

◆テーマ4.“働き方の見直し”の実施事例
 各企業の“理想の状態=ゴール”に基づいて行われた「働き方の見直し」の事例の紹介がありました。

◆テーマ5.リーダーとしての心得
 松久さんによると、「リーダーシップとは生まれつきのものではなく、育つものなので後から取得できるスキル」とのことでした。働き方の見直しをやっていくにはリーダーシップは欠かせませんが、リーダーにとって必要なことは、「ほめること」と「チームを観察すること」で、ワークでは職場のメンバーについての質問(例えば「チームのムードメーカーは?」など)があり、自分の観察力が試されました。

◆テーマ6.働き方の見直しツール
 最後に、「朝・夜メール」などで浮かび上がった問題点の解決方法や、「カエル会議」を行う場合の注意点、その他の職場改善方法などを教えていただきました。

<感想>
以下ワーク・ライフバランスをWLBとする
icon_razz.gif私たちメディカル・ワークライフバランスセンターでも「朝・夜メール」を実践していて、職場のメンバーの1日の業務内容を共有しています。このメールの目的は自己管理力やタイムマネジメントの向上などですが、他のメンバーの業務進捗が見える化され、サポートしあえる事が利点だと感じています。また、WLBの浸透にはやはりリーダーの力が大きいと思いますが、松久さんのお勧めのリーダーは山本五十六(日本の海軍軍人)、鈴木義幸(コーチング会社社長)、ジャック・ウェルチ(アメリカの実業家)の3名でした。

icon_smile.gif人口ボーナス期とオーナス期の説明があり、経済発展するためには、ルールの変革が急務であることを話されました。多くの人がWLBを経営戦略として捉え、日本人の働き方を早く転換していかないと世界に取り残されると感じました。また、相手をよく観察し、適切なコミュニケーションを図る「ほめるマネジメント」は、子育てと似ていて、職場でも家庭でもインプット、アウトプットできるヒューマンスキルだと感じました。

icon_surprised.gif今の自分にとって時間の見積もり力を高めることが大切だと分かりました。また、WLBの考えを推進するためには、WLBを正しく認識することが必要だということを学びました。フランスなどのような、40年くらい前に働き方の見直しを始めた国の良いところを学び、WLBを浸透させていかなければならないと思います。団塊の世代がいっせいに介護世代に入る大介護時代到来まであとわずか。男性も含めた社会全体での働き方の見直しが大前提だと思いました。

icon_biggrin.gif働き方を見直しWLBを実現するためには、リーダーの起動力、全員の継続力などかなりのエネルギーが必要だと改めて認識しました。少子高齢化や女性の社会進出、介護の問題を考えると、今後の働き方の見直しはどの職場でも、また、男性女性問わず必須の課題だと思います。朝夜メールを実践中ですが、振り返りはしたことがありませんでした。予定通りにできなかったのはなぜか、他にもっと取り組めたことはないか、メール作成で終わりではなく、次にフィードバックしていくことでWLBにつながっていくと感じました。