東京医科大学では、平成25年度に文部科学省科学技術人材育成費補助事業「女性研究者研究活動支援事業」の採択を受け、全学で女性研究者の支援に取り組まれています。
国際シンポジウムが開催されるとのことで、参加してきました。
東京医科大学 女性研究者研究活動支援事業
国際シンポジウム
「医学分野における男女共同参画をめざして-海外からの報告と考察-」
日時:平成27年11月17日(火) 16:00~19:00
場所:東京医科大学病院 本館6階 臨床講堂
はじめに、東京医科大学 医師・学生・研究者支援センター教授の大久保ゆかり先生より、現在の取り組みついて説明があり、東京女子医科大学と共同運用のファミリーサポートシステムや短時間勤務制度などについて、女性医師のみではなく、男性医師の利用も増えていることを知りました。
続いて、アメリカ ミシガン大学医学部放射線腫瘍学准教授のReshma Jagsi先生のご発表があり、アメリカでもわずかな女性医師しか上級管理職にはついていないということ、賃金格差もあることを知りました。アメリカでもまだジェンダーギャップが存在することに、驚きました。
次は、オーストラリア メルボルン大学耳鼻咽喉科客員准教授の湯川久美子先生のご発表でした。オーストラリアは多国籍文化の国で、女性の社会的地位は高く、女性医師の割合も5割弱と高いそうです。しかし家庭との調和のために早く引退したり、就労時間が短かいことがあり、外科領域の女性医師が少ないということも問題だということです。いじめ・ハラスメント・差別のないことは大事だと話されました。
最後のご発表は、韓国の研究者の状況に詳しい、東京医科大学分子病理学分野教授の真村理子先生でした。現在韓国では若い世代から研究活動を推進しており、若年層は海外滞在者も多く、考え方にも変化が生じているそうです。研究費の獲得も、日本の科研費獲得より容易で高額のため研究しやすい環境があり、韓国の女性研究者の数も増えてきているそうです。
4人の演者の先生とのパネルディスカッションがあり、女性およびマイノリティが組織内での昇進を妨げる障壁(glass celling;ガラスの天井)に対して、どうしたらよいかについてなど、今後の方向性が話し合われました。結局、日本はGDPは高くても、女性の社会的地位や社会への進出はまだまだ遅れており、同じ東アジアの隣国とも差が生じてきているのかもしれません。男女共に「意識の変革」が求められているようです。