2013年11月29日

2013年11月22日(金)長崎市チトセピアホールでワークライフバランス市民公開講座を開催しました。
事前申込は定員いっぱいの500人、そして当日は、約450人の方にご聴講いただき、世間の関心と佐々木氏の知名度の高さを実感しました。ご来場いただきました皆様、大変ありがとうございましたicon_redface.gif
佐々木氏の物事の捉え方、仕事術、今後の日本の行く末など、とても興味深いお話を伺え、これからの人生のモチベーションが上がるような、心のリフレッシュができた素晴らしい講演でした。


長崎大学病院メディカル・ワークライフバランスセンター 伊東昌子センター長教授による開会の挨拶
———————————————————————————————————–
基調講演 「私は仕事も家族もあきらめない」
講  師  株式会社佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表
      佐々木 常夫氏

自閉症のご長男を含む3人のお子さんの育児、肝臓病とうつ病を併発した奥様の看病など、家族を必死で支えてきた佐々木さん。大変な家庭環境の中、いかに仕事と両立し、なおかつ成果も残すことができたのか、その秘策を教えてくださいました。

 「仕事も家事もすべて計画的戦略的に」行ったという佐々木さん。限られた時間内に成果を出すために、仕事内容は「シンプルをもって秀」とし、資料は最小限、会議は短時間で済ませるように心がけていました。仕事は必ず計画的に、かつ重要度の高い業務から取り組み、デッドラインを決めて追い込んでいくというスタイル。「誰もが仕事と私生活・家庭を充実させたいのが本音。だが、それができない最大の障害の一つが“長時間労働”と“非効率労働”。仕事の成果と長時間労働とは、必ずしも関係ない」といいます。

 「ワークライフバランスは、個人も組織も共に成長する経営戦略。仕事の改革は、タイムマネジメントがあってはじめて実現する」といい、「タイムマネジメントとは、最も大事なことは何かを正しくつかむこと。“時間”の管理ではなく、“仕事”の管理だといえる。肝心かなめのことは完璧に、他の仕事は拙速でもよい」と語りました。

 育児や介護など、時間に制約を抱える人が増えてきた現在、ワークライフバランスの考え方は一層注目されています。まだ依然として、ホワイトカラーの生産性は「劣悪」だとし、「最短コースで成果を挙げるにはどうしたらいいかを常に考える人と、ずっとダラダラ仕事する人との差は歴然で、とても勝負にならない」と話し、普段からの意識・行動の積み重ねがその後の成長に大きく影響することを伝えました。

 「人は自分を磨くために働く。そうすれば、自分が幸せになる。運命を引き受け、頑張らなければ結果は出ない」と、聴衆の方々を激励しました。

<参加者アンケートより感想抜粋>
icon_idea.gif感銘を受けたことば数名分ピックアップ
「運命を引き受けよう」「良い習慣は能力を超える」「愛は責任である」「3年で物事がみえてくる」「ビジネスは予測のゲーム」「自分を磨くために働く=自分が、皆が幸せになる」「きっといい日が来るだろう」
●組織のトップがワークライフバランスを経営戦略と理解し、強い意思を持って行動を起こさなければ前進しない。(30代・団体職員・男性)
●講演を聞いた人が実践に移すことで今回のイベントの狙いは完結します。社会(今回は長崎県)のインフルエンサー(世間に影響力を持つ人)が本日は多く集まっていたと信じています。そのひとりひとりが、各々の組織を変えるきっかけ作りをしてほしい。(30代・会社員・男性)
●仕事のやり方、仕事に対する価値観など佐々木先生の講演に共感できた。共感したのは自分も実践しているから。でも最近それでもうまくいかないことがあって悩んでいたが、今日の講演で勇気をいただいた。これからも続けていきます。(30代・会社員・男性)
●現在組織をあげてワークライフバランスに取り組んでいるところ。職員の意識改革をさらに進めていきたい。(60代以上・医療関係者・女性)
●佐々木常夫さんの講演を長崎で聞くことができるとは思ってもみませんでした。自分の仕事に取り入れられそうなことをやってみようと思います。(30代・会社員・女性)
●仕事の悩みがあったので、吹っ切れた。すごくいいタイミングで講演を聞くことができた。前に進めそうな気がする。(30代・医療関係者・女性)
●今日聞いたお話を「良かった」で終わるのではなく、自分の行動に落とし込むことが大事。(30代・会社員・男性)
●仕事の日々の無駄・やり方について早速考えを実践してみます。佐々木氏のお母様のお話を聞いて自分はまだ甘えているなと反省します。男女がキャリアを積んで尚且つ家庭も円満である社会になるようすべての人の意識改革が必要と思う。特に昭和世代!(20代・団体職員・女性)
●「運命を引き受ける」障害をもつ息子、病気がちの妻、忙しい仕事を持ちながら他人を羨んだり、自分たちの運命を呪ったりせず、きちんと現実と向き合い、どのようにしたら上手くいくか自分で考え行動に移すことができた所がすごい。(50代・主婦・女性)
●淡々とした佐々木氏の言葉に深い魂を感じました。もっとお話を伺いたいです。佐々木氏の実践は本当に素晴らしいと思いました。が、これを実際の医療現場に持ち込むことの難しさも同時に感じました。(50代・医療関係者・女性)
———————————————————————————————————–
シンポジウム 「ワークライフバランスで変わる、医療の未来」
登 壇 者  講師/佐々木 常夫氏
       長崎県上五島病院病院/八坂貴宏院長
       長崎大学病院メディカル・ワークライフバランスセンター/伊東昌子センター長
司   会  KTNテレビ長崎/長岡千夏アナウンサー

過重労働が問題となっている医療分野の働き方を話題に取り上げながら、ワークライフバランス実現の可能性についてパネルディスカッションを行いました。

医療現場においては「人の命を預かる」という使命があり、ワークライフバランスに取り組むには困難な面もあるのではという問いに対し、佐々木さんは「人の命を預かる仕事だからといって、他の仕事と特別に違うということはない。どんな仕事でも、工夫次第で無駄の排除は可能。私が話した効率化の技術は私一人で考え出したものではなく、チームで共有して考え出したもの。医療現場でも、チーム単位で工夫すれば結果は出るはず」と話しました。

ワークライフバランスの取り組みにおける手ごたえや課題について、八坂院長は「スタッフが元気になり、表情が明るくなった。患者さんからも来てよかったと良い印象を持っていただき、好循環が生まれている。課題は、インフラが整っておらず、託児などのサポート体制の整備に当たって、まだ財政面の負担が大きいこと」と語りました。伊東センター長は「昨年は離職した女性医師からの復帰相談が多かった。今年は、出産前の女性医師から仕事の継続についての相談が来るようになった。一方で、ワークライフバランスの実現には同意してくれるものの、まだ他人事のようにとらえている人が少なくない。自己犠牲の上に立って仕事をするという人たちに、考え方を伝えることに困難を感じている」と述べました。

続いて、緊急度の低い軽症の患者さんが、休日や夜間の救急外来を受診する「コンビニ受診」が話題になり、伊東センター長は「24時間いつでも医者が対応してくれるという一部の期待が、医療関係者を疲弊させている。それがまたリスクとして患者さんにも跳ね返ってくるということを理解してもらいたい」と話しました。これに対し、「そのような場合には、治療費を3倍取ったらいいのではないか。何でも簡単に対応しすぎ。医療機関の寛容さに患者も甘えすぎなのでは」と佐々木さんが苦言を呈する場面も。

「いまもって多くの国民の方々は『主治医制』を求めているのが現状だが、ワークライフバランスの実現に向けては、チーム単位で複数の医師がカバーすることが望ましい。どの先生が診ても大丈夫という体制を作れれば、医師も休みやすい。その辺についても市民の皆さんにご理解いただきたい」と八坂院長。チーム医療に対する意識のギャップに対し、佐々木さんは「医療機関から患者さんに根気強く説明していくことが大事なのでは。医師の務めとして単に病気を治すだけでなく、実態を伝え、協力をお願いしていくべきだと思う」と話しました。

 最後に一言ずつメッセージを求められ、伊東センター長は「人には時間も能力も限界がある。いかに短時間で成果を出し、プライベートの時間を生み出すかは、あらゆる人にとって重要なこと。仕事も育児も、心から楽しいと言えるような環境づくりをしていきたい」。

八坂院長は「トップが意思をスタッフに伝えていくこと、また、地域の人々にどのような医療を求めているのか聞くことが大事だと思っている。市民の方々にも、医療とどのように関わり合いを持っていけばよいか、ぜひ考えてみていただきたい」。

佐々木さんは「人は何のために働くのか。自分を磨くため、成長するために働いている。もう一つの働く理由は、『世のため人のため』という志。何かに貢献するために働いている。医療に関わる人が、あれだけ過酷な中働いているのは、世の中に貢献しているという気持ちが強いからだと思う。自分が成長し、何かに貢献するために、人は働いている。結局は自己愛であり、自分が幸せになるためにやっているのだと思う」と語りました。

<参加者アンケートより感想抜粋>
●やはり一般企業と病院とでは、ワークライフバランスをやっていくことは違うし、難しいと思う。病院はなんといっても患者さんを第一に考えるので、自分がいくら頑張って仕事を終わらせようと計画していても、できないことばかりだと思う。上五島病院の取り組みを聞かせていただいて、すごく努力されているなと思いました。現場で働いている人の思いをよく汲みとっているなと感動した。(50代・主婦・女性)
●私自身医療関係者ですが、長時間勤務のため体調を崩して休職中です。ケアする立場なのにヘトヘトになって自分自身の栄養・生活面が乱れていく働き方に疑問を抱いていました。予防医学に力を入れ、コミュニティの活用が必要。個人的には、子供が小さい時、家族が病気の時に仕事への不安が大きい。(40代・無職・女性)
●一般企業と医療関係者(特に医師・看護師)のワークライフバランスを一緒に考えるのは難しい。「命」が関わるので、医療界のワークライフバランスの研究が必要。離島医療の現状が知れてよかった。患者の理解や協力は必要だと感じた。(30代・会社員・女性)
●私の職場も以前の上五島病院の現状と同じで、今も全く休みが取れず、病欠したらスタッフ全員の勤務が変更されるので毎日憂鬱でスタッフはいつも辞めたいと考えている。上五島病院ではスタッフの表情が明るくなったと聞いて、自分たちも意識改革をし、スタッフを増やしたら心のゆとりができ、働きやすくなると思った。院長に聞いてほしい講演だった。(50代・医療関係者・女性)
基調講演とシンポジウムの間の休憩中に佐々木氏の書籍販売がありました。
売上金は全額東日本大震災へ寄付されているそうです。
佐々木氏の300冊すべてにサインをされるスピードも速かったですが、
完売になるスピードも圧巻でしたicon_eek.gif

icon_razz.gif伊東センター長所感
 かねてより、佐々木常夫先生の著書を拝読し、ご講演を拝聴する機会がありましたが、是非長崎へお招きし、多くの方に佐々木先生のお話をお聞きいただきたいと思っておりました。このたび、それを実現することができ、大変光栄でした。市民公開講座に多くの方が参加していただき、感動を共有できたことを、心から感謝いたします。
 ご講演を拝聴して、佐々木常夫さんの独特の「強さに裏付けられた優しさ」を身近に感じることができました。私が最も印象に残ったのは、タイムマネージメントは時間を管理することではなく、仕事を管理すること、そして「能力の差」よりも「仕事のやり方の差」の方が大きい、ということです。
 よいお話を聴いて満足しているだけではだめで、今から実践に移すことが重要だと佐々木先生から教えられました。自分の時間と他人の時間のどちらも尊重することができるワークライフバランスの実現に向けて、自分を磨いていきたいと思いました。


2013年11月22日(金)長崎市チトセピアホールでワークライフバランス市民公開講座を開催しました。
事前申込は定員いっぱいの500人、そして当日は、約450人の方にご聴講いただき、世間の関心と佐々木氏の知名度の高さを実感しました。ご来場いただきました皆様、大変ありがとうございましたicon_redface.gif
佐々木氏の物事の捉え方、仕事術、今後の日本の行く末など、とても興味深いお話を伺え、これからの人生のモチベーションが上がるような、心のリフレッシュができた素晴らしい講演でした。


長崎大学病院メディカル・ワークライフバランスセンター 伊東昌子センター長教授による開会の挨拶 ———————————————————————————————————–
基調講演 「私は仕事も家族もあきらめない」
講  師  株式会社佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表 佐々木 常夫氏

自閉症のご長男を含む3人のお子さんの育児、肝臓病とうつ病を併発した奥様の看病など、家族を必死で支えてきた佐々木さん。大変な家庭環境の中、いかに仕事と両立し、なおかつ成果も残すことができたのか、その秘策を教えてくださいました。

 「仕事も家事もすべて計画的戦略的に」行ったという佐々木さん。限られた時間内に成果を出すために、仕事内容は「シンプルをもって秀」とし、資料は最小限、会議は短時間で済ませるように心がけていました。仕事は必ず計画的に、かつ重要度の高い業務から取り組み、デッドラインを決めて追い込んでいくというスタイル。「誰もが仕事と私生活・家庭を充実させたいのが本音。だが、それができない最大の障害の一つが“長時間労働”と“非効率労働”。仕事の成果と長時間労働とは、必ずしも関係ない」といいます。

 「ワークライフバランスは、個人も組織も共に成長する経営戦略。仕事の改革は、タイムマネジメントがあってはじめて実現する」といい、「タイムマネジメントとは、最も大事なことは何かを正しくつかむこと。“時間”の管理ではなく、“仕事”の管理だといえる。肝心かなめのことは完璧に、他の仕事は拙速でもよい」と語りました。

 育児や介護など、時間に制約を抱える人が増えてきた現在、ワークライフバランスの考え方は一層注目されています。まだ依然として、ホワイトカラーの生産性は「劣悪」だとし、「最短コースで成果を挙げるにはどうしたらいいかを常に考える人と、ずっとダラダラ仕事する人との差は歴然で、とても勝負にならない」と話し、普段からの意識・行動の積み重ねがその後の成長に大きく影響することを伝えました。

 「人は自分を磨くために働く。そうすれば、自分が幸せになる。運命を引き受け、頑張らなければ結果は出ない」と、聴衆の方々を激励しました。

<参加者アンケートより感想抜粋>
icon_idea.gif感銘を受けたことば数名分ピックアップ 「運命を引き受けよう」「良い習慣は能力を超える」「愛は責任である」「3年で物事がみえてくる」「ビジネスは予測のゲーム」「自分を磨くために働く=自分が、皆が幸せになる」「きっといい日が来るだろう」
●組織のトップがワークライフバランスを経営戦略と理解し、強い意思を持って行動を起こさなければ前進しない。(30代・団体職員・男性)
●講演を聞いた人が実践に移すことで今回のイベントの狙いは完結します。社会(今回は長崎県)のインフルエンサー(世間に影響力を持つ人)が本日は多く集まっていたと信じています。そのひとりひとりが、各々の組織を変えるきっかけ作りをしてほしい。(30代・会社員・男性)
●仕事のやり方、仕事に対する価値観など佐々木先生の講演に共感できた。共感したのは自分も実践しているから。でも最近それでもうまくいかないことがあって悩んでいたが、今日の講演で勇気をいただいた。これからも続けていきます。(30代・会社員・男性)
●現在組織をあげてワークライフバランスに取り組んでいるところ。職員の意識改革をさらに進めていきたい。(60代以上・医療関係者・女性)
●佐々木常夫さんの講演を長崎で聞くことができるとは思ってもみませんでした。自分の仕事に取り入れられそうなことをやってみようと思います。(30代・会社員・女性)
●仕事の悩みがあったので、吹っ切れた。すごくいいタイミングで講演を聞くことができた。前に進めそうな気がする。(30代・医療関係者・女性)
●今日聞いたお話を「良かった」で終わるのではなく、自分の行動に落とし込むことが大事。(30代・会社員・男性)
●仕事の日々の無駄・やり方について早速考えを実践してみます。佐々木氏のお母様のお話を聞いて自分はまだ甘えているなと反省します。男女がキャリアを積んで尚且つ家庭も円満である社会になるようすべての人の意識改革が必要と思う。特に昭和世代!(20代・団体職員・女性)
●「運命を引き受ける」障害をもつ息子、病気がちの妻、忙しい仕事を持ちながら他人を羨んだり、自分たちの運命を呪ったりせず、きちんと現実と向き合い、どのようにしたら上手くいくか自分で考え行動に移すことができた所がすごい。(50代・主婦・女性)
●淡々とした佐々木氏の言葉に深い魂を感じました。もっとお話を伺いたいです。佐々木氏の実践は本当に素晴らしいと思いました。が、これを実際の医療現場に持ち込むことの難しさも同時に感じました。(50代・医療関係者・女性)
———————————————————————————————————–
シンポジウム 「ワークライフバランスで変わる、医療の未来」
登 壇 者  講師/佐々木 常夫氏
       長崎県上五島病院病院/八坂貴宏院長
       長崎大学病院メディカル・ワークライフバランスセンター/伊東昌子センター長
司   会  KTNテレビ長崎/長岡千夏アナウンサー

過重労働が問題となっている医療分野の働き方を話題に取り上げながら、ワークライフバランス実現の可能性についてパネルディスカッションを行いました。

医療現場においては「人の命を預かる」という使命があり、ワークライフバランスに取り組むには困難な面もあるのではという問いに対し、佐々木さんは「人の命を預かる仕事だからといって、他の仕事と特別に違うということはない。どんな仕事でも、工夫次第で無駄の排除は可能。私が話した効率化の技術は私一人で考え出したものではなく、チームで共有して考え出したもの。医療現場でも、チーム単位で工夫すれば結果は出るはず」と話しました。

ワークライフバランスの取り組みにおける手ごたえや課題について、八坂院長は「スタッフが元気になり、表情が明るくなった。患者さんからも来てよかったと良い印象を持っていただき、好循環が生まれている。課題は、インフラが整っておらず、託児などのサポート体制の整備に当たって、まだ財政面の負担が大きいこと」と語りました。伊東センター長は「昨年は離職した女性医師からの復帰相談が多かった。今年は、出産前の女性医師から仕事の継続についての相談が来るようになった。一方で、ワークライフバランスの実現には同意してくれるものの、まだ他人事のようにとらえている人が少なくない。自己犠牲の上に立って仕事をするという人たちに、考え方を伝えることに困難を感じている」と述べました。

続いて、緊急度の低い軽症の患者さんが、休日や夜間の救急外来を受診する「コンビニ受診」が話題になり、伊東センター長は「24時間いつでも医者が対応してくれるという一部の期待が、医療関係者を疲弊させている。それがまたリスクとして患者さんにも跳ね返ってくるということを理解してもらいたい」と話しました。これに対し、「そのような場合には、治療費を3倍取ったらいいのではないか。何でも簡単に対応しすぎ。医療機関の寛容さに患者も甘えすぎなのでは」と佐々木さんが苦言を呈する場面も。

「いまもって多くの国民の方々は『主治医制』を求めているのが現状だが、ワークライフバランスの実現に向けては、チーム単位で複数の医師がカバーすることが望ましい。どの先生が診ても大丈夫という体制を作れれば、医師も休みやすい。その辺についても市民の皆さんにご理解いただきたい」と八坂院長。チーム医療に対する意識のギャップに対し、佐々木さんは「医療機関から患者さんに根気強く説明していくことが大事なのでは。医師の務めとして単に病気を治すだけでなく、実態を伝え、協力をお願いしていくべきだと思う」と話しました。

 最後に一言ずつメッセージを求められ、伊東センター長は「人には時間も能力も限界がある。いかに短時間で成果を出し、プライベートの時間を生み出すかは、あらゆる人にとって重要なこと。仕事も育児も、心から楽しいと言えるような環境づくりをしていきたい」。

八坂院長は「トップが意思をスタッフに伝えていくこと、また、地域の人々にどのような医療を求めているのか聞くことが大事だと思っている。市民の方々にも、医療とどのように関わり合いを持っていけばよいか、ぜひ考えてみていただきたい」。

佐々木さんは「人は何のために働くのか。自分を磨くため、成長するために働いている。もう一つの働く理由は、『世のため人のため』という志。何かに貢献するために働いている。医療に関わる人が、あれだけ過酷な中働いているのは、世の中に貢献しているという気持ちが強いからだと思う。自分が成長し、何かに貢献するために、人は働いている。結局は自己愛であり、自分が幸せになるためにやっているのだと思う」と語りました。

<参加者アンケートより感想抜粋>
●やはり一般企業と病院とでは、ワークライフバランスをやっていくことは違うし、難しいと思う。病院はなんといっても患者さんを第一に考えるので、自分がいくら頑張って仕事を終わらせようと計画していても、できないことばかりだと思う。上五島病院の取り組みを聞かせていただいて、すごく努力されているなと思いました。現場で働いている人の思いをよく汲みとっているなと感動した。(50代・主婦・女性)
●私自身医療関係者ですが、長時間勤務のため体調を崩して休職中です。ケアする立場なのにヘトヘトになって自分自身の栄養・生活面が乱れていく働き方に疑問を抱いていました。予防医学に力を入れ、コミュニティの活用が必要。個人的には、子供が小さい時、家族が病気の時に仕事への不安が大きい。(40代・無職・女性)
●一般企業と医療関係者(特に医師・看護師)のワークライフバランスを一緒に考えるのは難しい。「命」が関わるので、医療界のワークライフバランスの研究が必要。離島医療の現状が知れてよかった。患者の理解や協力は必要だと感じた。(30代・会社員・女性)
●私の職場も以前の上五島病院の現状と同じで、今も全く休みが取れず、病欠したらスタッフ全員の勤務が変更されるので毎日憂鬱でスタッフはいつも辞めたいと考えている。上五島病院ではスタッフの表情が明るくなったと聞いて、自分たちも意識改革をし、スタッフを増やしたら心のゆとりができ、働きやすくなると思った。院長に聞いてほしい講演だった。(50代・医療関係者・女性)

基調講演とシンポジウムの間の休憩中に佐々木氏の書籍販売がありました。 売上金は全額東日本大震災へ寄付されているそうです。 佐々木氏の300冊すべてにサインをされるスピードも速かったですが、 完売になるスピードも圧巻でしたicon_eek.gif

icon_razz.gif伊東センター長所感
 かねてより、佐々木常夫先生の著書を拝読し、ご講演を拝聴する機会がありましたが、是非長崎へお招きし、多くの方に佐々木先生のお話をお聞きいただきたいと思っておりました。このたび、それを実現することができ、大変光栄でした。市民公開講座に多くの方が参加していただき、感動を共有できたことを、心から感謝いたします。  ご講演を拝聴して、佐々木常夫さんの独特の「強さに裏付けられた優しさ」を身近に感じることができました。私が最も印象に残ったのは、タイムマネージメントは時間を管理することではなく、仕事を管理すること、そして「能力の差」よりも「仕事のやり方の差」の方が大きい、ということです。  よいお話を聴いて満足しているだけではだめで、今から実践に移すことが重要だと佐々木先生から教えられました。自分の時間と他人の時間のどちらも尊重することができるワークライフバランスの実現に向けて、自分を磨いていきたいと思いました。

2013年11月28日

県医師会と合同で、「平成25年度女性医師の勤労環境の整備に関する病院長、病院開設者、管理者等への講習会」を開催しました。 「女性医師が働きやすい勤務環境を整えることは全ての医師の勤務環境の改善に必須である」という思いのもと、さらに女性医師の勤務環境の整備を推進していくことを目的として実施しました。

日  時:平成25年11月20日(水)午後3時~5時
場  所:ANAクラウンプラザホテル長崎グラバーヒル
プログラム:①講師とワーク・ライフ・バランスに関する懇話会
      ②講演:「ワーク・ライフ・バランス、そしてダイバーシティへ」
       講師:医療法人寿芳会 芳野病院
          WLB&ダイバーシティ推進室 室長 小川 美里氏
          (日本医療機能評価機構認定病院・福岡県北九州市)

なお、講演②の開催案内は「長崎の医療と病院経営を考える会」に参加される16病院へ、長崎県病院企業団からご案内状発送のご協力をいただきました。

 
①講師とワーク・ライフ・バランスに関する懇話会
 司会:メディカル・ワークライフバランスセンター長教授 伊東昌子
 講師:医療法人寿芳会 芳野病院 WLB&ダイバーシティ推進室 室長 小川 美里氏

懇話会には、地域医療機関から約20名のご参加をいただき、活発な意見交換が行われました。抜粋してご紹介します。

Q:短時間勤務者に対して、そうでない職員からの不満対策は?

A:病院全体では役職者には出欠確認を取って参加を促し、ワークライフバランス勉強会を外部講師をお招きして行ったり、役職者で懇話会を開いたりすることで理解を求めている。独身、手のかからないお子さんを持った職員に対しては、所属長が直接ねぎらいの声かけを行い、「あなたにも何かあったらフォローするから」と約束をしてもらっている。病院全体と個々へのフォローが必要。また、制度利用者にも、突発的な利用を避けるよう促し、制度に甘えないことでこの制度が継続できることを伝えている。

Q:介護休業利用者は?

A:年間1名位。職員調査では、1割が介護の可能性が今後あると回答している。育児は出産予定日から逆算して段取りができる。これに対して、介護は経過の予想が難しいので、育児とは制度を分けることが必要。介護に関しては、十人十色の状況が考えられるので、以下の3点で対応している。つまり、「介護休業」「短時間勤務」「相談窓口」。直接介護に携わってしまうと、介護休業を取得して退職するケースが民間では多い。介護休業とは、介護をする期間ではなく、サポート体制を整える準備期間にするようにアドバイスしている。

Q:看護師の採用の際、夜勤はしたくないなどの声が聞かれる。どう対応しているか?

A:短時間勤務でも正規職員。でも夜勤をゼロにするのではなく、月1回でもやるという歩みよりで、必要なときだけ短時間勤務にしてもらっている。柔軟な勤怠シフトを組み、夏休みだけ短時間勤務を利用する人もいる。特定の人だけが利用しないよう風土づくりが重要。パートナーの勤務形態も把握して、所属長がシフトを考えている。

Q:常勤の女性医師が芳野病院ではいないとのことだが、今の制度で女性医師は勤務可能か?

A:病院内でケースがない。今のところ1診療科に医師1名なのでフォローアップ体制はできない。近隣病院からの応援がないと、中小病院では育休は難しい。しかし、常勤の女性医師にも勤務してほしいので、今後医局で検討していくと思う。

Q:取り組みのコスト面は?

A:ほぼ、かかっていない。ハード面としての、院内保育は実施していないので。ソフト面として、研修費のコストはかかっている。また、短時間勤務のための勤怠システム構築で数十万はかかっている。

Q:主体的に推進する部署はどこか?

A:制度自体の枠組みは、総務、推進室で行った。小さな工夫に関しては、セクションに入り込んで現場部署のオリジナル。看護部では、病棟師長さんから看護部長へ現場シフトの連絡が行ったり、推進室の県内外の情報に関する事例を挙げて看護部長に提供した。制度が浸透するまで何度も会議をして、子育て世代の看護師への理解を求めるために、足を運んで熟練看護師とコミュニケーションをとった。

—————————————————————————————————-
続いて、長崎県病院企業団主催「長崎の医療と病院経営を考える会」に参加されていた方 地域医療機関の方を含めて約40名のみなさんに講演会にご参加をいただきました。

②講演:「ワーク・ライフ・バランス、そしてダイバーシティへ」
 座長:メディカル・ワークライフバランスセンター長教授 伊東昌子
 講師:医療法人寿芳会 芳野病院 WLB&ダイバーシティ推進室 室長 小川 美里氏

 はじめに、ご自身のプロフィール紹介と福岡県北九州市若松区の案内、今年創立100周年を迎えた芳野病院の概要をご説明いただきました。
医療法人寿芳会 芳野病院・・・職員数:271名 事業内容:亜急性期・回復期リハビリを中心とした地域一般病院 住宅型有料老人ホーム、グループホームの運営 病床数:143床  ワークライフバランス充実のための取り組みを始めたきっかけは、10年ほど前、院内のクラブ活動ミーティング時「結婚・出産しても働き続けるには?」といった素朴な疑問から活発な意見が挙がったことによるそうです。このような自然発生したワーキンググループを「職場環境改善提案会議」と名付け、当時総務課主任だった小川さんを中心に、子どもがいない職員も含め「事業所内保育園があるといいね」「短時間勤務できないかな」「連休取りたい」などの職員の声を総務部長へ提案したところ、「それはきっとこれから必要なこと、女性の労働力も必要だ」と後押ししてくださり、芳野元(はじめ)院長に報告をされたそうです。芳野院長は、約30年前のアメリカ留学時にダイバーシティ社会を実体験されており、昨今の日本におけるワークライフバランス施策の動向を予見されていたそうです。すぐさまトップの意思表明として福岡県の「子育て応援宣言」へ登録、職員へアンケートを実施。結果、「短時間勤務は利用したいが、6時間しか働けないのでは収入が減って困る」という声の多さに驚き、「出退勤の時刻を30分単位でずらし、勤務時間を1時間まで短縮できる」という育児・介護のための短時間勤務制度(6~7時間の正社員)を立ち上げられたそうです。多様な勤務形態のシフトは当初26種類から現在57種類。このシステム管理のために初期導入費用はかかったそうですが、あとは小さな工夫で風土づくりをすることが肝心とのことです。

 icon_idea.gif制度があっても利用を許容する院内の雰囲気がないといけないと感じました。 トップダウン・ボトムアップが風通しよく改革ができる、職員ひとりひとりのライフスタイルをくみ取れる中小病院ならではの具体的な推進方法を教えていただきました。

 芳野病院の3つの柱(制度)と、小さな工夫(風土づくり)を惜しみなくご提案いただきました。 みなさんの職場でも参考にされてみてはいかがでしょうか。
<取り組み内容>
★3つの柱・・・制度
1)男女問わず育児休業取得の促進
2)育児・介護のための短時間勤務制度(6~7時間の正社員)
3)1週間の連続休暇取得奨励制度
★小さな工夫・・・風土づくり
1)休業前オリエンテーション、休業中の面談、復帰プログラム
2)管理職研修
3)サンキューカード
4)キッズ・サマースクール(旧子ども参観日)の開催
5)海外研修
6)クラブ活動の支援
           など

 取り組みの成果としては、1)育休取得促進により、女性職員の育休対象・取得、復帰人数・復帰率は夫の転勤や、やむを得ない理由を除いてはほぼ100%で推移していて、男性職員も延べ4名が最短6日間、最長1か月取得者がいらっしゃるそうです。「患者さんやスタッフにも、より優しく接することができるようになった」「仕事も家事料理も段取りが上手くなった」との感想がでたそうです。 2)短時間勤務制度では、「家事・育児でのイライラが軽減した」「仕事の質が上がった」「後輩が同じ制度を利用するようになったら、恩返ししようと考えている」 3)1週間の連続休暇取得奨励制度では、勤続年数など条件はあるものの、旅行や結婚前準備、介護に利用でき、役職・一般職など利用対象者の約4割が毎年利用しているそうです。
 その他の成果として、①人材の確保定着(7:1看護の取得) ②職員意識の変化 ③職員のモチベーションの向上 ④『次世代育成支援対策推進法』達成による認定 ⑤報道などによるブランド力向上 があるそうです。

 icon_idea.gif職員が働き続けたいと思える病院が、優秀な人材を呼び、必然的にダイバーシティ(多様性、相違点。国籍、性別、言葉、価値観など、あらゆる違いを問わず人材を活用)を取り入れた、明確な差別化ができる地域病院が戦略的に生き残り、結果、離職率低下とともにES(従業員満足度)向上、CS(顧客満足度)へとつながり経営が成り立つのだと思いました。経営者の方は、制度や部署の設置だけで満足せず、職員のキャリア継続のための譲歩ラインを示し、職員全員まで浸透熟成期間を経て成果が表れるまで、辛抱強く長期的なスパンで見届けていただきたいと感じました。

 芳野病院では、新たな課題が出てきていることも話題になりました。4年ほどかけてワークライフバランスの概念が浸透し人材確保につながったが、制度利用者が増加→特に職員数の半分を占める看護部では短時間勤務者が15%になり、短時間勤務者の退勤後、業務の集中する時間帯と夜間勤務でマンパワーの不足が発生。課題解決として以下のような対策をとられているそうです。
<病院全体>
①業務の標準化 ②ワークライフバランス&ダイバーシティ推進室の設置 ③柔軟なシフト体制 ④ダイバーシティに関する全体研修
<看護部>
①固定チームナーシング ②夜勤専従看護師の登用 ③ユニット管理 ④部門ごとのヒアリング

 icon_idea.gif現在小川さんが室長として所属されているワークライフバランス&ダイバーシティ推進室は、院長と小川さんのお2人で構成。小川さんは室長、広報、院長秘書業務を行いながら、情報収集、ネットワークづくり、社内の相談窓口、地域への提案と、幅広くご活躍で、とてもイキイキと輝いていらっしゃいました。良好な人間関係を築かれている雰囲気が伝わってきました。元来、奉仕の精神が高い方の集まりである医療現場。患者さんだけでなく、職員同士にも「お互い様」の精神が根付いていくとよいですね。


県医師会と合同で、「平成25年度女性医師の勤労環境の整備に関する病院長、病院開設者、管理者等への講習会」を開催しました。
「女性医師が働きやすい勤務環境を整えることは全ての医師の勤務環境の改善に必須である」という思いのもと、さらに女性医師の勤務環境の整備を推進していくことを目的として実施しました。

日  時:平成25年11月20日(水)午後3時~5時
場  所:ANAクラウンプラザホテル長崎グラバーヒル
プログラム:①講師とワーク・ライフ・バランスに関する懇話会
      ②講演:「ワーク・ライフ・バランス、そしてダイバーシティへ」
       講師:医療法人寿芳会 芳野病院
          WLB&ダイバーシティ推進室 室長 小川 美里氏
          (日本医療機能評価機構認定病院・福岡県北九州市)

なお、講演②の開催案内は「長崎の医療と病院経営を考える会」に参加される16病院へ、長崎県病院企業団からご案内状発送のご協力をいただきました。 

①講師とワーク・ライフ・バランスに関する懇話会
 司会:メディカル・ワークライフバランスセンター長教授 伊東昌子
 講師:医療法人寿芳会 芳野病院 WLB&ダイバーシティ推進室 室長 小川 美里氏

懇話会には、地域医療機関から約20名のご参加をいただき、活発な意見交換が行われました。抜粋してご紹介します。

Q:短時間勤務者に対して、そうでない職員からの不満対策は?

A:病院全体では役職者には出欠確認を取って参加を促し、ワークライフバランス勉強会を外部講師をお招きして行ったり、役職者で懇話会を開いたりすることで理解を求めている。独身、手のかからないお子さんを持った職員に対しては、所属長が直接ねぎらいの声かけを行い、「あなたにも何かあったらフォローするから」と約束をしてもらっている。病院全体と個々へのフォローが必要。また、制度利用者にも、突発的な利用を避けるよう促し、制度に甘えないことでこの制度が継続できることを伝えている。

Q:介護休業利用者は?

A:年間1名位。職員調査では、1割が介護の可能性が今後あると回答している。育児は出産予定日から逆算して段取りができる。これに対して、介護は経過の予想が難しいので、育児とは制度を分けることが必要。介護に関しては、十人十色の状況が考えられるので、以下の3点で対応している。つまり、「介護休業」「短時間勤務」「相談窓口」。直接介護に携わってしまうと、介護休業を取得して退職するケースが民間では多い。介護休業とは、介護をする期間ではなく、サポート体制を整える準備期間にするようにアドバイスしている。

Q:看護師の採用の際、夜勤はしたくないなどの声が聞かれる。どう対応しているか?

A:短時間勤務でも正規職員。でも夜勤をゼロにするのではなく、月1回でもやるという歩みよりで、必要なときだけ短時間勤務にしてもらっている。柔軟な勤怠シフトを組み、夏休みだけ短時間勤務を利用する人もいる。特定の人だけが利用しないよう風土づくりが重要。パートナーの勤務形態も把握して、所属長がシフトを考えている。

Q:常勤の女性医師が芳野病院ではいないとのことだが、今の制度で女性医師は勤務可能か?

A:病院内でケースがない。今のところ1診療科に医師1名なのでフォローアップ体制はできない。近隣病院からの応援がないと、中小病院では育休は難しい。しかし、常勤の女性医師にも勤務してほしいので、今後医局で検討していくと思う。

Q:取り組みのコスト面は?

A:ほぼ、かかっていない。ハード面としての、院内保育は実施していないので。ソフト面として、研修費のコストはかかっている。また、短時間勤務のための勤怠システム構築で数十万はかかっている。

Q:主体的に推進する部署はどこか?

A:制度自体の枠組みは、総務、推進室で行った。小さな工夫に関しては、セクションに入り込んで現場部署のオリジナル。看護部では、病棟師長さんから看護部長へ現場シフトの連絡が行ったり、推進室の県内外の情報に関する事例を挙げて看護部長に提供した。制度が浸透するまで何度も会議をして、子育て世代の看護師への理解を求めるために、足を運んで熟練看護師とコミュニケーションをとった。

—————————————————————————————————-
続いて、長崎県病院企業団主催「長崎の医療と病院経営を考える会」に参加されていた方
地域医療機関の方を含めて約40名のみなさんに講演会にご参加をいただきました。

②講演:「ワーク・ライフ・バランス、そしてダイバーシティへ」
 座長:メディカル・ワークライフバランスセンター長教授 伊東昌子
 講師:医療法人寿芳会 芳野病院 WLB&ダイバーシティ推進室 室長 小川 美里氏

 はじめに、ご自身のプロフィール紹介と福岡県北九州市若松区の案内、今年創立100周年を迎えた芳野病院の概要をご説明いただきました。
医療法人寿芳会 芳野病院・・・職員数:271名 事業内容:亜急性期・回復期リハビリを中心とした地域一般病院 住宅型有料老人ホーム、グループホームの運営 病床数:143床
 ワークライフバランス充実のための取り組みを始めたきっかけは、10年ほど前、院内のクラブ活動ミーティング時「結婚・出産しても働き続けるには?」といった素朴な疑問から活発な意見が挙がったことによるそうです。このような自然発生したワーキンググループを「職場環境改善提案会議」と名付け、当時総務課主任だった小川さんを中心に、子どもがいない職員も含め「事業所内保育園があるといいね」「短時間勤務できないかな」「連休取りたい」などの職員の声を総務部長へ提案したところ、「それはきっとこれから必要なこと、女性の労働力も必要だ」と後押ししてくださり、芳野元(はじめ)院長に報告をされたそうです。芳野院長は、約30年前のアメリカ留学時にダイバーシティ社会を実体験されており、昨今の日本におけるワークライフバランス施策の動向を予見されていたそうです。すぐさまトップの意思表明として福岡県の「子育て応援宣言」へ登録、職員へアンケートを実施。結果、「短時間勤務は利用したいが、6時間しか働けないのでは収入が減って困る」という声の多さに驚き、「出退勤の時刻を30分単位でずらし、勤務時間を1時間まで短縮できる」という育児・介護のための短時間勤務制度(6~7時間の正社員)を立ち上げられたそうです。多様な勤務形態のシフトは当初26種類から現在57種類。このシステム管理のために初期導入費用はかかったそうですが、あとは小さな工夫で風土づくりをすることが肝心とのことです。

 icon_idea.gif制度があっても利用を許容する院内の雰囲気がないといけないと感じました。
トップダウン・ボトムアップが風通しよく改革ができる、職員ひとりひとりのライフスタイルをくみ取れる中小病院ならではの具体的な推進方法を教えていただきました。

 芳野病院の3つの柱(制度)と、小さな工夫(風土づくり)を惜しみなくご提案いただきました。
みなさんの職場でも参考にされてみてはいかがでしょうか。
<取り組み内容>
★3つの柱・・・制度
1)男女問わず育児休業取得の促進
2)育児・介護のための短時間勤務制度(6~7時間の正社員)
3)1週間の連続休暇取得奨励制度
★小さな工夫・・・風土づくり
1)休業前オリエンテーション、休業中の面談、復帰プログラム
2)管理職研修
3)サンキューカード
4)キッズ・サマースクール(旧子ども参観日)の開催
5)海外研修
6)クラブ活動の支援
           など

 取り組みの成果としては、1)育休取得促進により、女性職員の育休対象・取得、復帰人数・復帰率は夫の転勤や、やむを得ない理由を除いてはほぼ100%で推移していて、男性職員も延べ4名が最短6日間、最長1か月取得者がいらっしゃるそうです。「患者さんやスタッフにも、より優しく接することができるようになった」「仕事も家事料理も段取りが上手くなった」との感想がでたそうです。 2)短時間勤務制度では、「家事・育児でのイライラが軽減した」「仕事の質が上がった」「後輩が同じ制度を利用するようになったら、恩返ししようと考えている」 3)1週間の連続休暇取得奨励制度では、勤続年数など条件はあるものの、旅行や結婚前準備、介護に利用でき、役職・一般職など利用対象者の約4割が毎年利用しているそうです。
 その他の成果として、①人材の確保定着(7:1看護の取得) ②職員意識の変化 ③職員のモチベーションの向上 ④『次世代育成支援対策推進法』達成による認定 ⑤報道などによるブランド力向上 があるそうです。

 icon_idea.gif職員が働き続けたいと思える病院が、優秀な人材を呼び、必然的にダイバーシティ(多様性、相違点。国籍、性別、言葉、価値観など、あらゆる違いを問わず人材を活用)を取り入れた、明確な差別化ができる地域病院が戦略的に生き残り、結果、離職率低下とともにES(従業員満足度)向上、CS(顧客満足度)へとつながり経営が成り立つのだと思いました。経営者の方は、制度や部署の設置だけで満足せず、職員のキャリア継続のための譲歩ラインを示し、職員全員まで浸透熟成期間を経て成果が表れるまで、辛抱強く長期的なスパンで見届けていただきたいと感じました。

 芳野病院では、新たな課題が出てきていることも話題になりました。4年ほどかけてワークライフバランスの概念が浸透し人材確保につながったが、制度利用者が増加→特に職員数の半分を占める看護部では短時間勤務者が15%になり、短時間勤務者の退勤後、業務の集中する時間帯と夜間勤務でマンパワーの不足が発生。課題解決として以下のような対策をとられているそうです。
<病院全体>
①業務の標準化 ②ワークライフバランス&ダイバーシティ推進室の設置 ③柔軟なシフト体制 ④ダイバーシティに関する全体研修
<看護部>
①固定チームナーシング ②夜勤専従看護師の登用 ③ユニット管理 ④部門ごとのヒアリング

 icon_idea.gif現在小川さんが室長として所属されているワークライフバランス&ダイバーシティ推進室は、院長と小川さんのお2人で構成。小川さんは室長、広報、院長秘書業務を行いながら、情報収集、ネットワークづくり、社内の相談窓口、地域への提案と、幅広くご活躍で、とてもイキイキと輝いていらっしゃいました。良好な人間関係を築かれている雰囲気が伝わってきました。元来、奉仕の精神が高い方の集まりである医療現場。患者さんだけでなく、職員同士にも「お互い様」の精神が根付いていくとよいですね。

2013年11月27日

 子育て中の医師の皆さんが、大学病院内で開催される医局会やカンファランス・講演会への参加を可能にするための託児サービスとして、大学病院内に「イブニングシッター」を10月より導入しましたicon_redface.gif
<ご利用者の感想>
「出産後初めて勉強会に参加することができました。子ども達もたくさん遊んでいただいて、とても喜んでいました。今後も利用させていただきたいです。2回目以降は託児申込書が不要でスムーズに依頼できるので助かります。」

更なる活発なご利用をいただけるように、説明会を開催いたします。
ご利用の流れを分かりやすく説明いたしますので、奮ってご参加ください。
実施の概要につきましては案内状、チラシをご覧ください。
対象となるお子さんは、乳児から小学校3年生までで、利用は1週間前までの事前申し込み制となります。
詳しくは、当センターまでお問い合わせください。





※ 申し込み・問い合わせ先
長崎大学病院メディカル・ワークライフバランスセンター
E-MAIL:info01アットマークnagasaki-ajisai.jp
    (「アットマーク」を「@」に換えて下さい)
案内状PDFはこちら チラシPDFはこちら
託児申込書のPDFはこちら ワード文書はこちら

1 2 3