2014年10月31日

日時: 平成26年10月30日 (木)13:30~15:00
場所: 長崎大学文教キャンパス 総合教育研究棟2階 多目的ホール
講師: 中央大学大学院 戦略経営研究科 佐藤博樹教授

 医療従事者の皆さんを対象にした「メディカル・ワークライフバランスセミナー2014」の翌日、講師の佐藤博樹先生(中央大学大学院戦略経営研究科教授)には、長崎大学職員を対象にしたセミナーにもご登壇いただきました。
 「管理職のための働き方改革セミナー」は、長崎大学男女共同参画推進センターと、長崎大学病院メディカル・ワークライフバランスセンターの共催で開き、学内の幹部や管理職などが参加しました。
 佐藤先生には、「ダイバーシティ・マネジメント~ワークライフバランス支援と女性の活躍の場の拡大~働き方改革が鍵」というテーマでお話しいただきました。

<講演の要旨>
 「ダイバーシティ・マネジメント」とは、多様な人材あるいは人材の多様性(ダイバーシティ)を生かせる組織づくりを目指すこと。基本は「適材適所」の考え方でよいが、「適材」と考える従来の人材像の見直しが不可欠。従来の「適材」は、使い勝手のいい人(例えば…日本人・男性・フルタイム勤務・時間制約なし・転勤制約なし…など)だったが、そうした条件に合致する社員は、いまや激減している。これまでの「適材」の枠を変えないと、人材の確保は困難になっている。
 ダイバーシティ・マネジメントは、単に多様な人材が配置されていればいい、というものではない。多様な人材が活躍できるような「仕組み」を整備することが基本。多様な人材の中から「適材」を選び、その人たちが活躍できるような組織・風土づくりをしていく。
 ワークライフバランス支援では、時間制約のない社員だけでなく、時間制約のある社員も活躍できる組織・職場風土を構築する。人材活用(管理職のマネジメント)の基本は、①社員が自分の担うべき役割を理解 ②社員が自分に期待された役割を実現するために必要な職業能力を保有(不足する場合は能力開発を支援)③社員が高い水準の仕事意欲を持続すること。管理職は、部下に仕事を任せていくのが役割。部下の仕事を上司がやっていたら、本来のマネジメントができなくなる。
 最近は社員の価値観やライフスタイルが変化している。仕事以外の生活で、大切にしたいことや、やるべきことのあるワークライフ社員が増えている。過去のように仕事中心のワークワーク社員ばかりではなくなった。上司は、部下が高い意欲を持って働けるように配慮することが、非常に重要になっている。自分の頭で考え仕事することが増えている現在、組織パフォーマンスを上げるためにも、大事なことであると言える。
 ワークライフバランスが実現した状態とは、社員が仕事上の責任を果たせると同時に、仕事以外での生活で取り組みたいこと、取り組まなければならないことができている状態。一方で、それらが両立できていない状態がワークライフコンフリクト。後者の状態だと、仕事に意欲的に取り組めなくなってくる。例えば、夫婦で子育てしたい社員の上司が理解してくれないとなれば、ワークライフコンフリクトを起こし、仕事への意欲も低減するだろう。そうなれば上司は、管理職として失格だ。
 これからは立場を問わず、時間制約のある社員が増えていく。管理職も例外ではない。時間資源は有限であり、大切に使っていかなければならない。そもそも、制約がなければ工夫しないものだ。時間制約を意識し、時間当たりの生産性を評価することが、効率を高める鍵となってくる。
 効果を上げている取り組み例として「週2日定時退社」がある。それぞれの都合に応じて、週2日の割り振りを自由に設定することが可能。毎日誰かが定時退社しなければならないので、夕方の会議がなくなる。定時退社を実現するために、1週間の仕事の段取りを工夫するようになる。定時退社日にさまざまな予定を入れることで、生活全体の充実にもつながる。
 管理職の部下への「期待」が、能力の開発機会を左右してしまう傾向がある。例えば、男性の部下に対しては、中期のキャリアを考慮して、能力伸長を期待して仕事を配分することになりがち。一方で、部下が女性だったらどうだろうか?「ピグマリオン効果」「予言の自己成就」などと言われるように、人間は期待された通りの成果を出す傾向がある。先入観をできるだけ排除し、本来のポテンシャルや意欲を見極めていくことが大事だ。

<参加者アンケートより>
 今回のセミナーの内容について「大変良かった」66.7%、「よかった」23.8%と、合わせて9割の参加者に評価をいただきました。
(意見の抜粋)
icon_smile.gif ・「時間制約」を前提とした働き方についてのお話が特に興味深かった。管理職だけでなく、職員全体が”時間は有限”と意識することが重要だと改めて気づかされた。
icon_surprised.gif ・「“時間を大切に、効率よく仕事をする”ことを考えるようにし向ける」という言葉が心に響きました。


2014年10月29日(水)長崎大学医学部良順会館2階 ボードインホールで、メディカル・ワークライフバランスセミナー2014~仕事と介護の両立を考える~を開催しました。
昨年も好評でしたが、今年は、長崎大学内の方26名と地域病院など学外の方55名の総数81名の来場がありました。
ご参加いただきました皆様、お忙しい中大変ありがとうございました!!



はじめに、主催者である第一三共株式会社より「メマリーの最近の話題について」の情報提供がありました。
認知症の治療にあたり、薬物療法により効果を実感しやすい12症状について、該当する様子をチェックして、ご本人とご家族から医師へ伝えることができる、便利なチェックシートを紹介されました。周囲を気にすることなく症状を医療関係者へ伝えることができる有効な手段だと思いました。
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《特別講演Ⅰ》
座長/春回会長崎北病院 病院長 佐藤 聡先生
「アルツハイマー型認知症患者の周辺症状と介護負担度-認知症治療薬(NMDA受容体拮抗薬)の効果-」
講師/医療法人厚生会 道ノ尾病院 副院長 芹田 巧先生

<ご講演の主な内容>
道ノ尾病院では、従来の精神神経疾患に加えて、近年認知症患者さんの入院が増加しているということです。Neurocognitive disorder と表されることもある認知症ですが、85歳以上の3割は認知症、日本で800万人の認知症患者さんが存在するという現実をお話しされました。早期発見のバイオマーカーはまだなく、症状が出現したら早期に治療を開始し、積極的に介入することで、症状の進行を遅らせることができるそうです。悪化してしまうと、周囲とのコミュニケーションがとれず、介護者の負担が増します。道ノ尾病院での臨床研究の結果を示され、症状の改善は介護者の負担の軽減につながるため、薬物療法と、非薬物療法を組み合わせて、治療をしていくことが大事であることを話されました。

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《特別講演Ⅱ》
座長/長崎大学病院メディカル・ワークライフバランスセンター 教授 伊東 昌子センター長
「仕事と介護の両立のために ~事前の心構えと両立マネジメントの基本~」
講師/中央大学大学院 戦略経営研究科 教授 佐藤 博樹先生

<ご講演の主な内容>
・子育てと違って、介護は誰でも直面する課題であるため、地震への心構えと同じように事前の心構えをしておくことが大事。
・仕事と両立するには、情報を入手して活用し、両立できるようにマネジメントをすることが鍵。
・職場で相談できる環境があるか、職場の介護休業のとり方をしっているか、休業中に仕事がカバーされる仕組みか・・など、子育てと同じように職場の環境整備も両立には大事。しかし、子育てよりパターンは複雑であり、要介護者とその家族の状況を把握してくれる良いケアマネージャーさんを探すことも大事。
・遠距離介護、見守りはマネジメント次第で可能なので、介護のために仕事を辞めないでもよい。
・介護休業を取得して、本人が介護にどっぷり携わるのではなく、休業後も仕事と両立できるよう、介護サービス運用のマネジメントをする。介護の素人がやるより、介護専門のヘルパーさんにお願いするほうが良いのでは?という考え方もできる。
・「介護離職をしない!」ために、まず、きっかけづくりとして、ご両親の介護保険被保険者証を見せてもらいましょう。

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<参加者アンケートより感想抜粋>
介護についてまったく考え及んでいなかった方や、介護中である方、将来の不安を少し感じてこられた方など、いろんな立場の方からの感想をいただきました。

・長崎大学文教地区から参加しました。現在親の介護、子どもたちの育児、そして仕事を両立中です。ぜひ文教地区にも広げていただければと思います。(介護と仕事の両立支援について強く望んでいます)。(30歳代男性・介護中)
・ケアマネージャーを変えたいと思っても、難しいです。自分で調べたり、他人に聞いて良いという人も、以前のケアマネより、自分たち家族に合わないということもあります。ケアマネのランク付けなど、表に分かるようにしてもらいたいと思っています。(50歳代女性・技術職員)
・仕事しながらの介護中ですが、ある程度両立できているかな…と、確認と自信につながりました。(50歳代女性・看護師)
・子育て支援のためのWLB対策への視点が中心になっていましたが、介護と仕事の両立支援対策も今後重要だと思いました。ありがとうございました。(50歳代女性・看護師)
・来年両親ともに65歳になります。まだまだ介護は先の話だと思っていましたが、親が65歳になったら、話し合いをする良いタイミングと知り(コミュニケーションは充分取れてはいますが)今一度、親・きょうだいと相談し、事前の心構えを共有しておく必要があると思いました。また、介護保険制度について全くといっていいほど知識がなかったので、概要を知る良い機会となりました。(20歳代女性・事務職員)
・ケアマネージャーとは、今までは介護のプロとして、プランなど従ってきましたが、状況によっては、かかわりを密に取り、こちらからリードしていくことも大事だと知りました。遠距離介護、直接介護している姉妹とのかかわり方など、またお話を聞くことができたら嬉しいです。(60歳代女性・技術職員)
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icon_lol.gif伊東センター長より

昨年度好評であった佐藤博樹先生の「仕事と介護の両立セミナー」を、今年度も是非実現させたいと思っていましたが、私どもの希望を叶えてくださり、長崎ですばらしいご講演をいただけました。
聴衆のみなさんは、昨年とは異なるため比較はできませんが、アンケートの結果では、今年度の参加者で(親などの)介護に対する備えができている人の割合が高いことがわかりました。また介護が必要になった場合、”仕事と両立できる”、”状況次第では可能”と考えている人は昨年度60%だったのが、今年度は72%でした。
「よりよい仕事と介護の両立」を目指している人の参加が増えたのでしょうが、介護をしながらでも仕事を継続することに対しての意識が高まってきたのかもしれません。
職場の制度を整えることも重要ですが、それをうまく利用していける風土作りは重要ですし、いざというときを乗り越えるために、介護への備えの必要性を再確認しました。
できれば大学で介護者になりそうだと心配している職員、まさに直面している職員に対して、支援できる仕組みを作っていきたいと考えています。

2014年10月30日

第53回長崎大学院セミナー
日時:平成26年10月27日(月)18時~19時
場所:放射線部カンファランス室(新中央診療棟1階)
主催:小児科学教室
演題:予防接種と臨床ウイルス学に導かれて~子育てまだまだ奮闘中~
講師:国立感染症研究所 感染症疫学センター 第三室長 多屋 馨子 先生

ヘルペスウイルスの研究で多くの業績を上げた後で、「感染症疫学情報発信」や「予防接種の推進」などで大活躍されている多屋馨子先生は、まだまだ子育て奮闘中の母親でもあります。ワーキングマザーのロールモデルとしての多屋先生のお話を、小児科のワークライフバランス推進員北村温子先生が報告してくださいました。

<長崎大学病院小児科 北村 温子先生より -子育て奮闘中・多屋馨子先生のお話を聞いて>
 大学院セミナー「予防接種と臨床ウイルス学に導かれて~子育てまだまだ奮闘中~」が10月27日、長崎大学病院内であり、国立感染症研究所感染症疫学センター第三室長 多屋馨子先生のお話を聴講してきました。
 以前は、夕方以降のセミナーや研究会は参加できないものとあきらめていましたが、昨年度からメディカル・ワークライフバランスセンターの「イブニングシッターサービス」が始まり、院内での勉強会にも参加できるようになりましたicon_razz.gif
 私は小児科医ですので、予防接種は身近なものですが、その制度は毎年のように変更があっており、ついていくだけで精一杯というのが現状でした。
きちんと勉強しなければ…と思っていたタイミングに加えて、講演のサブタイトルが「子育てまだまだ奮闘中」だったこともあり、とても楽しみにしていました。
 多屋先生は、国立感染症研究所で、感染症疫学情報発信や予防接種推進などのお仕事をされ、テレビにも出られるような先生ですが、ほんわかとした優しい印象で、非常にわかりやすいお話でした。
 ご講演の内容は、これまで研究されてきたこと(ヒトヘルペスウイルス7型が6型同様に突発性発疹を起こすことを世界で初めて報告されており、その他の業績も驚くようなものばかり)や、予防接種関連、感染症サーベイランスの重要性などがメインでした。
 「子育て奮闘中」に関するお話では、1人目を出産後すぐに復帰し、当直もこなしていたそうですが、お子さんが病気がちで入退院を繰り返すようになったこと、SARSで職場が非常に忙しい時に2人目のお子さんの妊娠がわかったけれども、終息宣言が出されるまでは妊娠したことを言えなかった、…などがありました。
 臨床、研究ともに第一線でご活躍されている先生も、私たちと同じようなことで悩んだり、立ち止まったりしてこられたのかもしれません。
それでも、大変だったこと、苦労されたことを、さらっと笑ってお話しされていたのが印象的でした。
 セミナー後の懇親会では、結婚後しばらくは週末婚だったため、週末に仕事ができないことが周囲に申し訳なく心苦しかった、…などのお話をされたそうです。
 ワーキングマザーのロールモデルとして、多屋先生を目標にすることは、私にはできそうもありませんが、仕事を続けていくために、何か一つでも大きな目標を持ちたいと思いました。
 目の前のことだけに必死になっている毎日を反省し、もう少し先のことを見据えながら、踏ん張っていこうと考えています。

2014年10月28日

「イブニングシッターサービス」も、リニューアルスタートしてはや半年が過ぎました。
10月14日時点で、通算16回開催し、利用者数:延べ17名。託児数:延べ25名。
昨年度は、子育て中の医師が対象でしたが、本年度は長崎大学病院全職員および
関連病院に所属する医師にまで対象を広げました。
現在のところ、長崎大学病院に勤務する医師はもちろん、関連病院に所属する医師や
看護師の方々にもご利用いただいています。

ある日の託児風景をご紹介します。
この日は、6歳と4歳のとても元気のいい、可愛いご兄弟です。
始めはボール遊びに興じていましたが、途中からシッターさんが準備してくださった
“ちょっと変わった粘土”に興味津々。自分たちで次々といろいろな遊びを創り出していきます。
子供の創造力は本当にすごいですね!!本当に楽しそうでしょう?

また、ご利用のお母さんがご感想を寄せてくださいました。(お父さんのご利用もお待ちしています!)
両立のための一助としてご利用いただき、またセンター職員の励みになるメッセージをありがとうございました。icon_redface.gif

icon_razz.gif昨年度から利用している、4歳児の母です。
以前は夕方から始まる勉強会や説明会へ出席する際、24時間保育所などを利用していました。
普段と違う環境を嫌い、泣き叫ぶ子供に申し訳ない気持ちをいだきつつ・・・。
そんな中、イブニングシッター開始のポスターを拝見し申し込みました。
初回から泣かず、大変楽しい時間を過ごせました。
先生は毎回異なる遊びを準備してくださいます。
今では、「ママのお仕事の保育園は次いつ行ける?」と楽しみにしています。
このような素晴らしいシステムを無料で提供してくださり、本当に助かっています。
悩んでいらっしゃる方は、是非利用されてみてください。心からお勧めいたします。

icon_surprised.gif私は普段は子連れで研究生活を送っています。
しかし講演会や勉強会となると、さすがに月齢の低い子供を連れて行くことができません。
私の実家は遠方で、夫も医師であるため、近くに頼りになる人もいませんでした。
そこでイブニングシッターなるものを知り、まずは気軽な気持ちで利用させてもらいました。
病院内に子供を預けるため移動距離も少なく、担当のシッターさんもベテランで、仲介してくれたメディカル・ワークライフバランスセンターの託児担当の方も柔軟に対応してくださり、(おまけに無償)勉強会に参加できました。
おかげで夢や目標、医師としての使命感を持ちながら子育てをすることができます。

お子様をみてくださる方がいないため、
夜間に開催されるカンファランスや勉強会、セミナーに参加することを
諦めている親御さんはいらっしゃいませんか?
是非「イブニングシッター」を利用してみませんか?
お子様の月齢や託児数によってシッターさんも十分な人数を手配いたします。
みなさんベテランのシッターさんですので、安心して預けることができます。

案内状PDFはこちら チラシPDFはこちら
託児申込書のPDFはこちら 託児申込書のワード文書はこちら

利用は1週間前までの事前申し込み制となります。
詳しくは、当センターまでお問い合わせください。

※ 申し込み・問い合わせ先
長崎大学病院メディカル・ワークライフバランスセンター
E-MAIL:info01アットマークnagasaki-ajisai.jp
    (「アットマーク」を「@」に換えて下さい)


H26年10月27日(月)、島根大学医学部 地域医療支援学講座 助教の日髙美佐恵先生と、しまね地域医療支援センター事務の石倉明子さんが、
長崎大学病院メディカル・ワークライフバランスセンターを訪問されました。

島根県のご出身で、3人のお子さんを子育て中の日髙先生は、当センターが実施している保育サポートシステムやイブニングシッターなどに興味をもたれており、各担当者を交えて質問に答えました。島根でも今後検討していきたいとのこと、私たちも応援しています!icon_lol.gif
また、当センターの活動において、県と医師会と大学病院からの財源を含めたサポートがあり、かつ、連携がスムーズであることに驚かれていました。
しかし、長崎大学病院には、いまだに院内病児保育施設がなく、院内保育所は給食設備が不十分であることについては意外に感じておられました。
日髙先生は、島根ではシッター業者も少なく、交通の便が悪い土地柄でもあるため、院内病児保育施設があって、本当に助かっているそうです。保育室は2部屋あり、6名の病児を預かることが可能ですが、感染症が流行する時期はすぐに満室になってしまうそうです。
当院でも、整備が進むように努力したいと思いました。この度は、遠路はるばるお越しいただき、ありがとうございました。icon_razz.gif

しまね地域医療支援センター えんネット


写真左より、石倉様、日髙先生、南副センター長

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