2015年1月30日

「平成26年度女性医師の勤労環境の整備に関する病院長、病院開設者・管理者等への講習会」を開催しました。

新たに医師となる人の3人に1人が女性であり、県内の医師のうち女性の占める割合は年々増加しています。ライフイベントによる離職を防ぎ、復帰支援を行うなど、ワークライフバランスを考慮した勤務環境の見直しが求められています。”あじさいプロジェクト”(県内の医師が働きやすく、働きがいのある病院をつくることを目的)を推進しているメディカル・ワークライフバランスセンターでは、この講習会を「トップセミナー」と位置づけ、事前に県内の155病院を対象に「医師のワークライフバランスに関する調査」を実施し、回答結果の発表と、当センターの取り組みを紹介しました。郡市医師会会員など約20名のみなさんに講習会にご参加をいただきました。

日  時:平成27年1月17日(土)午後3時~5時
場  所:長崎県医師会館
主  催:長崎県医師会
共  催:日本医師会、長崎大学病院メディカル・ワークライフバランスセンター

講演Ⅰ:「子育て医師のための保育サポートシステムの運用と長崎県医師会における女性医師支援活動~あじさいプロジェクトとの連携~」
講師:長崎大学男女共同参画推進センター 教授(副学長)
長崎大学病院メディカル・ワークライフバランスセンター
伊東 昌子センター長 教授

<講演の主な内容>
・長崎大学病院メディカル・ワークライフバランスセンターの概要説明
・長崎県医師会保育サポートシステムの概要説明、運用状況報告
・長崎県医師会との連携について(学生キャリア講習会、医師のワークライフバランスに関する調査の結果発表)
・あじさいプロジェクトの取り組み紹介(復職&リフレッシュトレーニング)
<質疑応答>
・これまでは、多くの男性医師の中に交じって”負けないぞ”といったバイタリティのある女性医師が多かった。最近は女性医師の割合も増えてきて、一部では、女性医師に対するサポートが”当たり前だ”という風潮がでてきている。今後長い目で見て、サポートを是として環境を整えていく必要があるのか、”甘えるな”と根性論を出しながら軌道修正していく方向がいいのか、ご意見を伺いたい。
→度々このような質問を受ける。バリバリやっていくことが継続できない状況になるのは女性に多くいる。子育て中だからとキャリアアップをあきらめるのではなく、 継続しながら徐々にフルタイム勤務に戻れるようにサポートしていくことが必要。子育て中だからという甘えでキャリアアップを断念しているわけではない。徐々にキャリアアップを目指してもらうのも、私たちの仕事だと思う。産休前の医師に相談を受けた場合は、育休をいつまで取得し、復職後どのようなスパンでフルタイム勤務にステップアップしていく計画なのかを聞き取り、アドバイスをしている。
・キャリアを積んだ医師は復職に対する意識も高いと思うが、男性医師からすると、特に若い研修医などは経験も積まずにダブルスタンダードでやっていけるのかという声を見聞きする。ぜひ若い医師への教育も含めてダブルスタンダードにならないよう指導していただけるとありがたい。
・保育サポートシステムは、時代のニーズに合ったシステムだと思う。子どもを預かるサポーターは、あらかじめ登録しておくのか?
→ 事前登録制。申し込みの後、講習を受けてもらっている。
・保育士の免許を持っているのか?
→一般の方でも講習を受けて、サポーター活動をしてもらっている。医師のニーズに合うサポーターをマッチングしている。
・現在の登録状況は?
→サポータが59名、医師が16名。
・保育サポートシステムは、長崎市内から長崎県全域に普及する事業なのか?
→ 女性医師の比率が多い長崎大学病院をモデル病院として現在運用中。ノウハウを確立後、市内に展開、県内まで拡大できればと考えているが、基金の財源が来年度まで。その後については長崎県医師会の男女共同参画委員会で協議していく。
・女性医師の場合、現在問題になっているのは、当直の問題。周囲との軋轢を少なくする解決策はあるか?
→他の病院の成功事例は、まずは医師確保。時短勤務正規雇用を取り入れ、当直できない医師の働き方も認め、勤務時間に見合った給与にすることで周囲の不満を解消する。正規雇用なので、将来的にはフルタイムになり、病院のおかげで就労継続できたと恩義を感じ、還元してもらえるとのこと。医師が確保できた場合の理想的なケースだが、現実は難しい問題だと理解している。
→ 子どもが留守番できるようになったら、みんなと同じようにはこなせないが、月に1回でも2回でも当直していくという意識を持てば、みんなが楽になる。若い医師には、社会や周囲の同僚、システムによって育ててもらったのだから、どんな形で恩返しし、還元できるかを考えられるような教育をやっていけたらいいと思う。女性に限らず、男性も同じで、国にもらった恩恵をどう社会に還元するかを考えることが、”当たり前”の意識、としたい。

講演Ⅱ:「勤務医のワークライフバランス」
講師:地方独立行政法人京都市立病院機構理事長
京都市立病院院長
内藤 和世先生
 
<ご講演の主な内容>
・10数年間取り組んでこられた勤務医問題を紹介
・京都市立病院の取り組み
・医師全体の勤務環境改善の紹介
・新しい専門医制度による課題
・勤務医と病院管理者の両者に対する問題提起
・日本一と自負される院内保育所の紹介
<質疑応答> 
・32時間拘束勤務の解消(宿直後公休制度)はどのように実現されたのか?
→ 執刀医、第一助手は当直明けに手術に入ることはない。まずは医師の確保をしないといけない。548床規模で200人の医師を抱える病院は少ない。そこまでやらないと(25%医師増)できないというモデルケース、逆を言えば、ここまでやればできるということを示したかった。独立行政法人化し、権限を得たので実現できた。
・医師を増やして、人件費は病院経営に支障はないのか?
→ 昨年度は一時的に建設コストが影響し、経常赤字だったが、1期4年間では黒字。積立金も増額した。これから2年間は厳しいかもしれないが、のちは安定するだろう。医師を増やしたことで、収益は30%増加した。
・研究・研修、専門医資格取得などの費用を病院が負担しているのか? 
→ 病院が負担している。
・院内保育所の運営に年間1億とのことだが、民間委託の運営なのか?病院からの補助があるのか?
→民間委託費用。ただし、地域枠15名を入れるとそれ以上にかかる。認可保育所並の料金設定にはしている。投資的な経費、委託費用が1億弱。
・医師確保はどのような割合で近隣病院から派遣されているのか?
→京都府立医科大3/1、京都大3/1、京都市立3/1で構成。研修医は全国から来るが、 半分近くは京都市立病院に残る。
・まず病院長に着任されて、どこに注力されたのか?
→優秀な医師を獲得することに本気で取り組んだ。

<センター長所感>
・長崎県の医師不足は深刻な問題であり、内藤先生のご講演は遠い理想を見せていただいたような気もしました。しかしそれは単なる理想ではなく、内藤先生が勤務医問題に対して、真剣に取り組まれた成果だということを、まざまざと見せつけられました。医師不足から生じる医師の疲弊、さらにそこから医師不足が連鎖する負のサイクルを、大きなエネルギーで変革されていることが分かりました。
 そして、先生の淡々とした語り口と湧き出るパワーに驚かされました。「トップセミナー」と位置づけた、病院長や経営者へ向けての講演でしたが、もっと多くのトップの方々に聞いていただきたかったです。

<参加職員の感想>
・特に院内保育所の整備については非常に印象的でした。産後休暇後すぐの復帰を可能にするための0歳児からの対応や、新築整備時に、特に利用の多い0~1歳児用のスペースを拡充するなど、職員が仕事と子育てを両立できるように、万全なサポート体制が整えられていると感じました。また、平成27年10月からは病児・病後児保育もスタートさせるとのお話でした。
 このような勤務環境改善が、常勤医師に占める女性医師の割合31.5%(全国平均約10%)という高い割合に表れていると思います。独立行政法人化することで医師数の増加を成功させ、その上で、男女問わず働きやすい環境の整備、良質な医療を安定して提供するために、様々な取り組みを推し進めていらっしゃる内藤先生のご講演に圧倒されました。
・「勤務医、女性医師を取り巻く環境は確実に変化している。女性医師は自らの権利と責務を果たせる環境を求めることが望まれる。そのため、病院管理者側からは、勤務医、特に女性医師の『立ち去り型サボタージュ』(物を言わず辞めていく)を防ぐ取り組みが必須。女性医師の権利と責務を果たせる環境を整備することが望まれ、女性医師のキャリア形成プログラムを準備すべきであり、医師のキャリアと能力を評価する仕組みを作ることが求められている」とのことでした。
 もちろん、取り巻く環境の違いはありますが、今回の内藤先生のご講演を拝聴し、権限を持った方の本気のやる気とリーダーシップ力があれば、困難な改革・整備がこれほどまでに実現可能になるのだと痛感しました。

2015年1月21日

【平成26年度 第5回復職&リフレッシュトレーニング 1/19(月)開催しました!】

復職&リフレッシュトレーニングは、育児・介護等で休職・離職中の医師に医療現場との気持ちの距離を縮めてスムーズな復職を促すプログラムです。就労中の方も、知識をリフレッシュしたい方はご参加いただけます。

今回は【急変対応の基礎 -BLSと初期評価- 】をテーマに実技を交えて開催しました。定員8名でしたが、1名欠席により、参加7名でした。初参加は2名で他5名はこれまでのトレーニングに参加したことのある方でした。地域病院から4名、院内から3名で、「不安解消と再確認のため」にご参加いただきました。

icon_idea.gif 復職&リフレッシュトレーニングの講義を録画したDVDをレンタルしています。参加できなかった回で視聴をご希望の方は、センターまでご連絡ください。

AHA(アメリカ心臓協会 心肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドライン)は、5年毎に改定されるので、過去に受講経験のある方も、変更点を確認しながら、最新の情報を習得されていました。近年は、いち早く、中断の少ない胸骨圧迫が重要視されているとのことです。 

↑講師の山下和範先生 
手の平付け根部分と肘と肩を相手の胸に対して垂直になるように。背筋を伸ばして胸骨を圧迫する。胸骨が5㎝沈む程度、1分間に100回以上、リコイル(戻り)をしっかり、位置がずれないよう胸から手を離さずに。

↑AEDお願いします!応援呼んでください!1・2・3で交代します!
(不安定なベッドやストレッチャーの上だと、マッサージや交代も難易度が上がります)

↑女性の小さい手でのBVMの使い方          ↑講義風景

急変患者のアプローチ方法に沿ってBLS人形を用いて、心肺蘇生のシミュレーションをしました。 
1回につき5㎝、1分間に100回以上のペースでしっかり胸骨圧迫することは、想像以上に体力が必要のようでした。2人態勢で対応できた場合、1人で最長2分間(体力の限界)のあいだ有効な胸骨圧迫を行うとなると、もう1人がマッサージの邪魔をしないようにAEDをセットアップし、声かけしながら交代したりと、2人の連携が重要だと感じました。その後、急変についてのレクチャーや、高機能シミュレーター METI manを用いてBVMの使い方のコツなどを教えていただきました。最後の質疑応答では、自動心臓マッサージを装着して搬送されてきた場合の対応は?気管内挿管のタイミングは?などの質問に、山下先生が丁寧にご回答くださいました。

<<参加者アンケートより>>
・わかりやすかったです。ACLSも興味があります。
・長らく急変対応する場面にいないので、本日は実技もあり少し不安が減りました。気管内挿管もできたらよかったです。
・実際にAEDを扱えたのでよかったです。
といった感想が届けられました。

復職&リフレッシュトレーニングを始めて3年になります。
3年分の参加者アンケートから、トレーニング受講前と後で気持ちの変化を比較すると、”すごく不安”が減少し、”不安なく対応できそう”が増加している結果が出ています。各個人のタイミングで、不安な分野に自信をつけて、最新情報を得られる有用な機会として、ご利用いただけたらと思います。

平成27年度は、参加者アンケートにてみなさんからご提案いただいた、”今後行ってほしいトレーニング”から講師の先生を選出し、調整していきたいと考えております。引き続き、自己研鑽のほか、ネットワーク作りの場としてご活用ください。icon_razz.gif

毎回県医師会にご協力いただき、開催月前月の県医師会報に折込チラシを入れています。
また、市医師会旬報にも記事として掲載をしていただいています。 興味のある方は、ぜひチェックしてみてくださいicon_exclaim.gif
毎回託児室を用意しています。


地域就労支援病院に三川内病院を追加しました

2015年1月15日

長崎大学病院 消化器内科 桑原愛先生のインタビュー記事を追加しました。

2015年1月5日

平成26年度 ながさき女性医師の会 講演会
市民公開講座
妊娠・出産を考えている女性だけでなく、すべての方に聞いてほしい。
妊娠について正しく学ぶことが必要です。
 「妊活って?のメッセージ
      晩婚・少子化時代に生きる貴女へ」

日時:平成27年2月13日(金) 19:00~20:30
場所:長崎市立図書館 多目的ホール
入場無料 予約・申込不要

主催:ながさき女性医師の会
後援:長崎県、長崎市、長崎県医師会、長崎市医師会、長崎県産婦人科医会、長崎新聞社、NHK長崎放送局、NBC長崎放送、KTNテレビ長崎、NCC長崎文化放送、NIB長崎国際テレビ、エフエム長崎

お問い合わせ:つるた医院 095-861-2221

申込みについては、ながさき女性医師の会ホームページ

●「妊活って?のメッセージ晩婚・少子化時代に生きる貴女へ」
 講師:国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 村島温子先生

●「婦人科クリニックから見る 長崎女子妊活事情」
 講師:やすひウィメンズクリニック 安日泰子先生

●「卵子は老化する!」
 講師:長崎大学病院 産婦人科 北島道夫先生

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