平成30年9月19日インタビュー

略歴: 医学部卒業後、消化器内科(旧第二内科)に入局、5年目にパートナーと結婚、国内留学(約3年間)の後、長崎大学病院消化器内科に戻り、9年目から助教、12年目から実家のクリニック院長となり、大学病院には週1回客員研究員として外来診療・治療・指導を行っている。14年目に出産し、産後すぐに長崎医師保育サポートシステム(旧長崎県医師会保育サポートシステム)を利用。保育サポーター2名による育児・家事支援で産後2か月目から大学病院へ復職。

Q1. 現在の「ワーク」と「ライフ」のバランスは?
A1.

開業医の仕事は月・火・木・金・土曜日です。水曜日は大学病院に来ています。出産前は火曜日の午後から夕方のカンファまで出ていました。また、出産前は、年間でトータルして2か月以上、国内外に出張していました。現在は発表や座長などの役職がある学会のみ、月1回程度に控えています。海外出張は、最近になって夫の母親に他県から来てもらって、少しずつ行くことができるようになりました。妊娠を機に念願だった犬を飼い始め、週末は子どもと犬と一緒に遊んでいます。

Q2. 論文を読む時間や、勉強する時間はいつですか?
A2.

講演や論文の査読の仕事が定期的にあるので、それに応じて勉強したり関連する論文を読むようにしています。必要に迫られた時のみ勉強している感じです。平日には時間が取れないので、出張時の移動中に勉強しています。

Q3. 育児・家事の時間短縮のコツやおすすめしたいことは?パートナーとの分担は?
A3.

平日の育児と家事は、ほぼ保育サポーターさんにお願いしており、簡単な食事の準備や掃除、洗濯物の片づけをしていただいています。お風呂や水回りの掃除は、別途外部委託しています。週2~3回の夕食はしっかり作ります。買い物に行く時間はないので、スーパーの宅配を利用しています。休日の家事と育児は、私か夫の手が空いているほうがやりますが、子どもに関わる時間は私の方が少ないですね。夫が子どもの面倒をよくみてくれるので、私の家事がはかどるのですが、子どもが夫になついてちょっと寂しいと感じたら「交代して」と言う時もあります。
保育サポーターさんに関しては、2人体制のフルタイムで働いてもらっているので、大変かもしれません。クリニック近くの自宅で保育してもらい、休み時間には帰宅して様子を確認できるため、とても安心です。報酬の負担はありますが、お陰様で仕事ができますし、私は、信頼できる保育サポーターさんに出会えてラッキーだと思っています。

Q4. 子育てを通して感じることは何かありますか?
A4.

夢中で毎日を過ごしている状況です。妊娠中は体調が優れずきつい時期がありましたが、産後はすっかり体調が戻りとても楽になりました。また、夜泣きによる寝不足で困ったことはありません。日中は、保育サポーターさんによく面倒をみてもらい、夜は親にかわいがってもらえるので、子どもの精神面のバランスが安定しているのかもしれません。生後8か月頃に保育園への入園を考えたのですが、精神面の発達に今の環境が充実していると思うので、来年4月、子どもが1歳半になるまで延期しました。私の両親は共に医師で開業医として働いていたので、専業主婦の家庭で育った夫とは、少し子育てを含めた生活に関する考え方の相違に気づくこともあります。
私が育った家庭は、父が自分の操縦で船旅に連れて行ってくれたり、家族みんなが大型バイクを乗りこなしたり、とてもアウトドアで自然との楽しみ方を教えてもらい、おおらかに育ててもらえたことを感謝しています。

Q5. 夫婦で子ども抜きのデートはしますか?
A5.

今のところ、夜に夫婦で外出することはありません。お昼ごはんは、自宅で一緒に食べています。

Q6. ストレス解消法を教えてください。
A6.

犬2匹と遊ぶこと、週1回大学病院に来ることですね。

Q7. 今後の人生設計について、どのようにお考えですか。
A7.

できればもう1人、子どもが欲しいと思っています。所属する学会では、知る限り夫と子どもがいて第一線で活躍している女性医師がいないので、日本の環境では不可能に近いのだろうと思っています…。外国では、夫が主夫であるとか、子育ての分担は平等にやるものだという感覚で、夫が早く帰宅することができたりしますよね。子どもがいても、学会参加だけなら可能ですが、発表や会議が続くときに、誰が子どもの世話をするかとなると、第一線でアカデミックな学会活動をするのは難しいだろうと感じています。大学病院での仕事は、ある程度後続の先生に協力してもらっています。実家クリニックの院長としては、複数の診療科があり、病棟や関連する介護施設もあるので、予想できない大変さですが、家族・兄姉妹と協力してやっていきます。
これまで仕事でいろんな場所に行き、様々な経験をさせて頂きましたが、今後は家族と一緒の時間を過ごすこと、家族で旅行に行くことなど、今までの経験と違う喜び、違う楽しみに目を向けたいと思っています。夫は、子どもがある程度大きくなったら、また仕事をバリバリ頑張りたいと考えているようです。今は、子どもとクリニックのために、最大限の協力をしてくれているし、我慢もしてくれていると思いますが、ひと段落したら、大きい病院に戻るかもしれません。

Q8. これから仕事と子育てを両立する皆さんへ、応援のメッセージをお願いします。
A8.

仕事も子育ても、どんなことも、周りの助けがないとできないことなので、仕事と子育てだけに固執して思い詰めないで、信頼できる外部の助けを得て、上手くやっていくようにするといいですね。できることしかできないと割り切って、できることをできるようにちゃんとやれば、どんな仕事が偉いとか、どれだけしたら偉いとかではないと思っています。どこでどんな仕事をしていても、常にそのときが自分のピークだと思えるような人生を送ってきたし、今後もそうなりたいと思っています。
人それぞれですが、最初にやりたい仕事のキャリアを確立してから子どもを産んだのは、私は良かったと思います。子どもができると、フルタイムの仕事がもう一つできるみたいなものでしょうから。でも、どのタイミングで子どもを授かっても、夫婦のどちらもが平等に休暇を取得できたり、仕事と子育てを両立しやすい世の中になって欲しいですね。


お子さんとシェパード犬

<センターより>
南ひとみ先生が、長崎医師保育サポートシステム(旧長崎県医師会保育サポートシステム)に申し込まれたのは、産前3か月の時でした。出産退院の1週間後には保育サポーターさんに自宅へ来てもらい、徐々に院長業務を再開され、2か月後には大学病院にも復職されました。食道アカラシアに対するPOEM:内視鏡的食道筋層切開術では、日本を代表する医師であり、また、クリニックの院長としての重責を担う立場にあっての出産ですが、事前に計画を立てて準備をされ短期間で復職されました。子どもがいても、しっかり働くことは、ひとみ先生のお母様が医師として働く姿から自然に学ばれたのかもしれません。「子どもが2人になったら、第一線で活躍することは難しくて、ひとつの限界。それが日本の現状。」と見切った少し残念なコメントもありましたが、専門領域を極めたひとみ先生は、次に家族との時間を楽しむことも、極めるのでしょう。
キャリア形成と出産時期は、多くの女性医師が悩むことですが、いつ授かっても、いろんなサポートを準備して、働くことにも、お子さんの成長にも支障をきたさないように、メディカル・ワークライフバランスセンターがお手伝いいたします!

 

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