2022年10月、産後パパ育休(出生時育児休業)が新設され、男性が育児休業をさらに取得しやすい環境が整いました。長崎大学で産後パパ育休の取得第1号・教授自ら育児休業を取得して「働きやすい診療科」を体現した男性医師へ、緊急インタビューを行いました。

令和4年10月28日インタビュー

Q1. 産後パパ育休や育休の分割取得を、いつ頃からご存知でしたか。
A1. 今年9月です。院内で毎月開催されている※「産休・育休前説明会」に参加して知りました。わからなかった細かい点は、所属部署の担当者に相談して情報提供してもらいました。国の10月の法改正に準じて長崎大学の規則も改正発表前でしたが、初めての手続きを丁寧に調べていただき、助かりました。
※2022年4月の法改正では、妊娠・出産等を申し出た職員に対し、事業主は育児休業制度等に関する事項についての周知が必須。
Q2. 育休取得の期間ときっかけは。
A2. 今年10月、第二子が生後1か月の時に1週間取得しました(新設の産後パパ育休に該当。別名:男性版産休)。きっかけは、医局長の頃に後輩へ育休取得を推進していたからです。後輩からは、私自身が取得しないと「ダブルスタンダードになりますから、取得してください」と提案されました。
Q3. ご家族の反応はいかがでしたか。
A3. 妻は大変嬉しそうでした(第一子時は未取得)。「一緒に子育ての時間を共有する」ことができたからだと思います。
Q4. 周囲(同じ診療科の医師など)から反応はありましたか。
A4. うち(心臓血管外科)の診療科は、男性の育休取得がスタンダードになっていますので、後輩達は、私が取得してホッとしたようです。個人的には、教授に就任して1か月程度(2022年9月1日付就任)でしたので、休業に伴う手術への影響などが不安でした。そこで、河野 茂学長、そして中尾 一彦病院長に取得の意向をお伝えしました。お二人の先生からは取得への後押しあり、大変、心強かったです。『上司の理解』の大切さを再確認しました。
Q5. 休業前の仕事の調整は大変でしたか。
A5. 1週間の育休でしたが、手術の調整に気を配りました。重症の予定手術症例は育休前、後に組み込みました。私のような立場ですと、1か月連続の育休はかなり難しいように感じましたので、今回新設された育休制度は、最大4回に分けて取得できるので、大変良い制度ではないかと思います。
Q6. 休業中の家事と育児の役割・パートナーとの分担はどのようにされていましたか。
A6. 元々、毎朝の洗濯や掃除(トイレ・浴室)は担当していますので、それは継続しました。食事作りは妻が担当です。育休中は、母乳後のミルク授乳や沐浴、上の子の幼稚園(認定こども園)送迎を担当しました。授乳は3~4時間おきにありますので、夜間は眠い目をこすりながら行いました。眠かったですが、逆に育児の大変さがよくわかりました。それと上の子が寝付くまでの時間、夜9時半から1時位までの赤ちゃんのお世話ですが、その時間帯は私の担当として、妻にぐっすり寝てもらうことにしました。夜間の抱っこも「座ると泣く、立って歩くと泣き止む」の繰り返しでしたが、妻からは「ゆっくり眠れて助かった」と言われました。久しぶりの沐浴は、ガクンガクンする首を安定させるのに苦労しましたが、お湯に浸かると気持ち良さそうな顔をするものですから、今でも早く帰ったときは、入れています。
Q7. 印象に残るエピソードはありますか。
A7. 上の子が幼稚園に行っている間は、夫婦二人と赤ちゃんだけなので、妻とゆっくりと会話ができました。有意義な時間でした。
Q8. 育休を取得して良かったと思いますか。
A8. 良かったですね。後輩には育休取得をすすめてはいたものの実態は「?」でしたが、今回の取得でよくわかりました。育休中の経験があると、帰宅して何をすると良いのかがわかりますしね。夜のお世話は、今でも続けています。妻には十分な睡眠をとってもらいたいと思っています。母親の「産後うつ」の原因の一つに睡眠不足があることを聞きましたので、そこはフォローしていきたいと思っています。
Q9. 育休を取得して感じるプラス面・マイナス面はどんなことですか。
A9. プラス面は、普段、妻がどれだけ頑張っているかがよくわかったことです。大変さは理解しているつもりでしたが、実際に体験してみて、妻の有難さと偉大さを再確認しました。感謝の気持ちでいっぱいです。
マイナス面は、仕事が気になったことですが、それは教室の先生方や診療看護師などがしっかりカバーしてくれました。私のような仕事好きな人は、長期間休むと禁断症状が出て変調をきたすかもしれませんので、複数回に分けて短期間の取得から試してみることが良いように感じました。来月は新たに1週間取得する予定にしていますし、半年後にも1週間取得しようかなと考えています。
Q10. 育児休業取得の経験は、今後の生活・仕事面に生かされると思いますか。
A10. 生かされると思います。せめてこの子が大学を卒業するまで、私が健康でいなければと思うようになりました。それと、仕事はできる限り短くして早く帰りたいとは思っています。
Q11. 他の診療科にも育休取得をおすすめしたいですか。
A11. おすすめしたいですね。うちの心臓血管外科は3割が緊急手術で急な呼び出しもあるため、仕事に対しての家族の理解・支援がないと成り立ちません。医師としてイキイキと働き続けられるように、心臓血管外科の医師には有給休暇もできる限りとって欲しいし、引き続き男性育休を取得してもらう方針です。
とはいえ、それぞれの科の状況や事情もあるでしょうから「育休取得を検討する価値は高いですよ!」というメッセージになります。男性育休は、いろんな意味で日本の将来に好影響を与える制度だと思います。家庭円満(夫婦間の仕事への理解向上など)、少子化対策でしょうか。日本の育休が進み、子ども達が親の世代になったときにどうなっているのか、今から100年後はどうなっているのか、とても楽しみです。
Q12. 今後、長崎大学病院の中で、男性の育休取得が普及し、常態化していくには、何が必要だと思いますか。
A12. このインタビューの継続発信だと思います。クチコミも大切だと思います。

 

<センターより>

三浦 崇教授は育休のメリットとして、子育てだけではなく、夫婦二人の時間を確保できて、ゆっくり会話することができたことも挙げていました。新しい家族を迎えて新たな生活をスタートさせるときに、将来のことなどを話し合う貴重な時間を過ごし育休を有効利用されていると思いました。また、教授として責任のある職位で、長期の休業は難しいと感じておられますが、2022年10月からスタートした新しい育休、最大4分割での取得可能な制度のおかげで、2回目の1週間単位の育休取得を計画されているそうです。「産後パパ育休」と「育児休業の分割取得」を上手に利用すると、多忙かつ重責を担う医療人でも、育休を取得して、家族の絆を深め、仕事の責任も果たすことが可能となるようです。

三浦 崇教授は、医局長時代に、後輩に育休取得を推進しておられましたが、実際自分で取ってみると全然想像と違ったとのことで、みなさんに、ぜひ育休を取得して欲しいと話されています。

心臓血管外科は、前任の江石 清行教授も、新任の三浦 崇教授も共働きのため、共働き家庭の子育ての大変さをよくわかっておられるからこそ、男性の育休取得推進に早くから着手されたのだと思います。心臓血管外科の医師が仕事と生活を両立させ、さらに相乗効果を生む働き方の事例を参考に「教授がすすめる男性育休」をすべての教授や管理職のみなさんにご理解いただき、男性の育休取得の後押しをお願いいたします。

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