
令和5年3月23日インタビュー
Q1. |
2022年度に新設された「産後パパ育休(出生時育児休業)」を取得されましたが、いつ頃からご存知でしたか。 |
A1. |
2022年春、妊娠がわかった時に、妻から「産後パパ育休って制度があるらしいよ~」と聞いて知りました。制度について詳しく調べるために、本院人事企画課が行う「産休・育休前説明会」に参加して、よく理解することができました。産後パパ育休は、2回に分けて取得でき、育休中に一時的な出勤もできるので、とてもよくできた制度だと思います。予定日通りに子どもが生まれるとは限らないので「完全に休まないといけない」のではなく、就業可能な決まりごとの範囲内で出勤がある程度認められているほうが、仕事の調整がつきやすく、育休を取得しやすいと感じました。 |
Q2. |
育休取得の期間ときっかけは。 |
A2. |
第二子が生後1か月を過ぎた2022年11月に約2週間取得しました。出産後から妻と子どもたちは妻の実家に里帰りしていて、自宅に戻ってくるタイミングでした。第一子は2歳ですが、その子の時は育休を取得しませんでした。当時は勤務時間の融通も利きましたので、取得しようという考えに及びませんでした。きっかけのひとつは、2022年2月に薬学部から本院の薬剤部に異動してきましたので、職場のトップがまず育休を取ってインパクトを与え、部内に自身の姿勢を伝えたいと考えたことと、もうひとつは、家庭の事情として、子どもが二人に増え、一人目の時よりも大変だろうと思ったからです。それで里帰りから自宅に戻る時期を選んで取得しました。
実は、本学第一号の産後パパ育休取得者となった三浦崇教授が、教授就任(2022年9月)のご挨拶でお話した時に、1か月後に育休を取得すると聞き、私も迷いは吹っ切れて、取得しよう!と思えました。 |
Q3. |
ご家族の反応はいかがでしたか。 |
A3. |
妻は「えっ。本当に取るの?!」と嬉しさよりも驚いた感じでしたが、制度について調べてくれて、本院の説明会の情報と合わせて、書類を準備しました。 |
Q4. |
周囲(同じ職場、他の職場など)から反応はありましたか。 |
A4. |
薬剤部の管理者ミーティングで産後パパ育休を取得する意向を伝えたところ、最初は少し驚いて戸惑った反応でしたが、人材の定着やワークライフバランスを総合的に考えてこれからは男性が育休を取ることを奨励していきたいという私の方針を説明すると最終的には「それなら良いですね!」「これからは大切なことだと思います」と理解してもらえました。 |
Q5. |
育休前の仕事の調整は大変でしたか。 |
A5. |
9月の下旬の出産から育休取得まで1か月あったので、部内での業務分担や会議の調整を済ませることができました。 |
Q6. |
育休中の家事と育児の役割・パートナーとの分担はどのようにされていましたか。 |
A6. |
妻も薬剤師で共働きなので、普段から子どもの入浴、洗濯の手伝い、食事の世話などはしています。第一子(2歳)の面倒もみていましたが、幼児の相手をずっとすることは楽しい面もありますが、「体力・精神的に大変なことだ」と身をもって知る良い機会になりました。 |
Q7. |
印象に残るエピソードはありますか。 |
A7. |
夜中に私が起きて、授乳・おむつ交換などをすると、思った以上に妻にとても感謝されました。これは育休が終わった後もできるだけやろう、と思いました。出産後・育児中の睡眠不足は産後うつの原因ともいわれているので、妻の寝不足解消に少しは役に立てて良かったです |
Q8. |
育休を取得して良かったと思いますか。 |
A8. |
もちろん!妻も精神的に安心感が強かったと思います。出生後8週間以内に取得できたことは非常に良かったです。 |
Q9. |
育休を取得して感じるプラス面・マイナス面はどんなことですか。 |
A9. |
プラス面は、子育て早期の大変な時期に妻と多くの時間を共有できたこと、第一子との結びつきがより強くなったことですね。第二子をお風呂にいれるのも上手になりました! マイナス面は特になかったですね。 |
Q10. |
育休取得の経験は、今後の生活・仕事面に生かされると思いますか。 |
A10. |
育休を取得する意義は大きかったと思います。薬剤部長として姿勢を示すことができましたし、実体験を話して男性職員へ取得を促すことができます。すでに部内で後続して男性薬剤師の育休取得予定者がいますので、これが続くように今後も雰囲気づくりをしていきます。ただ、男性の場合は、子どもが生まれる、生まれた情報を教えてくれないと、すすめることもできないので、コミュニケーションを大切に、情報が入ったら「育休取得はどうするの?ぜひ取ったら?」と話したいと思います。コロナ禍で人員減の対応も学びましたし、人に仕事がつかないように「業務の見える化・効率化」に取り組むことで、育休を取得しやすい環境を整えていきます。 |
Q11. |
育休取得に関心のある男性にアドバイスできることはどんなことですか? |
A11. |
長い目でみたときに、確実にこの時期の家族の団結はプラスになると思います。仕事の調整が大変なこともあると思いますが、毎日の育児の大変さを実感でき、妻からの評価も上がりますし、前向きに取得を考えてほしいと思います。 |
Q12. |
今後、長崎大学病院の中で、男性の育休取得が普及し、常態化していくには、何が必要だと思いますか。 |
A12. |
育休取得率や、取得できる人たちが、取得しなかった、もしくは取得できなかった理由をきちんと調べて、数値目標を出すことが良いかもしれないですね。 |
<センターより>
大山要教授は、薬剤部の女性職員へ育休明けの復帰時は時短勤務ができることを紹介しています。これまで案内した全員が時短勤務を選択し、いずれはフルタイム勤務に戻って働き続けたいと希望されるそうです。男性職員にも積極的に育休取得を推奨する一方で、仕事と介護の両立についても準備を始め、将来を見据えておられます。大学病院は薬剤師数が多く、福利厚生面や認められた制度を活用すれば、様々な境遇の薬剤師が働き続けることができ、学生から働きやすい職場として就職先に選ばれやすくなると話されました。職場環境の整備に真剣に取り組み、様々なライフイベントを抱えても、優秀な人材が働き続けられる長崎大学病院薬剤部を目指しているトップマネジメントに期待しています。
男性の育児休業取得率等の公表について 出典:厚生労働省ホームページ
※2023年4月から、従業員が1,000人を超える企業は、男性労働者の育児休業取得率等の公表が必要です。