九州の女性活躍推進シンポジウム(福岡市)に参加しました
2013年9月27日

九州の女性活躍推進シンポジウム
~企業戦略としての両立支援 時間当りの生産性を高めるために~
日時:平成25920日(金)15:00~18:00
場所:電気ビル共創館(福岡市)

<基調講演> 経済産業省 経済社会政策室長 坂本里和氏
「成長戦略としての女性活躍推進~女性が企業を元気にする~」

経済産業省の女性室長であり、四児の母でもある坂本さん。
女性活躍推進を経営戦略の一環と位置付けた、同省ならではの施策を紹介されました。

*「成長戦略」としての女性活躍推進
 安倍政権の成長戦略では、「女性活躍推進」が中核をなすと考えられています。経済界に対しては、「202030%」という政府目標の達成に向け、役員・管理職への積極的な女性登用を要請。また、女性が働き続けられる社会を構築するため、子どもが3歳になるまでに男女双方が育児休業や短時間勤務を取得しやすいよう、職場環境の整備を進めています。

 日本は、先進国内でも女性の管理職比率が非常に低いのが現状。女性の就労促進が日本経済の重要課題だということは、立場を問わず共通認識となっています。女性の労働力率アップが出生率の上昇にもつながることは、先進国の実例からも明らかになっています。

 多様な人材をフル活用し、企業のパフォーマンスにつなげる「ダイバーシティ・マネジメント」。女性の活躍推進は、その試金石ともいえます。多様な市場ニーズへの対応、リスク管理能力・適応能力向上、SRI(社会的責任投資)を通じた安定的な資金調達など、ダイバーシティ経営のメリットはたくさんあります。実際に取り組んでいる企業は、生産性が高く、業績も好調で、リスクへの対応力もあることが、データでも示されています。

*女性活躍推進に向けた経済産業省の取り組み
 経産省でも、多様な人材を生かした経営(ダイバーシティ経営)の支援を進めています。
○ 「ダイバーシティ経営企業100選」
 優れたダイバーシティ経営企業を選定・表彰し、ベストプラクティス集として広く発信。
 ダイバーシティ経営は、福利厚生やCSR(企業の社会的責任)というよりも、経営戦略の一環として、競争力向上のための人材活用という目的で取り組むことが重要です。

○ 女性活躍推進のテーマ銘柄「なでしこ銘柄」
 経済産業省と東京証券取引所が共同で、女性活躍推進に優れた上場企業を、中長期の企業価値向上を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介。選定に当たっては「女性のキャリア支援」と「仕事と家庭の両立支援」という2つの側面から評価しています。

<パネルディスカッション> 「2020年女性管理職30%へ向けて~九州戦略~」
 福岡県内の企業をはじめ、ワークライフバランスやダイバーシティ、両立支援等に関わる専門家の皆さんがパネリストとなり、女性活躍推進について意見が交わされました。次のようなコメントが印象に残りました。

○ 男性が、積極的に家事や育児に参加していかないと、女性は活躍できない。
○ 妻が仕事を続けられるようサポートしたいと思い、育児休業を取得。子どもの成長を間近で見ることができ、他に代えがたい喜びがあった。仕事のモチベーションアップにもつながっている。男性にも是非育休を取得してほしい。
○ 主婦こそ人材の宝庫。女性は出産経験を経て、がぜん力をつける。「女性の潜在能力は高い」ということを発信し続けたい。
○ 経営者の姿勢が大事。トップが自ら方針を宣言し、旗を立てて動けば、組織もずいぶん変わりやすくなると思う。
○ 企業での推進活動に当たっては、ネーミングも大事。企業ブランドやイメージカラーなどをプロジェクト名に掲げると、当事者意識が醸成されてうまくいきやすい。
○ 時短などで他にしわ寄せがいかないよう、チーム全体のバランスを考えなければならない。テレワークなどを活用しながら、フレキシブルな勤務を進める必要がある。
○ 男性にとって育休の大きな壁は、休業中の大きな収入減。雇用保険からの給付金はあるが5割程度で、専業主婦家庭なら負担が大きい。こうした部分での手当てがないと、なかなか増えないのではないか。

 女性活躍推進は、少子高齢化の日本において、もはや避けて通れない取り組みとなっています。そう理屈では分かっていても、既存の仕組みを変えることは難しく、なかなか具体的方策に踏み切れないのが現状かもしれません。ただ、先進例から見ても、経営者・労働者双方にとって推進のメリットは明らか。トップをはじめ組織全体が、その意義を正しく理解し、素早く行動へ移すことが大事なのではないかと思いました。icon_surprised.gif