久留米市 仕事と子育て両立支援推進セミナー
両立支援って、実は女性のためではなく、男性のためでもあったんです!!
~女性も男性も会社も元気になる新しい生き方・働き方のススメ~
日時:平成26年3月6日(木) 14:00~16:00
場所:久留米市商工会館 5階大ホール
講師:勝間和代氏(経済評論家)
経済評論家の勝間和代さんが、両立支援をテーマにお話しされました。約2時間にわたるパワフルな講演で、内容も盛りだくさんでした。
◆ 国としては女性にもっと稼いでほしい
安倍政権の経済政策として掲げられている三本の矢(アベノミクス)は、「金融政策」と「財政政策」、「成長戦略」。このうち成長戦略では、女性や若者の活躍に焦点を当てています。教育を受け、能力があるにもかかわらず、社会で活躍できていない女性が多い日本。女性の持つ潜在的能力を、もっと生かすことが課題となっています。
一般的に女性は男性より長く生きるので、その分社会保障費を多く使うことになります。特に高齢者の女性は、生活保護を受ける割合が高いとか。従来のように女性の所得が少ないままだと、国としては税収が少なくなるので困るわけです。
女性が働きながら子どもを産むことができ、若年層がしっかりとした職に就けるようになることが、就業人口と税収の増加、少子化の改善にもつながり、将来の日本を支える鍵になるそうです。
◆ 女性には女性にしかできない仕事がある
男性・女性の感受性や能力に違いがあるのは事実。例えば、セーターの品揃えは男性だと5色もあれば十分だそうですが、女性は30色ないと満足しないそうです。それだけ女性は色の識別能力が細やかなのですね。女性にしか分からない感覚というのはどうしてもあり、もし女性に売ることが前提なら、女性が積極的に企画や意思決定層に入るべきだということです。
また、政治家などのリーダー層についても、メンバーに女性が少ないと政策内容にゆがみが生じやすくなるということです。意思決定層は、できるだけ母集団に近い比率にした方が、的確な政策決定ができるそうです。
◆ フィンランドの帰宅ラッシュは夕方4時
夫婦で共に働き育児ができるフィンランド。8~9時に出勤し、帰宅ラッシュは夕方4時ごろだそうです。一人当たりの年収が400万円位でも、夫婦合計で800万円位になり、豊かな生活ができるといいます。
スウェーデンでは、取締役の女性の割合が4割となっています。女性が3割以上になると少数派ではなくなり、多様性が生まれてくるそうです。メンバーが多様になることで、的確な判断ができるようになり、優秀な集団になるということです。女性比率の高い会社は業績が高いと言われ、女性活用は業績アップの大きな潜在機会となっています。ただし、女性が補助的な仕事ばかりに従事しているようでは、十分な貢献はできないということも留意しておかなければなりません。
◆ 時間当たりの労働生産性を上げるところしか解はない
日本は1時間当たりの生産性が低いと言われています。OECD加盟諸国で比較すると、スペインやギリシャと同じレベル。ワークライフバランスの基本は「生産性の向上」であり、長時間働かなくてもアウトプットできる仕組みを作ることが重要です。特に知的産業はしっかり寝て翌日に備えることが大事で、我慢ばかりしていると、集中力も生み出す価値も低下してしまうそうです。
◆ 1日6時間労働を目指し、お父さんが18時に帰れるように
世界幸福度ランキングで、日本は先進国の中でとても低いレベルとなっています。ちなみに北欧諸国は上位にランクイン。日本の場合、特に高齢者男性の幸福度が低くなっているそうです。現役時代、仕事に時間を取られすぎたせいで、友人が少なく、家や地域に居場所がないことなどが原因のようです。長時間労働を解消し、早くから生きがいや居場所づくりをすることが大事です。
◆ 「三毒追放」のすすめ
三毒とは「怒り、ねたみ、愚痴」という、仏教において克服すべきものとされる最も根本的な3つの煩悩だそうです。日ごろから「怒らない、ねたまない、愚痴らない」という三毒追放を実践することで、運も上昇していく…ということでした。
【感想】
「お父さんが18時に帰れるように」が実現できれば、女性・男性ともにワークライフバランスが上手くいくと思いました。そのためには、時間帯がおのおの違っても、1日8時間労働で回っていくような仕事量、そうするための無駄を省く努力、社会全体の意識改革が必要だと感じました。
私たち一人ひとりが労働生産性を上げて労働時間を8時間にする、仕事と家庭・地域で居場所を作ることが当たり前という感覚が社会全体に広がれば、医療の現場も例外ではなくなると思います。
「できる範囲で少しずつ進めていくのが鍵」だそうです。頑張りましょう!