日時:平成26年8月8日(金)9:50~12:30
場所:ながさき看護センター(諫早市)
公開研修:看護職のワーク・ライフ・バランス推進ワークショップ
長崎県看護協会では、平成23年度から「看護職のワーク・ライフ・バランス推進ワークショップ」を実施しています。これまでに県内9施設(すべて病院)が参加し、すでに3年目の結果報告をされた施設もあります。今年度は新しく2施設がワークショップに参加されています。当センターも、昨年に引き続きオリエンテーション講義を聴講してきました。
副島都志子会長は冒頭のあいさつで、「看護協会では、看護師の離職防止・潜在化防止にも取り組み始めている。良い看護を提供し、患者さんと職員の笑顔を増やすように努力していきたい」と話されました。
<講演1>「ワーク・ライフ・バランスの基本~あなたが変える、組織が変わる~」
講師:熊本大学医学部附属病院 医療の質管理センター
副センター長 菊池 健 准教授
最初の講演は、昨年も好評だった熊本大学の菊池健准教授によるもので、ワークライフバランス(WLB)実現のための実例や具体例を挙げた、分かりやすいお話でした。
WLB実現のためには、かけ声だけではダメで、具体的な成果を上げなければいけないことを強調されました。WLB推進の立ち上げから、実際の利用、発展まで、どのようにプランを立て、実行・検討・発信していくか、現実的なやり方を教えてくださいました。
ゴール設定の際、成果指標は必ず具体的な数字を挙げて、視覚化することが大切だそうです。「ベビーステップ」という小さなステップに分解し、進捗と達成を全員で評価することがポイント。評価をして改善するときに、たとえ悪い結果であっても、事実を受け止め、改善に結びつけることが重要だということです。実際に、そのことを行動に移した施設の例も紹介されました。
つい、会議室にどっかりと座って長時間浪費しがちな各種会議ですが、これも制限時間を設けて短くしたり、思い切って開催をやめたりするのも効果があるそうです。何かあった時はさっと集まって、立ったまま協議すれば、わずか5分で話がまとまることも少なくない、ということでした。
やりがいのある職場にするために、WLBを意識した人材育成・人材教育を行っていくと、おのずと人が集まってくるようです。看護師も、医師も、やりがいのある仕事だと実感できるような職場環境作りが大事ですね。
<講演2>「知っておくべき労働法」
講師:社会保険労務士 田川 智砂子 先生
今年度は、WLBに関連して、知っておくべき法律についての講演もありました。
まず労働基準法をはじめ、労働契約法、男女雇用機会均等法、育児介護休業法、民法など、関連する法律の紹介があり、続いて雇用契約や労働時間、休日・休暇などについて、具体的に解説されました。
また、夜勤や宿直に関する日本看護協会のガイドラインについてもお話がありました。夜勤については「拘束時間は13時間以内、仮眠は連続2時間以上を目安にし、夜勤の休息は24時間以上を基準に」、宿直については「所定労働時間に算入されないため、業務密度の低い働き方が原則。週に1回以下に抑えることが望ましい」と述べられました。
さらに「母性保護にかかわる法律は、将来の社会(年金)を担う子どもを大切に育てるために、必要な措置だと考えるとよい」とも教えてくださいました。
最近の話題である、長時間労働やメンタルヘルスについても触れられました。ストレスをためない「4つのR」として、リラクセーション(Relaxation…神経を休める)、レスト(Rest…肉体を休める)、レクリエーション(Recreation…心身をリフレッシュする)、リトリートメント(Retreatment…非日常に身を置き、心身を養生する)が有効だということです。ハードな医療現場にあって、心と体の健康を維持することは、とても大事なことですね。