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2022~2024年度 「メンター・メンティ制度」の課題整理、効果検証のためのアンケート調査 抜粋報告

2024.12.13

1.<調査の目的>
長崎県女性養成医キャリアサポート事業の一環として、2022年度から「メンター・メンティ―制度」を導入。メディカル・ワークライフバランスセンターで該当者(メンティ)を連携機関と協力して把握し、マッチングして先輩医師(メンター)へフォロー依頼を行っている。センター介入の必要性、改善点などの聞き取りを行い、今後の方向性を探る。

2.<対象と方法>
実施日:2024年11月22日~12月11日
調査対象:制度を利用したメンター10名(先輩養成医など)とメンティ10名(初期研修中の養成医)
調査方法:googleフォームで回収

3.<結果と考察>
回答数(回答率):メンター・メンティ経験者 計17名 全員回答(100%)
内訳:メンター経験者7名、メンティ経験者9名、メンターとメンティ双方経験者1名

長崎大学病院 医療教育開発センターの取組である「メンター制度」を参考に、女性養成医となる1年次研修医と女性養成医で離島勤務経験のある先輩医師をマッチングする取組を実施した。
2022年度3組、2023年度2組、2024年度5組で、メンティの希望通りのメンターをマッチングできた。
メンティ10名のうち、安心感や手応えについて「すごく感じた」5名、「まぁまぁ感じた」5名という結果で、理由の記述からもメンターの存在は、メンティの安心感を高める効果があると考えられる。
メンターは、「まぁまぁ感じた」4名、「あまり感じなかった」3名という結果で、メンターへの影響は大きいものではなかった。
制度が導入されて「良かったこと」は、メンティは「相談できる相手が決まっていることで、連絡が取りやすい・聞きやすい」ことや「女性同士で相談しやすい」というメリットが挙げられた。
メンターからは「後輩のメンターとしての責任感が出て良い」「積極的に後輩と関わろうとする意識の変化があった」等が挙げられた。
今後の改善点としては、初期研修医のみならず3年目以降の専門研修中の医師へのメンターの必要性や、複数名でのメンターのマッチング等が挙げられた。
今後のキャリア形成を安心して行うためのアイデアとしては、結婚・出産・育児、産休・育休等のライフイベントと両立ができる環境整備や、具体的なロールモデルの提示等が挙げられた。
長崎県の養成医がより良い働き方を実現するための課題・要望としては、メンターからは人材確保、医療政策の紹介、診療科制限の緩和等が挙がり、メンティからは、制度の途中改正、相談しやすい環境整備、育休による義務延長問題等、今後の不安を解消してほしいという意見が多く挙がった。
3年間で10組のメンター・メンティー制度利用者は、少なからず安心感と先輩・後輩の繋がりを得ており、取組の効果があったと考える。
ニーズもあるため、引き続き、不安解消の一助となる取組を目指して継続する。
今後、女性養成医の人数は増加することが見込まれており、複数名のメンター、例えば、研修医と年齢の近い医師と、ベテラン医師の3人1組体制が確立できれば、情報量も多くなり、さらに安心感が深まり、キャリア形成の基礎固めができるものと思われる。

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