
私たちのワークライフバランス実践術 No.29-②
男性の育児休業取得編(11)上司の声
長崎大学病院 事務部総務課(課長)池野 静香さん(50代)
※2025年3月まで長崎大学病院 事務部総務課(課長)、同年4月から長崎大学 学生支援部学生支援課(課長)
Q1. 男性でも育児休業が取得できるということを、いつ頃からご存知でしたか。
A1.2010年6月30日の育児・介護休業法改正で、パパ・ママ育休プラスの創設が話題になった時に、初めて知りました。「自分が育児をしていた頃には、そういう制度は無かったな~、父親も取れるようになり、夫婦で分担して子育てをする働き方に変わっていくんだな~」くらいの認識でした。
2019年から2020年の間で本院事務部の男性職員3名が育休を取得したことは、当時病院以外の部署に所属していたため、知りませんでした。出産後に妻が退院するタイミングで、特別休暇を取得する本学の男性職員はいましたが、育児休業を取得する人は周りにいませんでした。
Q2. 専門職員が7か月の育児休業を取得しましたが、課長としてどのような苦労がありましたか。
A2. 2024年7月に本院の事務部再編があり、大嶽さんが所属していた人事企画課と私の所属する総務課が統合されました。その際に大嶽さんが育児休業取得予定であること、また、同係の女性で育児休業取得予定の方がいることを知り、総務課内でのフォロー体制を検討しましたが、別途、突発的な対応などにより、課長として計画的に課内でのフォロー体制を整えることが出来なかったことは、大きな反省点です。
職員担当主査や専門職員を中心に係内全体の業務見直しや調整を行ってもらい、本当にありがたかったです。産休代替については、大嶽さんは7か月の育児休業取得だったため、求人検索サイトで募集し今回はタイミング良く補充できましたが、うまくいかないこともあると思います。常勤職員を中心に非常勤職員や産休代替職員の方々のサポートに感謝しかありませんね。
Q3. 課内の反応はありましたか。
A3. 係内の皆さんは理解しておられて、「やるしかないよね!」という心構えでした。大嶽さんには、引き継ぎを行うよう伝えていたので、『引き継ぎ書』を作って、準備をしっかりされていましたが、休みに入る日が近づくにつれて、引き継ぐ人はやっぱり不安を感じていたように見えました。
Q4. 実際に、課内の男性が育児休業を取得した感想はいかがですか?
A4. 率直に「いい制度だな」と思いました。父親は昼間働いて育児に関わるのは夜だけ、という状況よりも、父親と母親が一日を通して一緒に育児をするのは、いいですよね。
赤ちゃんの時期は、その時その時がとても貴重だと思います。一日中、母親と赤ちゃんが一緒にいることは時には辛いこともあるかと思いますが、その時に父親がそばで話を聞くことや、何か手伝ってくれるだけでも、そのサポート力は大きいと思います。その思いから「育児頑張ってね!!」と大嶽さんに声をかけました。
今年の4月から私は本学へ異動しましたが、お子さんと一緒に散歩する大嶽さんを見かけて「パパしてるな~」と感心しました。
後任の総務課長さんから、大嶽さんは忙しい日々の中、復帰後も奥さんやお子さんの身体を一番に考え、何かあればご家族を最優先にされ、公私ともに充実した日々を過ごされているような話も伺っています。
Q5. 今後、長崎大学病院の中で、さらに男性の育児休業取得が常態化していくには、何が必要だと思いますか。
A5. 長崎大学病院の事務部は、職員数は多く比較的に育休も取得できるかと思いますが、業務量が多いため長期休業取得となると組織的に職場環境を整える必要があると考えます。
育児や病気などの理由で休む人の代替として、退職された病院経験者の人材確保が出来る仕組みがあれば、育児休業を取得する職員やフォローする職員の負担軽減にも繋がるのではと考える一方で、育児休業取得を推進すると同時に業務の軽量化・効率化により体制を整えることも必要かと思います。
また、国の制度(両立支援等助成金)の拡大などにより、職員の処遇改善にも繋げる仕組みが出来れば常態化できるのではないでしょうか。
<センターより>
休みたい人が休みやすい体制作りの必要性、夫婦で一緒に育児をすることのすばらしさ…職場の先輩管理職、親業の先輩として池野課長に貴重なご意見を伺いました。これからのセンターの活動に生かしていきたいと思います。