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養成医のワークとライフをきいてみよう!ロールモデル探し(5年間)参加者アンケート調査のご報告

2025.10.29

1.<調査の目的>
将来養成医になる女性医学生と先輩女性養成医の絆をつくる企画として、オンライン意見交換会(5年間・計8回)と紹介冊子「Working on the Islands」2冊を作成(全員に配付済)した中で、参加者や読者から反響を得た先輩女性養成医を把握し、また、女性養成医として地域医療に従事するうえでの希望・要望を聞き取り、今後の参考とする。

2.<対象と方法>
実施日:2025年10月8日~22日
対象:オンライン意見交換会に参加した修学生および自治医大生・初期研修医81人
方法:Google formからの回答

3.<結果と考察>
配付と回答数(回答率):配付81人 回答51人(63%)
結果:【集計抜粋グラフ】

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回答率は63%とやや少なかったが、参加回数3回以上は高学年、回数を覚えていないのも高学年以上と推察され、幅広い学年からの意見を聴取できたと考える。

意見交換会と冊子において、1番印象に残った医師は、山口純子先生がいずれも最多数を得て1位、2冠であった。山口先生は、養成医として上五島・対馬の離島での勤務経験があり、義務終了後の今も「長崎県離島医療医師の会(もくせい会)」の活動や、長崎医療センターでの勤務を通して、養成医および養成医になる研修医との関わりが深く、養成医制度にも詳しいため、まさにレジェンドであり、信頼できる相談相手である。これからも多くの後輩の良きロールモデルとして頑張っていただきたい。

意見交換会で印象に残った医師2位小屋松先生・3位若松先生は、いずれも子育て中の医師であった。仕事と生活の両立のお話に、たくさんのヒントがあり、支持されたと思われる。

冊子で印象に残った医師2位の熊谷先生は、まだキャリア形成中であるため、後輩に近い学年として影響が大きかったように思われる。3位は同数で、久米先生と北山先生であった。お2人とも、すでに義務期間を終了し、新しい道に進んでおられるが、当時、離島の生活を満喫しながら、仕事を精一杯されてきたことが良く伝わり、支持されたと思われる。

今後、女性養成医のために望むキャリアサポートとしては、女性として経験するライフイベントと仕事の両立に対するサポート体制や職場の環境づくりの希望が多かった。他にも、相談できる場所、医師3年目以降のメンター制度、キャリア形成のサポートなどが挙がった。

養成医制度についての意見・要望は、地域枠同士の結婚協定や非養成医との結婚での配慮、育休期間中の義務延長の問題、専門医取得、養成医制度変更時の丁寧な説明などが挙がった。

医師になってからの9年間、養成医になってからの7年間の義務年限中は、女性医師の妊娠・出産のピークである医師7年目前後と重なっているため、多くの女性医師の関心事項です。育児休業については政府が取得を推奨する時代(男性育休は2030年度までに取得率85%の目標)ですので、今後、養成医制度の見直しを早急に検討し、性別を問わず、義務延長を危惧することなく安心して育休取得ができるように、関係機関の皆様には改善を図っていただきたいと切に願っています。