新着情報・コラム

  • 調査報告

2021年度 医師の両立支援状況調査結果のご報告

2021.07.09

1.<調査の目的>
長崎県内病院の育児・介護休業制度等の両立支援策の取組状況の実態調査を行う。また、調査結果を、Webサイトやメールマガジンを通して情報発信を行うことで、個人や組織に働きやすい職場環境づくりを推奨する。

2.<対象と方法>
実施日:2021年6月
調査対象:長崎県内149病院
調査方法:調査票を郵送し、同封の返信用封筒やメールで回収。
質問内容:常勤・非常勤医師数、子育て中の医師数、育児休業・介護休業を取得した医師数、両立支援の取組など。
調査票:医師の両立支援状況調査

3.<結果と考察>
配付と回答数(回答率):配付149病院 回答105病院(70%)
結果:集計グラフはこちらをご覧ください。
【集計抜粋グラフ】

★2021年度医師の両立支援状況調査-病院の集計表グラフ)

【調査結果】
長崎県内の調査回答病院のこれまでの傾向を報告する。
2014年度より100以上の病院(7割前後)から調査の回答を得ている。
回答病院
勤務する女性医師の割合は、調査を開始した2013年度より23±1%で推移しており、2021年度は24%で著変ない。勤務形態を常勤 対 非常勤の割合で比較すると、女性医師は、2020・2021年度は約7 対 3となり、2016~2019年度の4年間は約6 対 4のため、直近2年間は常勤で働く女性医師の割合が増加している。男性医師は、2016~2021年度の6年間は約8 対 2の割合で推移している。女性医師は男性医師と比べて、非常勤で勤務する割合が多い傾向は変わりがなく、長崎大学病院においては、非常勤パートタイムの20名は、全て女性医師である。

センターが把握している情報では、育児休業取得後にほとんどの女性医師は復職しており、離職や長期休職をする女性医師は減少しています。これが、常勤で働く女性医師の割合が増加している要因ではないかと考えます。今後さらにスムーズに常勤への復職ができるように、短時間正規雇用制度、院内保育施設、院内病児・病後児保育施設など職場環境整備や、長時間勤務にならない働き方改革を推進していただきたいと思います。

子育て中(小学6年生までの子がいる)の女性医師は160人。女性医師全体の29%、医師全体では7%で、調査を開始した2016年度から過去最多。女性医師が勤務しているのは74病院、そのうち、子育て中の女性医師は38病院に勤務している。
2020年度に、育児休業を取得している女性医師は14病院で31人(うち長崎大学病院16人)、男性医師は3病院で6人(いずれも新・鳴滝塾の研修病院、うち長崎大学病院1人)であった。また、2020年度中に、介護休業を取得した医師は、1病院1人の女性医師であった。

男性の育児休業取得については、2019年度は長崎大学病院のみでしたが、2020年度は他に2病院でも取得した男性医師がいました。若い世代の医師が男女共に、県内どこの病院でも育児休業を取得することができるような、意識改革と働き方改革を行っていただき、子どもが誕生して忙しい時期に、家族の絆を深める時間を確保していただきたいと思います。

「両立支援制度・施設の整備」について、短時間正規雇用制度の導入は46%、病院内に保育施設がある病院は31%と、これまでと大差ない。病院内の病児・病後児保育施設がある病院は、2病院が増えて、7%とわずかに増加したが、低調なままである。

研修医を含め若い世代の医師が多く勤務する「新・鳴滝塾」16病院に対象を絞り集計すると、短時間正規雇用制度は12病院、病院内の保育施設は13病院と共に変わりなく、病院内の病児・病後児保育施設は、1病院が開設し、5病院(長崎大学病院、佐世保共済病院、佐世保中央病院、長崎県上五島病院、長崎県対馬病院)になりました。若い世代の医師が、長崎県内の病院でキャリア形成しつつ、仕事と子育ての両立がしやすいと感じ、勤務先として選ばれるような環境整備を進めていただきたいと思います。

「両立支援に関する取組状況」について、B「育児休業の取得や職場復帰の相談などを職員へ周知・対応」、C「介護休業の取得や職場復帰の相談などを職員へ周知・対応」は、どちらも約85%の病院で取り組まれている。A「男性を対象にした育児休業制度の利用促進や子が出生した男性へ管理職による育児休業取得の勧奨」は、30%の病院で取り組まれている。

育児休業を取得した男性の満足度は高く、家庭は円満となり、働く意欲が増加するようです。来年2022年度には、男性版産休制度や、職場で男性の育児休業取得推進の義務化など新しい法制度が始まります。情報収集のうえ、ご準備ください。※長崎大学オープンセミナー8/2(月)「男性育休」

⑤医療圏別の女性医師分布は以下の通り。

医師と子育て女性医師の分布図-2021

105病院に勤務する女性医師560人のうち、子育て中の女性医師は160人(160/560=29%)であった。医療圏別に見ると、長崎医療圏の女性医師は最多の319人(319/560=57%)が勤務し、そのうち子育て中の女性医師も102人と最多。子育て中の女性医師の64%(102/160=64%)は、長崎医療圏で勤務している。
続いて、県央医療圏に114人の女性医師、うち子育て中の女性医師は29人(29/114=25%)、3番目に多いのは佐世保・県北医療圏95人の女性医師、うち子育て中の女性医師は18人(18/95=19%)で、2016年度以降漸増している。3医療圏(長崎、県央、佐世保・県北)の病院に勤務する女性医師は94%を占めるが、県内全ての医療圏の病院に女性医師および子育て中の女性医師が勤務している。

長崎県内の医師の仕事と子育ての両立を応援する「長崎医師保育サポートシステム」は、対象地域が長崎・県央医療圏、佐世保医療圏の5病院、上五島医療圏の1病院に拡大しています。特に佐世保医療圏での利用は増加傾向で、かつ、ご好評を得ています。長崎・県央医療圏以外の地域では、病院ごとのシステム導入が可能で、特に病院内や近隣に病児・病後児保育施設が整備されていない病院での導入をお勧めします。

長崎県内の医師誰もが、イキイキと仕事と生活の両立ができるように、センターが推進する「あじさいプロジェクト」活動を引き続きご支援ください。

調査の貴重なデータは、長崎県の医療のために活用いたします。ご協力いただきました病院の皆様、ありがとうございました。