1.<調査の目的>
長崎県内病院の育児・介護休業制度等の両立支援策の取組状況の実態調査を行う。また、調査結果を、Webサイトやメールマガジンを通して情報発信を行うことで、個人や組織に働きやすい職場環境づくりを推奨する。
2.<対象と方法>
実施日:2026年6月
調査対象:長崎県内141病院
調査方法:調査票を郵送し、同封の返信用封筒やメールで回収。
質問内容:常勤・非常勤医師数、子育て中の医師数、育児休業・介護休業を取得した医師数、両立支援施設の設置など。
調査票:医師の両立支援状況調査
3.<結果と考察>
配付と回答数(回答率):配付141病院 回答109病院(77%)
結果:【集計抜粋グラフ】
①今年度の調査対象は141病院、昨年度と同数の109病院から回答を得た(回答率77%)。医療圏別の回答率では、上五島と対馬医療圏は昨年と同じく回答率100%、県南医療圏40%、壱岐医療圏50%、それ以外の医療圏はすべて75%以上の回答率であった。
②回答した病院に勤務する女性医師の割合は24%、これまで23±1%で著変なし。非常勤医師の割合は、男性14%、女性28%で、男性<女性の結果も例年通りであった。
③回答した109病院のうち、男性医師は107病院に常勤。女性医師は73病院に常勤し、昨年65病院より増加。うち、女性医師が10人以上常勤している9病院は、すべて新鳴滝塾に加盟する研修病院であった。
④子育て中(小学6年生までの子がいる)の女性医師は156人で、女性医師全体の26%。これまでと著変なし。子育て中の女性医師は、2019年度以降すべての医療圏に勤務、および2026年度は県内40病院に勤務している。
※注1:子育て中の男性医師数は今回調査していないが、これまでの調査で女性の約3倍の人数であると推察できる。
※注2:2016年度から子育て中の医師数を調査してきたが、子育て中か否かについて、近年個人情報保護の観点から把握が難しくなり、精査ができない。次年度以降は、経年変化ではなく必要時に調査を行う。
⑤2025年度に育児休業を取得した男性医師は24人、取得実績のある病院数は11病院と、いずれも過去最多。内訳は、長崎大学病院8人、長崎医療センター5人、長崎労災病院と井上病院2人、上戸町病院・佐世保市総合医療センター・佐世保共済病院・長崎県対馬病院・長崎リハビリテーション病院・光晴会病院・長崎県精神医療センターで各1人。
新鳴滝塾の16病院の中で男性医師の育児休業取得実績が無いのは6病院で、昨年度と変わりなかった。
⑥2025年度に育児休業を取得した女性医師は38人で、内訳は、長崎大学病院14人、済生会長崎病院3人、他16病院で1~2人の取得であった。2025年度のマタニティウェア利用医師は18人であり、利用割合は半分以下であった。県内で妊娠した女性医師が日々快適に働けるように、マタニティウェア貸出事業の周知に努めたい。
⑦2025年度に介護休業を取得した医師はいなかった。
⑧院内に保育施設があるのは28病院で、利用者の減少に伴い閉所が増えている。子どもの減少・保育園待機児童の減少により、院内保育施設保有のニーズが減っていると考えられる。
院内に病児・病後児保育施設があるのは3病院(長崎大学病院・佐世保中央病院・長崎県対馬病院)で、閉所が3施設あり、増加に転じることなく減少している。
⑨医療圏別の女性医師分布図など 前述の※注2:の通り
⑩「医師の働き方改革」の課題について、自由記載の意見を集約し紹介する(回答26病院)。
【1】 医師の高齢化、医師確保困難・医師不足(最多11病院)
休暇推奨・急変時対応ができる体制づくりが必要だが医師不足で実現困難
【2】 柔軟な勤務体制実現のための医師数増加=人件費増加、特定の医師への業務しわ寄せ
【3】 若手医師が多く中堅医師の不足・負担増加(離島)
◎改革実施については以下の意見あり
〈1〉看護休暇(有休休暇)・保育手当制度など両立に積極的に支援、周知徹底
〈2〉書類作成に生成AIを利用したツールを導入して業務を効率化
〈3〉短時間勤務や週4日勤務の検討、時間単位の有給休暇導入
★2019年以降、長崎県のすべての医療圏で子育て中の医師が病院勤務していることがわかりましたので、「子育て中の医師数」把握調査を一旦終了します。「子育て中の女性」という概念を無くし、「子育ては家族・社会で共有するもの」という意識が浸透していくように、今後センターの活動として頑張りたいと思います。また、男性医師の育休取得割合が女性医師同様に100%近くになるように、推奨していきます。
子育てしやすい長崎県に、多くの若い世代の医師が勤務して、医師不足・医師の偏在が解決できることを目指していきたいと思います。
調査の貴重なデータは、長崎県の医療のために活用いたします。ご協力いただきました病院の皆様、ありがとうございました。