2022(令和4)年10月1日付けで、メディカル・ワークライフバランスセンター長を拝命いたしました南貴子です。
2012年4月、長崎大学病院内にメディカル・ワークライフバランス・センター(以下「センター」という。)が開設されて10年以上が経過し、この間にワークライフバランス=仕事と生活の調和という言葉は、社会に浸透してきました。2024年からは、診療時間外や休日にも業務を行う医師が多い現状を変えるために、また長時間労働に陥りがちな医師の健康の確保や、仕事と生活の両立を実現するために「医師の働き方改革」が行われます。長時間労働にならないように、労働時間・勤務体制の整備を行い、仕事の効率化も図り、休息の時間を確保して仕事と生活とのバランスをよくすることで、また仕事の充実を図ることができるという、ポジティブなサイクル(synergy)を作り上げようとしています。
長崎大学医学部医学科の建学の基本理念である「医師は自らの天職をよく承知していなければならぬ。ひとたびこの職務を選んだ以上、もはや医師は自分自身のものではなく、病める人のものである。もしそれを好まぬなら、他の職業を選ぶがよい。」というポンペ・ファン・メールデルフォールト先生のお言葉は、ポンぺの誓いとも言われ、患者さんに寄り添うための金言として、今も長崎の医師の心に受け継がれていますが、ややもすると、「病める人のためは、24時間でも働かなくてはいけない」と解釈されることがあります。これに対してセンターでは「病める人のために、24時間受け入れができる医療体制を社会全体として整えなくてはいけない」という新たな解釈を提案しています。
センターの行う「あじさいプロジェクト」は、社会の変革に沿いながら、組織としての取り組みや各医療人の意識変革を進めていきます。これからも、みなさまのご理解とご支援をいただき、長崎県の医師・医療人のワークライフバランスの実現のために、さらに努めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。