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『日本での子育て』ログノビッチ タチアナ 先生

2015.06.19

私たちのワークライフバランス実践術 No.6
長崎大学 原爆後障害医療研究所 放射線リスク制御部門 国際保健医療福祉学研究分野(助教) ログノビッチ タチアナ 先生(40代)

<研究職のパートナーと小1のお子さん>
『日本での子育て』
2015年6月インタビュー

<略歴>
●ベラルーシ出身、首都ミンスク(チェルノブイリから距離約330㎞)にある医科大学の学生時代に、共同プロジェクト(1986年のチェルノブイリ原発事故後の調査・研究)で長崎大学から来た山下俊一先生(現在の主任教授)、伊東正博先生(当時原研病理)と出会い、卒業から1年後の1997年に来日、長崎大学で国費留学生となる。以降、病理を専攻して研究生活(専門は甲状腺癌)
●ロシア出身の夫と長崎で出会い、結婚
●長女を長崎大学病院で出産
●産後3か月から保育所利用
●今年から小学校へ入学し、学童保育利用中。

Q1. 現在の「ワーク」と「ライフ」のバランスは?

A1. 1日がすぐ終わります・・・。

Q2. 育児・家事の時間短縮のコツやおすすめしたいことは?パートナーとの分担は

A2. 疲れたら無理せず休みます。夫は頼んだら何でもしてくれます。普段の掃除機かけは、夫と娘の担当ですが、まとまった休みがある時には、私が家を掃除してピカピカにするようにしています。買い物も、平日は私がしますが、週末は夫がします。

Q3. 日本での子育ては、いかがですか?日本に来て驚いたことは?

A3. 最初は、レディーファーストの風習がまったく無いことに驚きました。今は驚かなくなりましたが、女性が男性の後ろを歩いているような感じがしました。

母国では、ほとんどの母親が働いているので、日本の小学校くらいの規模の大きな保育所があり、そこで朝食から夕食まで食べさせてくれます。親は夜7時までに迎えに行って、その後子どもたちは習い事などにも行きます。子どもにかかる費用は日本より安いし、お弁当持参なんてありえません。学校行事はすべて平日の夜で、土曜日は休日なのでありません。

それと、ヨーロッパの内分泌学会での託児は、保育所を利用していて、子どもの食事も準備してあります。日本の内分泌学会は、数年前まで託児自体がなく、託児が設けられた現在でも食事は持参しないといけないので、面倒です。日本では大学院セミナーやカンファランスが夜にあることも多く、やはり子育て中は参加しにくいですね。

母国では、社会的に環境が整備されているので、祖父母がいなくても大丈夫です。日本みたいに「おばあちゃんが子育てを手伝う」ことは、あまりありません。日本では、おばあちゃんがいないと仕事ができないように言われますよね。日本は、子どもがいると働きにくいと思います。

Q4. 夫婦で子ども抜きのデートはしますか

A4. いいえ、しません。いつも親子3人一緒ですね。赤ちゃんのときからレストランにも一緒に行っています。

Q5. ピンチだったことは?

A5. あまりピンチという感覚がないですね。子どもがこれまで入院したことはないけれど、病気のときは休んだり、職場の研究室に連れてくることもできるので、どうにかやりくりできています。

Q6. ストレス解消法は?

A6. 本を読みます。今は、インターネットで、ベラルーシ語やロシア語の電子書籍が簡単に手に入るので助かりますね。

Q7. 今後の人生設計は?

A7. ケセラセラ(Que Sera, Sera)で、なにも、はっきりとした計画はありません。

Q8. お子さんの最近の様子はいかがですか?

A8. 「お母さんと一緒に働きたい」と言ってるんですよ。家の中ではロシア語で話していて、読み書きは親が教えています。英語も多少話せるので、小さいながら3か国語(露・日・英)を話せます。また、子どもが成長してきたので夫と留守番できるようになり、去年初めて、私1人で出張しました!

Q9. 両立応援のメッセージをお願いします。

A9. お子さんが2人、3人といるお母さんを尊敬しています!

Q10. ロールモデルとしている先生はどなたですか?

A10. 山下教授夫人は内科の臨床医で、お子さんを4人も育てられて、お料理も上手で、趣味も楽しみつつ、お姑さんとも仲良く過ごしておられて、憧れです。

勤務時のタチアナ先生 

<センターより>

旧ソ連のベラルーシ共和国から来日して18年、ご自身が育った環境と違うなか、ご夫婦で子育てをしながら研究生活を送られているログノビッチ先生。お子さんの教育には、とても熱心で、勉強はもちろん、習い事にもしっかり関わっておられます。

ただ、「おばあちゃんがいなくても働けるけど、おばあちゃんがいないと“日本では”働きにくい」という印象をお持ちでした。働きやすい環境(保育施設や学会託児の整備)があり、勤務時間内にカンファなどが実施されると、子育て医師は助かるのですが、まだまだ夜の行事は少なくありません。

メディカル・ワークライフバランスセンターでは、対策として、大学院セミナーや院内勉強会出席の際に活用できる無料託児サービス「イブニングシッターサービス」を実施しています。また、有料ですが、「保育サポートシステム」では、お子さんを預かってくれるサポーターさんを紹介しています。子どもの預け先に苦慮されている子育て医師の方は、ぜひ当センターへご相談ください。