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長崎大学医学部3年生『ワークライフバランス』授業で、学生キャリア講習会を行いました

2014.06.26

2014年6月18日(水)8:50から16:10まで、長崎大学医学部3年生(約100人)の「医と社会」授業の一環で、『ワークライフバランス』について講義を担当させていただきました。1時限から4時限までの丸1日をかけて、”医師としてのキャリア継続のため、ワークライフバランスの考え方を知るとともに、医師としての多様な生き方があることを学ぶ”ことを目的として取り組みました。

午前は、伊東昌子センター長が「ワークライフバランスが築く働く人の未来」と題して講義を行いました。また、医師夫婦の仕事と生活の両立について3つの事例を挙げ、問題点、解決策、議論、結論をランチを交えながらグループワークを行いました。

<グループ討論>
仕事と育児の両立を目指す医師夫婦が抱える問題を、11グループに分かれて討論しました。参考資料として当センターが制作した【出産・育児のイロハ】を配布しました。学生たちが近い将来のことに情報を持ち合わせていないこと、ある程度の想定を立ててキャリア形成を考えていく必要があることを感じてもらえたかと思います。

<問題の一例>
同級生カップルの2人は県外(熊本と札幌)の出身。卒業と同時に結婚して、長崎大学で初期研修を行いました。
研修中に妊娠し、2年目に元気な女の子を出産しました。産前産後の計3か月の産休を経て、復帰し研修を無事修了しました。
2人とも大学卒業当時には、後期研修は夫は心臓血管外科、妻は循環器内科を志望していましたが、いずれも呼び出しの多い診療科です。
進路選択をどうしますか?
 ↓
<学生たちの解決策>
・夫婦どちらかが後期研修先を呼び出しの少ない科に変える。
・育児を親族またはベビーシッターにみてもらい、二人とも希望通りの科に進む。
・夫婦のどちらかが医師を辞めるか、非常勤医師のような立場をとる
・1人が仕事、1人が子育てに⇒子どもが大きくなったらお互い仕事に専念
・家庭環境に理解のある医局で働く
・実家の近くで後期研修を行う
・親を呼んで面倒をみてもらう、親の元に子どもを預ける
・ベビーシッターを雇う
・育休を夫妻でバランスよくとる
・人生設計をあらかじめしておく⇒子どもが出来てから考えるのではなく、できる前からこのようにしたいというものを決めておく
・呼び出しが多い⇒あきらめて他の科に入る
<先輩医師のアドバイス>
・集中して修練を積まないといけない時期はある。
・何ができるかではなく、何をしたいかを重視して決断していってほしい。

午後は、現役でご活躍の院内の女性医師に加わっていただきました。グループワークの結果発表に対して、アドバイスやコメントなど、生の声を学生へ届けていただきました。その後、医療教育開発センターの松島加代子先生、第二外科の久芳さやか先生、当副センター長の南貴子先生のキャリア形成の体験談発表後、医師夫婦のロールモデルとして、心臓血管外科の谷川和好先生、産科婦人科の谷川輝美先生ご夫婦から講演をいただきました。その他にも、キャリア年表の作成や、講義前後アンケート実施など盛りだくさんの内容でした。学生のみなさん、大変お疲れ様でした。

講義後のアンケートの感想欄には、
「すばらしかった」「参考になった」「参考にしたい」「ためになった」「面白かった」「興味深かった」「貴重であった」「良い機会だった」「将来がイメージしやすくなった」「新鮮だった」…等の意見が、6割以上ありました。
女子学生からは、
「たくさんの先生方の生の声を聞くことができて、本当に良かった」という感想もありました。
男性医師のご登壇は、谷川和好先生だけでしたが、谷川医師ご夫妻の講演が良かったという声を複数いただきました。
また、「あせった…」「女性医師と結婚すると大変そう…」という感想もありました。
留学(国内・海外)の話も多かったので、そのような点も、学生さんには驚きだったようです。

ご多用の中、学生のためにご協力くださった先生方からは、下記のようなメッセージをいただきました。
「先生方のお話が面白く勉強になった」「改めて自分の人生を振り返り、自身にとって有意義な機会だった」「他科の先生のキャリアが聴けて参考になった。男性医師の率直な意見が興味深かった」「学生の時期に考える機会があると、意識改革の意味でとても重要だと感じた。人事を担う各診療科の先生方にも受講して欲しい」「このような機会に早期に接することができる学生たちは、これからちゃんとキャリアとビジョンを意識して計画的に進んで行けるのではないか」「自分なりに一生懸命仕事を続けていくことが何よりも大切だと思った。将来身近に同じ境遇で働く人が増えると、周りの理解も増え、子どもが成長すれば今度は精一杯働いて後輩を支えていく・・・そんな好循環が生まれてきそうな授業だった」


↑担当教員:メディカル・ワークライフバランスセンター 伊東昌子センター長

↑グループワーク風景        ↑グループ発表

↑医療教育開発センター:松島加代子先生 ↑第二外科:久芳さやか先生

↑メディカル・ワークライフバランスセンター:南貴子先生

↑心臓血管外科:谷川和好先生    ↑産科婦人科:谷川輝美先生

<センター長所感>
2013年5月に秋田大学で男女共同参画の学生講義を見学させていただき、自分自身も学生時代にキャリアについて考える機会があれば、人生がもう少し違っていたかもしれない、と思いましたし、秋田大学の医学生は恵まれていると感じました。
早速長崎大学でも取り入れるため、医学部先端医育支援センター教授 安武亨先生にお願いをして、1時限~4時限をいただくことができました。
ライフイベントをどう乗り越えていくか、それをどうやって自分のエネルギーに換えていくかには、個人の考え方、家族や友人との関係、メンターとの出会いなど様々な影響があると思います。学生さんたちには、『偶然の幸運はいつも努力をしている人に訪れる』ことを伝えたかったです。チャンスは掴んで、キャリア継続を諦めないでもらいたいです。
診療科の枠を超えて講義にご協力いただきました先生方、今回のベースとなる授業を快く見学させてくださった秋田大学医学部総合地域医療推進学講座准教授 蓮沼直子先生へも、この場をお借りして感謝申し上げます。ありがとうございました。

<アンケート集計結果抜粋>