アカデミック キャリアアップへのアドバイス

長崎大学病院で臨床に携わる医師の女性教員比率は、20%を超えています。しかし、その多くは「助教」であり、「教授」「准教授」「講師」の女性は依然として少ないままです。
2019年6月、長崎大学病院に在籍する女性教員のうち、「准教授」と「講師」の先生に、【キャリアアップを目指すためのアドバイス】を伺い、「教授」の先生にはキャリアアップを目指す先生への応援メッセージをいただきました。
2022年11月、新たに教授に就任された3名の先生から応援メッセージをいただきました(最下段)ので、ご覧ください。

 やる気をもって挑む必須項目とは 
◆業績や実績を上げる!まず「論文作成(英文・和文)」や「科研費の獲得」
◆学位や専門医を取得する!

他には、
◆上司の理解:ダイバーシティマネジメントの重要性を理解し、強いリーダーシップで後押ししてもらう
◆同僚の理解
◆家族の理解:「働くことで、仕事か家事の一方が疎かになるのではなく、仕事により私自身が楽しく輝けることは、家族にも良い影響を与える」「職場や社会から必要とされている人材である」ことを家族、特にパートナーに理解してもらい、協力をお願いする
◆時間制約がある自身への心構え:「公共サービスや職場のサポートを調べて利用する」「自分ができることを探して、役立つ仕事を引き受ける」「職場でカバーして助けてくれている周囲への感謝の気持ちを持つ」

 今後、女性教員比率を上げるために必要なことは 
◆決定権を持つ上層部に女性が在籍する
◆多面的な評価、採用基準、勤務形態(勤務時間など)の見直し
◆職務(臨床・研究・教育・組織運営など多岐にわたる)の見直し、分担、効率化
◆学生の頃からの教育
◆各個人が、臨床の第一線から外れないように、サポートを利用しながらキャリアを継続して自信を持つ

 女性教員おすすめ本  以下①と②の本は、センターより無料で貸し出し可能です。
① 「LEAN IN 女性、仕事、リーダーへの意欲」 シェリル・サンドバーグ(著)
② 「サード・メトリック しなやかにつかみとる持続可能な成功」 アリアナ・ハフィントン(著)
③ 「なぜ女は男のように自信を持てないのか」 キャティー・ケイ&クレア・シップマン(著)

icon_razz.gif今回アドバイスをくださったほとんどの女性教員のみなさんは、女性活躍を阻む原因といわれる「ガラスの天井」はなかった、男性が優遇されているという印象も感じていない、という結果でした。長崎大学では、「国立大学法人長崎大学 女性活躍推進のための行動計画」に基づき、女性活躍推進に向けた取組を強化しています。必要な業績や環境を整えて、ぜひキャリアアップへ挑戦してください。

 セミナーDVDの貸し出し 

メディカル・ワークライフバランスセンターでは、復職&リフレッシュトレーニングやキャリアアップセミナーのDVDを無料で貸し出しします。

 後輩へのメッセージ 寄稿順

「教授」になられた先生に、キャリアアップを目指す先生への応援メッセージをいただきました。

伊東 昌子 先生
放送大学 長崎学習センター 所長
前長崎大学 副学長、前長崎大学 ダイバーシティ推進センター長・教授、前長崎大学病院 メディカル・ワークライフバランスセンター長・教授
長崎大学医学部卒業:1980年(昭和55年) 、教授在職期間:2012年~2019年
Q. アカデミック・キャリアアップに関して、最も大事だと思うことはなんですか。
A. 運命に逆らわず、そして任された仕事を心から好きになること。好きになるまでとことん情熱を注ぐこと。
 みなさん、どのような医師になりたいかというイメージを抱いて医学部を卒業されたと思います。その夢に向かって進んでいる姿は美しいです。しかし人生には予期しないイベントも起きますので、思い描いているイメージを変えなければならないこともあるでしょう。もしかしたら変えなければならなくなったイメージの方が、本当は自分に合っているかも知れない。試練は与えられるべくして与えられているのだと思うことがあります。ですから、時には余裕を持って、自分の姿や心を俯瞰することも大事だと思います。自分の思い抱いていた夢から、少し違う途を歩くことになっても、自分が大切にし続けた夢であれば時間をかけて、また元の途へ戻っていけばいい。自分自身、これまで余裕がなく過ごしてきた半生をあらためて振り返り、そう思っています。いろいろなことがあったけど、どれも自分の人生の大事なパーツだと、この歳になって思えるようになりました。(2019年7月 寄稿)

 

林田 直美 先生
長崎大学 原爆後障害医療研究所
放射線・環境健康影響共同研究推進センター(原研センター)
共同研究推進部 教授
長崎大学医学部卒業:1998年(平成10年) 、教授在職期間:2014年~現職
Q. アカデミック・キャリアアップに関して、最も大事だと思うことはなんですか。
A. チャンスを見極め掴む力。
 アカデミック・キャリアアップを目指すには、もちろん能力や周囲の環境も大切ですが、まずは自身を見つめ直すことが大切だと思います。女性ならではの視点を大切にし、独自の目線を持つことです。女性は男性と違い、一度に複数の物事を行うことができると言われています。より幅広く物事を捉え、同時に様々な点に気づくことができるため、より完成度の高い仕事ができるのではないかと思っています。物事に真摯に向き合い、いい意味での「良い加減」で真面目に取り組むうちに、必ずチャンスが巡ってきます。その時に、予想される障害を恐れることなく、勇気を出して一歩踏み出すことがキャリアアップにつながるのではないでしょうか。(2019年9月 寄稿)

 

長谷 敦子 先生
長崎大学病院医療教育開発センター 長崎外来医療教育室 室長 教授
長崎大学医学部卒業:1985年(昭和60年) 、教授在職期間:2014年~現職
Q. アカデミック・キャリアアップに関して、最も大事だと思うことはなんですか。
A. バランス:(心と身体、仕事とプライベート、逞しさと優しさ、などなど。)
 転機に立ったとき、それぞれの場合でやりたいこと、やれること、やらなければならないことを書き出してみてください。心がワクワクし、自分も周囲もハッピーになる方へ舵をとれば、結果はついてくると思います。
自分と家族と人との出会いを大事にし、夢を持ち続けて小さな努力を積み重ね、壁につきあたっても「なんとかなるさ」と前向きに進んでください。夢はきっとかなうと、明日を信じて。(2019年9月 寄稿)

 

赤澤 祐子 先生
医歯薬学総合研究科 医療科学専攻 生命医科学講座 組織細胞生物学 教授
長崎大学医学部卒業:2000年(平成12年) 、教授在職期間:2022年~現職
Q. アカデミック・キャリアアップに関して、最も大事だと思うことはなんですか。
A. 目の前にあることに真摯に取り組むこと。自分に向いているものを見極めていくこと。先輩・後輩に関わらず、助言をしてくれる周りの人を大切にすること。
 私は好きなことをしていたら、いつの間にかここまで来ました。たとえ、今好きなことが分からなくても、目の前にあることに真摯に取り組むこと、自分に向いているものを見極めていくこと、その積み重ねがキャリアアップにつながるのだと思います。働き方に関しては海外留学で学んだことがあります。長時間労働をするよりも適度な睡眠・休養を取ったほうが、サステナブルな仕事ができるということです。当たり前ですが、なかなか忘れがちですね。アカデミックな仕事は一緒に働くダイバースな人々との“集合知能”によって発展していくものと考えます。先輩・後輩に関わらず、助言をしてくれる周りの人を大切にすることが大事だと思います。(2022年9月 寄稿)

 

松島 加代子 先生
長崎大学病院 医療教育開発センター 医科卒後研修部門 医師育成キャリア支援室 キャリア支援室長 教授
長崎大学医学部卒業:2003年(平成15年) 、教授在職期間:2021年~現職
Q. アカデミック・キャリアアップに関して、最も大事だと思うことはなんですか。
A. 「共育」のこころ
「共育を愉しむ,ALL長崎でつながる」
これは、私自身が教授職に就いたときに掲げたモットーです。医療・医学に関わる皆さんは、どんなに年齢・経験を重ねてもなお、日々、学びがあります。教えている学修者や患者さんから教わることも多々あります。学ぶ姿勢を持ち続けていれば、視野が拡がり、他者とのつながりが強固となり、お互いを尊重する心と楽しい雰囲気が生まれます。また、このページに書いていらっしゃる各先生のお言葉は、私もまさに感じてきたことです。自分が信じた道を突き進むだけでなく、予定外の方向に向かったとしても必ず自身の糧になると思ってしなやかに対応することを心がけています。周囲の方が自分のことをより客観的に見てくださり導いてもらったなと振り返ることもあります。何事も、どんな状況をも、共に学び、愉しんでください。(2022年10月 寄稿)

 

福島 千鶴 先生
長崎大学病院 臨床研究センター 副センター長 教授
高知医科大学(現:高知大学医学部)卒業:1989年(平成元年) 、教授在職期間:2022年~現職
Q. アカデミック・キャリアアップに関して、最も大事だと思うことはなんですか。
A. 自信を持てるよう努力すること。周囲の意見に耳を傾けること。
 私は、臨床能力、臨床と臨床研究センターの業務の両立に自信が持てず、上司から「上を目指せ」と言われても、「無理だ」と言い続けていました。決心がついたのは、臨床研究センターで10年以上働くうちに、院内にいる医師の中で、臨床研究に関する指針を読んだ回数は自分が一番多いはず、臨床研究で生じる問題は私が一番知っているはず、と思えるようになったからです。努力を続けていれば、必ず自信につながります。また、自分の狭い視野を先輩・上司が広げてくれます。「無理です」と意固地にならずアドバイスを聴くことも大事だと自身の反省も込めてお伝えします。頑張ってキャリアアップする若い人たちが増えているのを嬉しく思うと同時に、私も決心して良かったと思っている今日この頃です。(2022年10月 寄稿)