2018年11月7日

「女性医師等キャリア支援連絡会議 全国会議」
開催日時/平成30年11月2日(金)13:30~16:00
会  場/東京医科歯科大学M&Dタワー 鈴木章夫記念講堂
主  催/全国医学部長病院長会議

厚生労働省平成30年度女性医師等キャリア支援モデル全国展開事業に採択された一般社団法人全国医学部長病院長会議事務局が主催する「女性医師等キャリア支援連絡会議」の全国会議に長崎大学の代表として南副センター長が参加しました。

<南副センター長所感>
 全国医学部長病院長会議(以下AJMC)が、厚生労働省平成30年度女性医師等キャリア支援モデル全国展開事業に採択され、全国における女性医師支援等の取り組みを紹介し、効果的な取り組みの後押しをしていくこととなり、今回、女性医師等キャリア支援連絡会議全国会議が開催されました。長崎大学は、都道府県女性医師等キャリア支援協議会の幹事大学として、長崎県で連絡協議会を開催し、関係機関と意見交換を行うことになります。

 会議の冒頭、AJMC山下英俊会長、文部科学省西田憲史高等教育局医学教育課長の挨拶がありました。次に、全国会議開催の趣旨説明をAJMC男女共同参画委員会相原道子委員長が行い、全国の各医療機関において実施されている女性医師等がキャリアと家庭を両立できるような取組を収集・分析し、効果的な支援策の全国展開を支援することで、女性医師等のキャリア支援の充実を図ることが本事業の目的だと話されました。長崎大学病院も、支援してもらえることを期待します。
 日本医師会から「女性医師支援センター事業について」の報告がありました。参加者からは、現在関東地区で東京女子医大と連携して行っている再研修事業を、各地区に拡げ、再研修できる施設を設置してほしいという希望が挙がりました。
 厚生労働省からは「厚生労働省が取り組む女性医師等勤務環境改善」について説明がありました。平成28年度の調査結果より、20代~40代の子どものいる女性医師は、その他の医師(男性:子どもあり・なし、女性:子どもなし)と比較して勤務時間が短いが、50代以降は勤務時間に大差がなくなること、つまり、子どものいる女性医師は、50代から勤務時間が増加するが、その他の医師は、年代が上がるにつれ勤務時間は短くなったと示されました。これは、病院勤務の医師についての調査結果ですが、子どもの成長とともに、子どものいる女性医師の勤務時間は上昇し、男性医師は、子どもがいてもいなくても、勤務時間に大きな影響が出ていません。子育て期間中は女性の方が往々にして勤務時間の調整をしている結果ではないかと思われました。男性の働き方が変わり、性別役割分担意識がなくなれば、子どものいる女性も働きやすくなると思います。
 また、平成29年度の女性医師への調査結果より、仕事を続けるうえで必要な制度や仕組み・支援対策は、第1位が「病児保育」でした。長崎大学でも、院内病児保育施設の設置は、女性医師の悲願でもあります。厚生労働省は、各病院が抱える保育・病児保育の莫大な運用資金に対しても、今後診療報酬改定などで対応していく予定だと話されました。
 参加者からは、医学生へのキャリア教育のみではなく、研修医や指導医講習会などでのワークライフバランスの教育を行うべではないかと質問があり、平成32年度には研修医ガイドライン改定が予定されており、その際に考えるとの返答がありました。

 その後、基調講演として10年以上女性医師等のキャリア支援の取組を継続している3大学の講演がありました。

◆旭川医科大学 二輪草センター
 私たちのセンターの初年度に見学・意見交換をさせていただきました。活動開始とともに、院内24時間保育園を開設、2年後には病児・病後児保育所を開設しています。また、バックアップナースシステムは画期的で、子どもやご家族の急な病気・介護・受診などで休む看護師の代理として、勤務してもらうスタッフで病児保育も担当できるそうです。10年間の活動で、当事者意識が変わり、組織が変わり、育児休業取得者数は増加、女性管理職が増加、女性教員が増加、看護師退職率の低下など、働きやすい環境が整備されているとのことでした。

◆東京女子医科大学 女性医療人キャリア形成センター
 「高い知識・技能と病者を癒す心を持った医師の育成を通じて、精神的・経済的に自立し社会に貢献する女性を輩出すること」という建学の精神に基づき、さまざまな支援を行っておられます。日本医師会が連携している、再研修部門も充実しており、メディカル・ワークライフバランスセンターのホームページで東京女子医科大学のe-learningのバナーを設置し、紹介しています。女性の上位職への積極登用、女性科(女性医師(専門医)・女性医療スタッフによる診療・女性特有の疾患に限らない・女性医師を希望する患者の診療が可能)の新設で女性教授を増やし、「ガラスの天井を突き破れ!」と頑張っておられます。女性教員が増えることで、男性中心の運営から新しい変化が期待できます。

◆九州大学 きらめきプロジェクト
 九州で最初に活動を開始していますが、もともと女子医学生比率が少なく、現在も教員の女性比率は8%程度と低いそうです。参加者からは、「きらめきプロジェクトのスタッフ枠は、短時間勤務ができるとあるが、男女の賃金格差を生んでしまう懸念があるのではないか」との厳しい質問が挙がりました。長崎大学病院の「復帰医」も、類似の短時間枠で、長期間離職した医師の慣らし復職には好都合ですが、育休明けの復職の場合、社会保障がなく、保育園入所条件もクリアすることが難しくなるという欠点もあります。九州にある各大学の10医学部では独自の女性医師等支援がスタートしており、長崎大学の「あじさいプロジェクト」も、頑張っていると紹介していただきました!

 基調講演を拝聴し、長崎大学病院において、これからできることがあると実感しました。司会の東京女子医大医学部長からは、「アジアにおいても、家事・育児を全部抱えている女性医師は日本くらいだ」というコメントがあり、今後、私たちのセンターが行っている両立サポート「長崎医師保育サポートシステム」の拡大が大事ではないかと思いました。


2018年11月1日

 ワークライフバランス実現に向けた取組を広げる目的で、2013年から長崎大学病院では各診療科の『ワークライフバランス推進員』を選出し、病院長名で任命しています。2017年からは、長崎県内病院へ推進員配置活動を展開し、2018年10月時点で、研修15病院を含む16病院、総勢40名のワークライフバランス推進員が県内病院で活躍しています。当センターと情報共有・連携しながら、相談窓口、情報発信、企画などの役割を担っていただき、共に活動を推進しています。
 
 これまでに、院内で推進員対象の「ランチ会」や「意見交換会」を年に数回実施し、各医局の両立支援取組の事例や問題提起・改善成果報告などで情報を共有しています。また各病院・各医局の育休取得者の復職状況の確認などを行うなど、推進員のご協力により、当センターの活動が浸透してきました。

 具体的には、長崎大学病院で育休を取得し、2017年度に復職した女性医師17名のうち、当センターの「相談窓口」「マタニティ白衣貸出」「復職トレーニング」「保育サポートシステム」のいづれかを利用したのは、14名でした。(センター利用率2016年度69%→2017年度82%)

 ほかにも、「学生キャリア講習会」や「医学生、研修医等をサポートするための会」など当センターの活動と連携して、若い後輩たちの将来像を描くロールモデルとしてのサポートにもご協力をいただいています。

↑ワークライフバランス推進員 意見交換会(みなとメディカルセンターより初参加)


↑学生キャリア講習会 ワークライフバランス推進員が学生へアドバイス


↑医学生、研修医等をサポートするための会(長崎医療センターで開催)

 また、このような活動を、様々な出身地の医学生や研修医のみなさんに知っていただくために、「新・鳴滝塾」のホームページに当センターのバナー設置、活動の紹介をしていただきました。2019年度に研修医が活動する16病院すべてに推進員がいますので、いつでも相談することができます。

icon_arrow.gif「県内病院のワークライフバランス推進員メッセージ」はこちら

icon_razz.gif長崎県内の医師が「仕事と生活の両立を図りながら活躍できる」環境のバックアップ体制を構築していきたいと考えます。「長崎県内の病院は、どこも働きやすい」の魅力を伝え、就労環境の平準化により、県内外からの優秀な人材の確保・定着へとつながる活動を目指します。


2018年10月25日

平成30年度 保育サポータースキルアップ研修会と情報交換会

日  時:平成30年10月22日(月)14時00分~15時30分
場  所:長崎大学病院 多目的指導室
講  師:日本赤十字社長崎県支部 参事 樺山 智子氏
     テーマ:「乳幼児の一次救命」
参加人数:23名

 日本赤十字社長崎県支部の樺山智子氏をお迎えし、「乳幼児の一次救命」について実演を交えて教えていただきました。


↑日本赤十字社長崎県支部 樺山 智子氏

 手順として、意識や呼吸の確認、胸骨圧迫、AEDの使用方法までの流れや、異物除去法を、2~3人1組で実践しました。実践後には注意点や誤りがちなポイントをフィードバックしていただき、保育サポーターからは、AEDのパッドの貼付位置や、途中で呼吸が戻った時の対応について等、質問も多く挙がりました。
 最後に樺山氏から、「一次救命を一人で行うのは大変。(胸骨圧迫30回+人工呼吸2回を救急車が来るまで絶え間なく行う)なので、すぐに周囲に助けを呼ぶこと、また、できるだけ多くの人がまずは”知識”を持っておくことで手助けし合えること、そして、今回の研修会で学んだ内容を、配布したテキストで振り返ってほしい」と話されました。

 
↑AEDを使用した「子どもの一次救命処置」


↑異物除去「腹部突き上げ法」や「背部叩打法」

 研修会終了後には、情報交換会を行いました。
 南副センター長より、今年度にシステムを利用した医師のコメントを紹介し、「システムを利用することで安心して子どもを預けることができ、仕事を諦めずに続けられるため、みなさんの活動にたくさんの感謝の言葉をいただいている」と、保育サポーターさんへ労いの言葉を伝えました。

 次に活動事例として、送迎や家事支援、病児や新生児の保育経験をお持ちの保育サポーターさんに、サポート内容や普段気を付けていること、活動を通じて感じたことなどをお話しいただきました。「親御さんに安心感を与えられるように心がけている」「何より安全が大切なので、神経を張り詰めながらサポートをしている」「お子さんの成長を見ることで、自分自身が勇気や笑顔をもらった」といった感想を聞くことがきました。他にも「これまでヒヤッとしたこと(事故につながりそうなこと)はなかったか」「二人体制でのサポートはどのように連携しているのか」といった質問が挙がり、保育サポーター同士の貴重な交流の場となりました。ご参加いただいた保育サポーターのみなさん、ありがとうございました。

 
↑保育サポーター情報交換会

icon_lol.gif <参加者の声>
・緊急の場合の乳幼児への手当の仕方がすごく参考になりました。実際に事があった場合、とにかく自分が落ち着き冷静になることだと思いました。保育サポーターとして活動された方のお話がとても参考になりました。
・お子さんの命を守る一番知っておかなきゃならない内容でしたから、いざという時に慌てないよう、テキストを見て復習したいと思います。
・時が経つと忘れてしまうので、次回も受講したいです。樺山先生の元気な姿に刺激を受けました。とてもわかりやすい研修会で楽しく受講できました。

●長崎医師保育サポートシステムの詳細はこちら


2018年10月22日

【平成30年度 第3回 復職&リフレッシュトレーニング開催決定!!】
対 象:長崎県在住の休職・離職中の医師 
     および長崎県内の医療機関に勤務している医師で 
     テーマに関する知識をリフレッシュしたい方
内 容:講義形式
    第3回テーマ
   『急性冠症候群~見逃してはいけない胸痛~』
日 時:平成30年11月5日(月)15:00~16:15
    
※うち約20分は「ママドクター意見交換会」
講 師:長崎大学病院 循環器内科 米倉 剛 先生
場 所:長崎大学病院 多目的研修室
*申込書は下記の様式いづれかをダウンロードし、メールまたはFAXください。
 (様式) PDFタイプ、ワードタイプ(入力してメールで提出できる用)

    申請用紙PDF   申請用紙Word

臨床を離れ、現場に戻る前の再スタートの一歩として、ぜひお越しください!
トレーニング後に「ママドクター意見交換会」を行います。
復帰に向けて不安な点や、子育てに関することなど、診療科の枠を超えて
ママドクター同士が交流できる機会をつくることが目的です。
託児室も用意しておりますので、安心してご参加いただけます。
託児希望の方はこちらの託児申込書にて別途お申込みください。
託児の申込締切は、開催日の1週間前までとなります。

チラシPDFは コチラ 

過去の復職&リフレッシュトレーニング関連記事はコチラ

トレーニングのDVDを貸し出ししています。センターまでお問い合わせください。


2018年10月17日

 『医師としてのキャリア継続のため、ワークライフバランスの考え方を知るとともに、医師としての多様な生き方を学ぶ』ことを目的として取り組みました。
日 時:平成30年10月5日(金)8:50~16:20
対 象:長崎大学医学部医学科3年生(男性95名、女性31名 合計126名)の「医と社会」教育の一環で実施。


~講義風景~

<ワークライフバランス講義>
 伊東昌子センター長が「ワークライフバランスとダイバーシティ」と題して講義を行いました。また、長崎大学には「LGBT(女性同性愛のレズビアン、男性同性愛のゲイ、両性愛のバイセクシュアル、性同一性障害を含む肉体と精神の性別が一致しないトランスジェンダーの人々の総称。それぞれの英語表記lesbian、gay、bisexual、transgenderの頭文字を組み合わせた造語)」について学べる機会や相談できる部署があることの紹介、医師として患者さんと向き合う前に理解を深めておくことなどを話しました。

伊東 昌子 センター長
長崎大学 副学長
長崎大学ダイバーシティ推進センター センター長・教授
長崎大学病院メディカル・ワークライフバランスセンター センター長

 続いて、長崎県福祉保健部福祉保健課から、県央保健所長と対馬保健所長も兼務されている行政医 藤田利枝先生にお越しいただきました。全国保健所長会が制作した公衆衛生医師募集のパンフレットを配布し、仕事内容の紹介がありました。いろんな経歴から行政医師を目指すことができること(藤田先生は外科医から転身)、臨床経験は役に立つことなどを話されました。当センターが運営するあじさいプロジェクトの立ち上げ時は、スタートアップメンバーの1人として大変お世話になりました。

長崎県福祉保健部福祉保健課 医療監 藤田 利枝 先生

 長崎県医師会 常任理事の瀬戸牧子先生から、日本医師会の「ドクタラーゼ別冊~医師会のことをもっとよく知ってもらうために~」の配布と医師会活動の紹介がありました。

長崎県医師会 常任理事 瀬戸 牧子 先生

<グループ討論>
 仕事と育児の両立を目指す共働き夫婦が、問題に直面した時にどのように解決していくかを、グループに分かれて討論しました。事例ごとに、選ばれた1グループがロールプレイングで発表しました。夫婦や上司などの立場にたったセリフが考えられていて楽しい演出でした。他のグループからは相違点などを発表してもらいました。

 

<ロールプレイング発表>
【事例1】
 子どもが熱を出した時の設定ですが、夫婦共に仕事で大事なイベントのある日で、それぞれの上司に相談しても、代行は引き受けてもらえず、休みはもらえませんでした。結局、夫が病児保育施設に預けた後に、出勤することになり、一件落着。しっかり翌日の病児保育の予約も忘れない堅実な結果でした。
【アドバイス】
 先輩医師からは、病児保育施設が満員で預けられない場合もある、というコメントがあり、センターから長崎市内で受入人数の多い病児保育施設を紹介しました。

【事例2】
 夫婦共に後期研修を希望している科が、緊急呼び出しが多い設定で、お互いの希望する診療科は変更せずに、他県の親元に戻り、緊急時などには子育てを協力してもらうという解決策でした。
【アドバイス】
 センターからは、親の子育て協力が本当に得られるのか、一度ご両親に尋ねてみることをお勧めしました。

【事例3】
 妻に国内留学の話が出た設定で、妻が子どもを連れて留学するという結論でした。
他のグループでは、夫と子どもは残り、妻が単身赴任するという結論もありました。
【アドバイス】
 先輩医師には、実際に国内留学を検討中で、家族全員で引っ越すことを予定しているという話や、自分が国内留学するなら、子どもは夫にみてもらい単身で留学したいという意見が挙がりました。

【事例4】
 夫にアフリカ留学の話が出て、妻の専門医取得や妊娠の希望をどうするか、子どもはアフリカで動物を見たいという設定でした。夫が単身赴任をして、妻と子どもは日本に残るという結論でした。
【アドバイス】
 アフリカ渡航した学生から、キリンやライオンは、そもそも保護地区に行かないと見られないという意見や、幼少期にアフリカ・ヨーロッパなどで海外生活をしていた学生からは、帰国後に国語の授業で大変な苦労をしたため、子連れで行くか、単身赴任で行くかは、よく考えたほうが良いといった、経験に基づくアドバイスが出ました。

icon_exclaim.gif学生からの質問では、診療科をどうやって選んだか、結婚のタイミングについてなどが挙がり、ワークライフバランス推進員を務める先輩医師から貴重なお話を聴かせていただきました。

 
腎臓内科 牟田 久美子 先生           麻酔科 吉﨑 真依 先生

 
総合診療科 依田 彩文 先生           形成外科 千住 千佳子 先生

<ロールモデル医師の講演>
 長崎大学病院循環器内科 泉田誠也先生にご講演いただきました。

循環器内科 泉田 誠也 先生

 パートナーは、同病院の内科医ですが、現在第3子の出産間近ということで、仕事と家庭生活の調整を模索されている現状を話されました。夫婦の仕事と生活を時間軸で示した経歴、性格や考え方、収入、将来の展望などについて示し、夫婦でもかなりの相違点はあるが、よく話し合って打開策を見出したいというお話でした。学生にとっては、グループワークで考えた事例以上に、生々しい問題を感じられたと思います。

 続いて、長崎大学病院消化器内科 田渕真惟子先生にご講演いただきました。

消化器内科 田渕 真惟子 先生

 仕事をしっかりしたい、という思いの田渕先生が、子育てを夫には頼らず、実家や保育サポーターさん、職場の助けを借りながら、日々邁進されているお話でした。「もっともっとキャリアアップしたい、仕事も家庭も自分で掴みとる!」という前向きな気持ちが学生にも届いたと思います。

<外部講師の特別講演 「最前線のワークライフバランスリテラシー」>
 神奈川県立保健福祉大学ヘルスイノベーションスクール設置準備担当 教授の吉田穂波先生をお招きしました。

神奈川県立保健福祉大学ヘルスイノベーションスクール設置準備担当 教授 吉田 穂波 先生

 人に助けを求める力=「受援力」についての講義は、目からウロコという学生も多く、今後社会に出た時に役立つお話でした。また、夫婦のどちらも「Win-Winの関係」で、キャリアと家庭生活を築くことが大事であるとの解釈は、5人の子育てをしながら夫婦で海外留学を行い、お互いのやりたいことも尊重する先生の実体験を聞いた後には、非常に納得できる内容でした。
 講義後アンケートの「仕事と生活の両立を図るために必要なものは何か」の設問では、1位:受援力、人に頼る 2位:協力、助け合い 3位:コミュニケーション(人とのつながり) という結果になり、吉田先生の「受援力」というキーワードが多くの学生の心に響いたことがわかりました。

icon_exclaim.gifその他、講義前後アンケート、キャリア&ライフ未来年表作成など、盛りだくさんのキャリア講習会でした。

~学生キャリア講習会を終えて~
<講義前後アンケートの集計結果抜粋>
●平成30年度の受講予定者126名のうち、男子学生は95名、女子学生は31名(女子学生率24.6%)でした。「男女共同参画」の言葉も内容も知っている割合は、平成28年度以降35%前後を推移しています。「ワークライフバランス」の言葉も内容も知っている割合は、平成26年度~29年度の4回の講義では20%前後でしたが、今年度は36.4%と最も高い結果となりました。また、「働き方改革」の言葉も内容も知っている割合は3割にとどまりましたが、聞いたことがあると答えた割合は「ワークライフバランス」を上回り、ニュースや新聞を通して言葉を知った学生が多くいました。
●現時点での将来の不安については、講義の前後で、不安がある割合が減り、不安がない割合が増える結果は、これまでの講義と同様でした。講義後に、講義前と比べて不安が減った・無くなったと答えた割合は50%でした。将来に対する不安の内容としては、一番多かったのが「勤務地」(19.2%)でした。次に「診療科の選択」(16.2%)、「仕事と生活の両立」(16.2%)と続きました。
●「産休」「育休」の言葉は90%以上の認知度があり、男性も育休を取れることを知っている割合は86.9%でした。講義前の「自分も育休を取ってみたい」男子学生の割合は、平成26年度からの講義の中で一番高い結果でした。
●将来の進路を決定するときに重視するもの(3つまで選択)のランキングでは、1位は講義前後ともに「仕事の内容」、次に講義前は「その領域の研究に興味がある」「やりがい」と続き、講義後は「やりがい」「希望するライフスタイルが得られる」となりました。
●生活と仕事の両立については、講義前→後で「できる」8.1%→20.4%へ、「なんとかできそう」51.5%→52%へと増加して、講義後の両立への自信は70%以上でした。「できない」「わからない」の割合はいずれも講義後に減少し、また、今回の講義が将来役に立ちそうだと答えた学生は86.7%となり、講義の意義があったと感じました。

<学生の感想>
icon_razz.gif将来起こりうる事態のことが多く、考えさせるようなことがたくさんあった。(男性)
icon_razz.gif卒後のことなんてまだまだの感じがしていたが、数年後に迫ってきていることを改めて感じて焦ったが、今日の話を聞いて不安もあるけど将来が楽しみという気持ちがでてきました。(女性)
icon_razz.gif自分は誰かに相談するということがあまり得意ではないので、今後相談できるようにしていきたいです。(男性)
icon_razz.gif色んな先生方のお話を聞けて自分の中の働き方のケースを増やせた。実際現場の先生方も答えが見つからない働き方の現状を、どうにか変えていけないものかと思う。男性医師の話をもっと聞きたい。(女性)
icon_razz.gif普段の座学と違って人生観がとても変わりました。(男性)

<先輩医師のコメント>
●腎臓内科 牟田 久美子 先生
 結婚・出産など私生活に関する内容を授業で話すのは初めてで、講義で専門領域のことを話すのとは違って気恥ずかしく緊張しました。学生たちがそれぞれのケースの役を上手に演じているのが面白かったです。実際にはどの場面も即答できる内容ではなく、夫や両親などの家族、上司と何度も話し合いながら、自分や家族にとって正解となる選択肢を見つけていく必要があると思います。他の先生方のご意見も参考になり、「家族一緒に、をまず考えて行動している。」というお話が印象に残りました。これから多少でも学生がキャリアプランを考える際の参考になれるよう、私も日々の仕事を頑張りたいと思います。

●麻酔科 吉﨑 真依 先生
 今回の講義に参加して、改めて自分の働き方を考えることができました。
 働き方は様々で、この立場の人が一番大変、ということはないと思います。それぞれの立場にある人たちがお互いに尊敬しあい、感謝しあえる環境でないと物事はうまく進みません。「育児しながらでもこんなに働けるんだよ!」と言いたいところですが、それは周りの協力があってこそです。働けるというより、働かせてもらっているんだと常に思っています。それは自分を卑下しているわけではなく、感謝しながら常に働いているということです。自分の権利も大事ですが、周りとの「和」も考えながら真摯に仕事に向き合いたいと改めて思いました。

●総合診療科 依田 彩文 先生
 私が学生の頃は「ワークライフバランス」という言葉さえなじみがなく、結婚や育児などのライフイベントを自分が迎えて初めて現実を知りましたので、このような講義の機会があることはとても幸せなことだと思います。
 私の世代は「ワークライフバランスの過渡期世代」と言われるそうで、特に私が20代の頃までは、女性医師を取り巻く環境は今より厳しいものだったと実感しています。
 この講義には何度か参加しており、最近は「女性医師の社会進出・キャリアアップを叶える」という視点での学生の発表が多く、この十数年の確実な変化を感じ、とても嬉しく頼もしく拝見しています。
 これも、メディカル・ワークライフバランスセンターの活動の賜物だと思います。みなさんのワークもライフも、明るく充実したものでありますように。

●形成外科 千住 千佳子 先生
 ロールプレイングでは学生ならではの工夫や演技がされていて、楽しく拝見しました。提示されたシナリオについて、学生なりに問題点を考え、まるで経験したかのような現実味のある解決策を見出していたことにとても感心しました。
 以前は出産で仕事を休むと「これだから女性は。」と言われ、肩身の狭い思いをしたと、先輩女性医師が言われていました。今では女性のキャリアアップのためにみんなで考える時代。とてもありがたいと思います。家庭を持つと女性がフルで働くのはどうしても難しくなります。しかし、医局内はまだまだ医師不足で、他の先生にしわ寄せがいっているのも事実。いつも周りに感謝しつつ、仕事と家庭のバランスを取っていけたらいいなと思います。



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