1.<調査の目的>
長崎県内病院の育児・介護休業制度等の両立支援策の取組状況の実態調査を行う。また、調査結果を、Webサイトやメールマガジンを通して情報発信を行うことで、個人や組織に働きやすい職場環境づくりを推奨する。
2.<対象と方法>
実施日:2022年6月
調査対象:長崎県内147病院
調査方法:調査票を郵送し、同封の返信用封筒やメールで回収。
質問内容:常勤・非常勤医師数、子育て中の医師数、育児休業・介護休業を取得した医師数、両立支援の取組など。
調査票:医師の両立支援状況調査
3.<結果と考察>
配付と回答数(回答率):配付147病院 回答113病院(77%)
結果:集計グラフはこちらをご覧ください。
【集計抜粋グラフ】
【調査結果】
①2014年度より100以上の病院から調査の回答を得ており、2022年度は113病院(77%)の回答協力があった。
回答した病院に勤務する女性医師の割合は23%で、2013年度以降23±1%で推移しており、変わりない結果であった。勤務形態が非常勤の割合は、男性医師17%、女性医師31%と、男性<女性の結果も例年通りであった。
②子育て中(小学6年生までの子がいる)の男性医師は483人で男性医師全体の25%、医師全体の19%であった。子育て中の女性医師は140人(昨年2021年度は160人で過去最多)で女性医師全体の24%、医師全体の6%であった。
③常勤で働く医師がいる病院は、男性医師112病院、女性医師74病院であった。子育て中の医師(常勤+非常勤)は、男性医師55病院、女性医師38病院に勤務している。
子育て中の女性医師は、すべての医療圏で勤務しているが、離島医療圏(五島・上五島・壱岐・対馬)で働く女性医師数および子育て中の女性医師数は経年的に増加傾向である。
長崎県病院企業団の中核病院では、短時間正規雇用や院内保育施設の整備が進んでおり、また院内病児保育施設も対馬病院と上五島病院に開設済みで、離島医療圏での子育て環境は比較的に整っており、勤務しやすいと考えられます。
④2021年度に育児休業を取得した医師は、男性医師8人(3病院のうち新鳴滝塾の病院7人 [うち長崎大学病院4人] )で、直近3年間の調査で過去最多であった。女性医師は35人(19病院のうち新・鳴滝塾の病院28人 [うち長崎大学病院10人] )で著変なかった。
2021年度に介護休業を取得した医師は、女性医師1人のみであった。
⑤両立支援制度の整備については、短時間正規雇用制度導入率40%台と院内保育施設の設置率30%台は著変なく、院内病児保育施設の設置も、新しく開設した病院は無かった。院内保育施設のうち、利用者が育児休業中でも預けられる病院は、全体の68%に留まった。
育児休業中に上の子を院内保育施設に預けられない病院もあるため、今後に備えて早めの制度見直しをご検討ください。
研修医・専攻医など若い世代の医師が多く勤務する新・鳴滝塾の16病院については、すべての16病院に子育て中の医師が勤務しています。短時間正規雇用制度・院内保育施設・院内病児保育施設の整備が進んでいない病院は、職員の定着、若い世代に選ばれる病院になれるようにご検討ください。
⑥2022年4月から改正された育児介護休業法が段階的に施行されるため、その内容の認知度について設問した。「育児休業を取得しやすい環境整備・個別の周知・取得意向確認措置の義務化、有期労働者の育休取得条件緩和が課せられることを知っていますか」の問いに対して、11病院(10%)が知らないと回答、「出生時育児休業(産後パパ育休)の創設、男性は最大4回に分割した育休を取得可能になることを知っていますか」の問いに対して、21病院(19%)が知らないと回答。
育児休業取得希望者が出た時に、迅速な対応ができるように、特に新・鳴滝塾16病院はご準備ください。
今年度の調査では、男性医師の育児休業取得数や、離島で働く女性医師数が徐々に増えてきていることがわかりました。センターでは、これからも長崎県内で働くすべての医師が、イキイキと仕事と生活の両立ができるように「あじさいプロジェクト」活動を推進していきます。特に2022年度からは、医師の仕事と子育ての両立を応援する「長崎医師保育サポートシステム」事業を、県内全域に展開したいと考えていますので、利用希望の医師は、センターへお問い合わせください。
調査の貴重なデータは、長崎県の医療のために活用いたします。ご協力いただきました病院の皆様、ありがとうございました。