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男性の育児休業取得編-(3)『第2子が生後2週のときに2週間取得』北村 哲生 先生

2019.11.25

私たちのワークライフバランス実践術 No.19-③
男性の育児休業取得編(3)
長崎大学病院 心臓血管外科(助教) 北村 哲生 先生(30代)

<専業主婦のパートナーと2人のお子さん(3歳、2か月)>
『第2子が生後2週のときに2週間取得』
2019年11月25日インタビュー

令和元年度(2019年度)に長崎大学病院で育児休業を取得した男性職員は、過去最多の6名です!
そのうち、医師2名は同じ診療科ということで、教授・医局長・育児休業を取得した男性医師へ緊急インタビューを行いました。

Q1. 男性でも育児休業が取得できるということを、いつ頃からご存知でしたか。

A1. 制度は以前から知っていましたが、大学病院でも取れるというのは、三浦医局長から勧められて初めて知りました。

Q2. 育児休業取得のタイミングと期間は。

A2. 第1子(3歳)の幼稚園など生活があるので、妻は里帰りをしなかったので、第2子が生まれてすぐは、妻の母が2週間手伝いに来てくれました。その後の2週間は、私がバトンタッチして育休を取得しました。

Q3. ご家族の反応はいかがでしたか。

A3. これまで休暇の約束をして、取れなかったことがあったので、育休取得はぎりぎりまで妻に伝えませんでした。申請の手続きのために出産1か月前くらいに伝えると、すごく喜んでいました!

Q4. 周囲(他の医局員、他の診療科の医師など)から反応はありましたか

A4. 休業前にあまり公にしていなかったので、「最近いなかったね。育休取ったの、へぇ~?!」という感じでした。三浦医局長から「ぜひ取得して!」と後ろ盾があったので、その言葉に助けられました。

Q5. 休業中の家事と育児の役割・パートナーとの分担はどのようにされていましたか。

A5. 主に第1子の世話、掃除・洗濯、食事、買い物や、外に出かける用事は私がしました。日中は、赤ちゃんが泣いたら抱っこしたり、オムツを替えたりして、夜は、私は休みました。義理の母ほど色々できませんので、自分ができそうなことを主に担当して、特に日中は妻に休んでもらいました。

Q6. 印象に残るエピソードはありますか。

A6. 第1子が生まれた時、妻は1か月ほど里帰りをしたので、新生児を抱っこする機会はありませんでした。第2子は抱っこできたので、印象的でした。
幸か不幸か、第1子が熱を出してしまい、看病が大変だったので、私が休みで対応できて良かったですね。私の育休が終わると、妻は子ども2人の世話で大変だったようです。

Q7. 育児休業を取得して良かったと思いますか。

A7. 大変助かりました。妻も、医局員の先生方に大変感謝しています。次も機会があれば、許される限り、取得したいです!

Q8. 育児休業を取得して感じるプラス面・マイナス面はどんなことですか。

A8. 母親の大変さがわかって良かったです。職場の方に、迷惑をかけることがマイナス面ですけど、家族にとってマイナス面はないと思います。

Q9. 育児休業取得の経験は、今後の生活・仕事面に生かされると思いますか。

A9. 家庭生活では、疲れて自宅に帰っても、汚れたお皿が残っていたら、頑張って洗おうと思うようになりました。以前はしていませんでしたが、「子どもが2人いると無理だな~」と育休を取って実感しました。

Q10. 他の診療科にもお勧めしたいですか。

A10. 取得できるのであれば、ぜひ取得してほしいです。うちの診療科は、講師をはじめとして、チーム制で協力してくださる所が大きかったです。

Q11. 育児休業取得に関心のある男性に、アドバイスできることはどんなことですか。

A11. きつくて休みたいのは、だれでも一緒で、「妻はもっと大変だろうな」と、自分は思うようにしています。

Q12. 今後、長崎大学病院の中で、男性の育児休業取得が普及し、常態化していくには、何が必要だと思いますか。

A12. 診療科内の協力と理解だと思います。今回は、上司である三浦医局長が中心となって動いてくださったことが、育休を取得できた一番の要因ですが、『自分たちだけでは声を上げにくい』のが現状だと思います。

  

<パートナーにお尋ねします>

Q1. 父親の育児休業取得は、いかがでしたか

A1. 良かった!第1子の幼稚園の送迎や家事全般を産後すぐに行うのはとても大変です。第1子が幼稚園に行っているため、休ませて実家に帰ることも難しく、また実家の母も働いているため、ずっと母に来てもらう事もできないので、助かりました。

また、少しの間、家族が集まって日常生活が送れた事で、私も第1子も『心の安定』につながったと思います。夫の育休中は、第2子の育児に専念できました。
以前から「無理しなくていいよ」と言ってくれましたが、育休後は、より一層、家事ができていない部分をサポートしてくれたり、できていない事を責めたりはしなくなったと思います。

Q2. パートナーの育児休業取得にあたり、何か心配なことはありましたか

A2. 育休中に担当患者さんや同僚の先生に負担をかけてしまわないか、心配でした。

Q3. 日頃の家事や育児で苦労されていること、工夫されていることはどんなことですか

A3. 夫が忙しいので、ワンオペ育児になっていますが、その分、適当にさぼったりしながら、なんとか過ごしています。ただ、産後の不安定なメンタルも影響しているのか、第1子と言い争う事も増え、自分の怒りのコントロールが課題です。
夫が居てくれたら、怒りすぎている時のストッパーになってくれたり、叱る役目を代わってくれるのになと思う事があります。

Q4. 育児休業後のパートナーの家事や育児への関わり方には満足されていますか

A4. 夫とは1週間のうち、ゆっくり話したり、育児に参加してもらえる時間が1回程度なので、満足とは言い切れませんが、それは仕方ありません。帰ってから、お皿をたまに洗ってくれたりするのは、感謝しています。

Q5. 今後、日本社会で、男性の育児休業取得者が増え、家庭への参画を進めていくためには、どのような男女の意識変革が必要だと思われますか。

A5. 『男性が育休を取る事が、夏休みを取る事と同じくらい、当然の事』となれば良いと思います。

Q6. 他にご意見などございましたら、お知らせください。

A6. 勤務の性質上、事前に育休の日にちを申請しなくてはいけないのは、仕方ないのかもしれませんが、出産は何があるかわからず、早産や予定日超過もあるので、産まれた時点で休みの希望を申請できたら、もっと良いなと思いました。

この度は、育休を取得させていただき、本当にありがとうございました。育休のため、協力してくださった同僚の皆様、ご理解くださった患者様、関係者の皆様に感謝の気持ちで一杯です。

<センターより>
2019年、心臓血管外科の男性医師2名が育児休業を取得されました。長崎大学病院では、男性医師の育児休業取得は、2010年に1名取得してから9年ぶり、男性職員の育児休業取得は2016年に3名取得してから3年ぶりとなりました。

なぜ、超多忙な診療科で、男性医師の育児休業取得が実現したのかを探るため、インタビューをお願いしました。わかったことは、教授・医局長に、「育児の共有に対する理解がある」ことでした。若い世代の考えは柔軟でも、職場の雰囲気や管理職の意識は変わらず、現場でのギャップに戸惑うという声も耳にします。

本院の心臓血管外科は、管理職がしっかりとした男女共同参画の意識をもって、日常的に忙しい医局員に、ライフイベントに合わせて休暇を取るように推進されていました。そして、育児の共有を経験した2名の男性医師は、育休取得はプラスでしかないと、断言しています。

パートナーも、育休を取ってくれて良かった、周囲に感謝したいというお気持ちです。 育休制度を利用すると、素晴らしいワーク・ライフ・シナジー(相互作用)が生まれるようです。
ぜひ、男性の育休取得を職場内で推進してください!

●共働き子育て経験のある教授 江石清行先生インタビュー

●共働き家庭で育ち、現在共働き子育て中の医局長 三浦崇先生インタビュー

●第1子が生後6週のときに2週間取得 谷川陽彦先生インタビュー