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『共働き家庭で育ち、現在共働き子育て中の医局長』 三浦 崇 先生

2019.11.18

私たちのワークライフバランス実践術 No.19-②
共働きの上司が勧める「育児の共有」
長崎大学病院 心臓血管外科(講師・医局長) 三浦 崇 先生(40代)

<循環器内科医のパートナーと1歳のお子さん>
『共働き家庭で育ち、現在共働き子育て中の医局長』
2019年11月18日インタビュー

令和元年度(2019年度)に長崎大学病院で育児休業を取得した男性職員は、過去最多の6名です!
そのうち、医師2名は同じ診療科ということで、教授・医局長・育児休業を取得した男性医師へ緊急インタビューを行いました。

Q1. 男性でも育児休業が取得できるということを、いつ頃からご存知でしたか。

A1. 数年前から、ニュースで話題になっていたので知っていました。佐世保中央病院の心臓血管外科の先生が育休取得したことも聞いていました。

Q2. なぜ育児休業取得の促進を考えられたのですか

A2. 私の両親は、共働きの教師でした。働く女性の大変さは母を見てわかっていて、男女平等に、できれば男性も育児に携わることは大事だと思っていました。

母は家庭科の教師だったので、「男も台所に立たないといけない」とよく言っていましたね。そんな記憶もあり、北村先生と、谷川先生にお子さんが生まれるという話を聞いたので、私から教授に育休を取るのはどうでしょうかと朝のカンファレンスで提案しました。が、江石先生は前から考えられていたようです。

Q3. 医局長として、どのような苦労がありましたか

A3. やはり、当直表のやりくりですね。うちの診療科は人数が少ないので、大学と外勤の当直の調整は少し大変でした。

育休に入る前の時期に、当直を少し多くしてもらいましたが、本人たちも、しょうがないか、と思っていたようです。育休から戻った後は、特に当直回数の調整はしていません。

Q4. 医局長としていつ頃から、どのように業務の調整を行いましたか

A4. 育休取得希望の約2か月前に総務課へ連絡して、手続きの説明と申請をお願いしました。当直表は1か月前に作るので、その時点で調整して、うまくいきましたね。

Q5. 実際に、医局員が取得してみて、先生の感想はいかがでしたか。

A5. 本人たちは、貴重な経験ができ、育児の大変さがよくわかったようです。夜は3時間ごとに起きて授乳が必要で、眠れない大変さなどを、肌で感じてきたようですよ。 

Q6. 先生の周囲(ご家族や他の医局員、他の診療科の医師など)から反応はありましたか。

A6. 他科の女性医師から「画期的ですね!うちの科はまだ、いないんじゃないかなぁ。」と言われました。妻からは、「自分は取らずに・・・。」と言われました。妻は育休を取って欲しかった、ということですよね。

(南副センター長)江石教授は、三浦医局長の育児休業取得についても、調整がつけば、取得していいのではと話されていましたよ。次回機会があれば、ご自分で調整して、ぜひ育休を取得してください!

Q7. 育児休業を取得した男性の先生に、変化がありましたか

A7. 早く帰宅して、夫婦で育児をする姿勢がみえますね。谷川先生は「僕が抱っこしたほうがよく寝る」と楽しそうに言っていましたからね。

Q8. 他の診療科にもお勧めしたいですか

A8. ぜひ!うちの診療科でもできましたから、業務の調整次第です。うちの科は、当直は40代の私まで入れて8人で担当するので、育休中は7人で担当していました。
うちより当直人数が多い科であれば、育休を取得させる人員的余裕はあるように想像できます。当科では、この先もできるだけ育休取得を推奨していきたいと思います。

Q9. 今後、長崎大学病院の中で、男性の育休取得が普及し、常態化していくには、何が必要だと思いますか。

A9. 1人ぐらい抜けたって何とかなるさ、という雰囲気が大切だと思います。若い先生たちには、「1人抜けてむしろチャンス、執刀の機会が増える!」みたいに捉えてほしいです。

また、2018年から当院で最初に導入された「診療看護師」の存在はすごく大きかったです。医師は手術に集中でき、術後の病棟管理は診療看護師がカバーするので、医師1人が抜けても大きな変化はありませんでした。その点でも育休取得が可能な良いタイミングだったと思います。

さらに若い先生は執刀の機会が増えたので、結果的に「一石二鳥」でした。手術に特化した科は、医師は少なく、むしろ、科所属の診療看護師が多い方がうまく回るのかもしれません。

最後になりますが、上司の理解と、男性の育休取得を『当たり前』の感覚にすることだと思います。ミレニアル世代と仕事をするうえでは、これまで以上に考え方を柔軟にすることも大切だと思います。

<センターより>
2019年、心臓血管外科の男性医師2名が育児休業を取得されました。長崎大学病院では、男性医師の育児休業取得は、2010年に1名取得してから9年ぶり、男性職員の育児休業取得は2016年に3名取得してから3年ぶりとなりました。

なぜ、超多忙な診療科で、男性医師の育児休業取得が実現したのかを探るため、インタビューをお願いしました。わかったことは、教授・医局長に、「育児の共有に対する理解がある」ことでした。若い世代の考えは柔軟でも、職場の雰囲気や管理職の意識は変わらず、現場でのギャップに戸惑うという声も耳にします。

本院の心臓血管外科は、管理職がしっかりとした男女共同参画の意識をもって、日常的に忙しい医局員に、ライフイベントに合わせて休暇を取るように推進されていました。そして、育児の共有を経験した2名の男性医師は、育休取得はプラスでしかないと、断言しています。

パートナーも、育休を取ってくれて良かった、周囲に感謝したいというお気持ちです。 育休制度を利用すると、素晴らしいワーク・ライフ・シナジー(相互作用)が生まれるようです。
ぜひ、男性の育休取得を職場内で推進してください!

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