私たちのワークライフバランス実践術 No.22-②
男性の育児休業取得編(7)
長崎大学病院 事務部人事企画課(課員) 東谷 悠 さん(30代)
<専業主婦のパートナーと10か月のお子さん>
『第1子が生後6か月のときに4か月取得』
2019年12月8日インタビュー
2019年~2020年上期までに、長崎大学病院の事務部から3名の男性職員が育児休業を取得されました。
Q1. 男性でも育児休業が取得できるということを、いつ頃からご存知でしたか。
A1. 2018年頃。現職に就いて職員の休暇関係の業務に携わる事で知りました。大学病院は女性の看護師さんの育休取得が多いので、産休育休の制度を調べているうちに、男性も取れることを知りました。
Q2. 育児休業取得のタイミングは。
A2. 育休は第1子が生後6ヶ月の頃に4か月取得しました。きっかけは妻と育休について話し合って、妻の希望もあり、また同じ課内に育休を取得した男性(村川さん)がいたことの影響は大きかったですね。
折角の機会だし、前例より長く取得しようと思いました!課内の皆さんは理解してくれる雰囲気がありました。おかげで、コロナ禍でしたが、実家(他県)に帰省することができました。
Q3. ご家族の反応はいかがでしたか。
A3. 非常に良かったです。妻も、お互いの両親の反応も良かったです。
Q4. 周囲(他の医局員、他の診療科の医師など)から反応はありましたか。
A4. 前例ができていたので、課内ではそれほど大きな驚きはなかったと思います。上司の大嶽主査からは「頑張ってきて!!」と、理解を示してくださり嬉しかったです。他課の知り合いには驚かれたりもしましたが、皆さん好意的な反応でした。
Q5. 休業前の仕事の調整は大変でしたか。
A5. 大変でしたが、課内の皆さんの協力で何とかなりました。今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の対応で突発的な業務が増え、私が休んでいる間に1人の非常勤職員が増員されていました。
私の4か月という、まとまった期間の休職が、増員の決め手になったようなので、判断がしやすく職場にとって良かったのかもしれません。
Q6. 休業中の家事と育児の役割・パートナーとの分担はどのようにされていましたか。
A6. 私は、食事・お風呂・ミルクで、妻は、洗濯・掃除です。それ以外は特に分担を決めず、お互いがやるようにしていました。子どもが生まれる前から、週末の食事作りはなるべくやっていました。今は平日でもできる限り作っています。朝から仕込んだり、週末に作り置きをしています。
Q7. 印象に残るエピソードはありますか。
A7. 子どもが「初めて○○した」という瞬間に立ち会えたことです。初めての寝返りは妻が撮影した動画で知ることとなり、立ち会えずに残念でしたが、初めての掴まり立ちやハイハイなどの瞬間は、妻と一緒に見ることができて本当に嬉しかったです。
Q8. 育休を取得して良かったと思いますか。
A8. 良かったです。正直もっと長く取りたかったですね。
Q9. 育休を取得して感じるプラス面・マイナス面はどんなことですか。
A9.プラス面は、子どもと密に接する時間があること、妻の育児・家事負担の軽減ができたことです。
マイナス面は、育休中の私の仕事が他の人の負担になること、育休期間が長いほど、復帰して勘を取り戻すまでに時間がかかることだと思います。
Q10. 育児休業取得の経験は、今後の生活・仕事面に生かされると思いますか。
A10. 生活面は、自分一人で子どもの面倒を見るときの不安がなくなると思います。仕事面は、まだ復帰したばかりなので、思い当たりません。
Q11. 育児休業取得に関心のある男性に、アドバイスできることはどんなことですか。
A11. 育休取得をお勧めしたいです。生まれてからお母さんは授乳など本当に大変です。育児の負担や悩みを一番軽減・共有できるのはお父さんです。
「授乳以外はお父さんでも出来る」という言葉を聞いてから本当にその通りだと思います。妻や子どものためにも、積極的に育児を行って欲しいです。おむつ替えも、お風呂も、全然出来ますよ。
Q12. 今後、長崎大学病院の中で、男性の育児休業取得が普及し、常態化していくには、何が必要だと思いますか。
A12. 常態化するには、『男性の育休が義務化されないと厳しい』と思います。しかしながら、まずは『各職場で男性の育休取得も当たり前という意識』が必要だと思います。
「イクメン」という言葉もありますが、これは男性の育児参加・育休取得が珍しいという意識が根底にあるからで、私は恥ずかしく思います。「イクメン」という言葉が必要ないほど、当たり前のことになってほしいです。
<パートナーにお尋ねします>
Q1. 父親の育児休業取得は、いかがでしたか。
A1. 良かった!授乳トラブルがあり、たびたび病院へ行ったり、現在は断乳のため助産院に通院しています。子どもを連れて行くこともありますが一人で行くこともあり、その際、自宅で子どものお世話をしてもらえたので、本当に助かりました。
Q2. パートナーの育児休業取得にあたり、何か心配なことはありましたか。
A2. 金銭面が心配でした。育児休業給付金が支給されたので賄えましたが、経済的に余裕がないと厳しいと思いました。
Q3. 日頃の家事や育児で苦労されていること、工夫されていることはどんなことですか。
A3. 子どもの自己主張が強くなってきているので、何を求めているのかわからないこともあり、初めての育児は難しいなぁと思います。
Q4. 育児休業後のパートナーの家事や育児への関わり方には満足されていますか。
A4. 満足しています。できるだけ、残業せずに早く帰宅しようとしてくれています。夕方になると私も疲れているので、ありがたいです。
Q5. 他にご意見などございますか。
A5. 『出産後、子どものことだけでなく、お母さんは自分のケアも大変』だと思います。
できるだけ多くのお父さんが育休を取得できるようにお願いします。
<センターより>
「子どもが生まれます」「生まれました」と話す男性職員に対して、上司や管理職の方が「育休取らないの?」と一声かけることで、当事者の意識も変わると思います。育休を経験することで、家事・育児について指示待ちにならない自立したパパとなり、家族生活の基盤がしっかり作られると思います。
●第1子が生後8か月のときに3か月取得 村川泰蔵さんインタビュー