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男性の育児休業取得編-(12)『育休+年休→在宅勤務、バーチャルスライドで子育てとの両立ガッチリ!』松岡 優毅 先生

2026.08.27

私たちのワークライフバランス実践術 No.35
男性の育児休業取得編(12)
長崎大学病院 病理診断科・病理部(助手・医局長)松岡 優毅先生(30代)

<救急医のパートナー(育児休業中)と双子のお子さん(9か月)>
『育休+年休→在宅勤務、バーチャルスライドで子育てとの両立ガッチリ!』
2026年7月27日オンラインインタビュー

Q1. 男性も育児休業が取得できることを、いつ頃からご存知でしたか

A1. 妻の双胎妊娠がわかってから、男性の育児休業があることを知って調べ始めました。
病院総務課が毎月行う「産休・育休前説明会」に参加して情報を得ると同時に、在宅勤務についても、上司や事務に相談しました。長崎大学の病理部門はバーチャルスライドを使って、標本にアクセスできる体制が構築されていたので、セキュリティが担保された状態で自宅から電子カルテにアクセスできるように、医療情報部にかなりお世話になって、準備していただきました。

Q2. 育休取得の期間ときっかけは。

A2. 2025年10月末に、子どもと妻が同時に退院して自宅に戻るタイミングで産後パパ育休を取得、そこから収入面も考えて年休を使用し、育休は月末含めて取得すると社会保険料は免除だったので(当時)、11月末~12月末まで2回目の育休を取得しました。残っていた年休と育休を合わせて約2か月間、育児にコミットできる環境を整えました。

職場の育児大先輩である女性医師から、「生まれて最初の1か月がとても大変な時期。しかも、双子だから、絶対!家にいないとダメ!」と強く勧められました。最初にラスボス2人登場から始まり、それが徐々に落ち着いてくるのか…とイメトレして、私が動ける状況にしておかないと、夫婦・親子で共倒れするかも…と思いました。

Q3. ご家族の反応はいかがでしたか。

A3.妻は、私が育休を取ることは想定内のようでしたが、職場に相談して、実際に取ることが確定したときは、嬉しそうでした。

Q4. 周囲(同じ診療科の方)から反応はどうでしたか

A4. 中島正洋教授は、とても理解を示してくださり、すぐに了承して「育児に専念しなさい!」と送り出してくれました。育児経験が豊富でその大変さを共感してくださる先輩医師がいたことも育休取得や在宅勤務を考えるきっかけになりました。

こうした職場の協力があったからこそ、今の生活、在宅勤務が可能になっています。仕事を任せて申し訳ないという強い呵責を感じることなく、育児に臨めるので、本当に感謝しています。

Q5. 休業前の仕事の調整は大変でしたか。

A5. 先輩や後輩の先生方に私の業務を分担してもらい、1か月前から準備段階に入り、いつ生まれても大丈夫な状況にしていました。産後パパ育休中、職場はおそらく大変だったと思いますが、皆さんでカバーしてもらい、ありがたかったです。

2026年1月から在宅勤務していますが、当初は週5日毎日在宅で、現在は週1日病院へ出勤し、他4日は在宅で病理診断業務や外勤も行っています。バーチャルスライドを使う遠隔診断システムを利用していますが、病院にいる後輩に、バーチャルスライドに標本を取り込む準備をしてもらう必要があります。院内の先生と電話でやり取りしながら、自宅から術中迅速診断も可能です。
院内PHSからの急な業務連絡も先輩等が対応してくれます。先輩にも後輩にもご理解いただき、お世話になりながら、現在の勤務形態を維持しています。

平日の昼間は、子どもの生活に合わせて、1日3回の離乳食の時間、寝かしつけなど、親2人がかりで双子の世話をする必要がある時間帯を確保して、それ以外の時間や、早朝や夜間など子どもの寝ている時間帯に仕事をして、時間を有効活用しながらフレキシブルに生活をしています。

毎日通勤することは、県外在住のため自分も家族も大変ですし、完全に休職すると家計や職場にも負担がかかるので、現在の働き方は、双方にとって理想的と言えるかわかりませんが、私たち家族にとっては、とてもありがたいです。

Q6. 育休中~現在の、家事と育児の役割・パートナーとの分担はどのようにされていますか。

A6. 現在は妻が育休中のため、子どもと接する時間が多く、手の回らないことを見つけて、妻の負担を軽減している感じです。家事・育児共に、できないことはありません。離乳食作りもできますよ!

Q7. 印象に残るエピソードはありますか

A7. 出産後1-2か月頃に妻が体調を崩しました。私が産後パパ育休を取得し、家にいたことで、どうにかやりくりできました。もし、休んでいなかったらどうなっていたか…。先輩女性医師のアドバイス通りでした。家族のために育休について調べて準備・申請していて、本当に良かったと思いました。

Q8. 育休を取得して、在宅勤務にして良かったと思いますか。

A8. 前項のエピソードもですが、2027年度は妻も復職する予定です。保育園に通い始めると、病気になり親が看病で休む必要が出てくる話も聞いているので、私はしばらく在宅勤務を続け、週2日出勤にするなど、上司・現場スタッフと相談しながら調整したいと考えています。

Q9. 育休を取得して感じるプラス面・マイナス面はどんなことですか。

A9. プラス面は、子どもたちの成長を日々近くで見ることができるのは、本当に良かったです。育児を一通りできるようになったことも良い経験だと思っています。

私自身のマイナス面は、特に感じないですね。専門医を取得した後なので、症例が不足する不安なども感じなくてよかったです。一般的には、長期間休職すると、現場感の低下を不安に感じることや、周囲への罪悪感などがあると思います。2か月程度であれば、現場の感覚を失うことはありませんでした。
職場の先生方への業務分担による負担についても、病理の専門医は少ない状況で、先輩・後輩共に負担をかけていることは事実ですが、お子さんがいる先生も多く、育児に関してすごく理解がある状況でした。
今後、同じ状況になった時に相互サポートできる環境づくりができているという点では、自分も貢献できると思うのでマイナスとは感じません。

Q10. 育児取得や在宅勤務の経験は、今後の生活・仕事面に生かされると思います

A10. 今回の経験は、長崎における病理医としての働き方の1つとして是非多くの方に知ってほしいです。
また、長崎県は特に離島地域において、バーチャルスライドを使った遠隔診断システムの体制を整えると、医療サービスの提供に有用だと思います。

育児は長く続くものなので、出勤でも在宅でも持続可能な働き方ができる環境が整備されると良いと思います。
医師の働き方改革も、時間外労働の上限規制だけではなく、今後は勤務形態などの検討項目が増えていくと良いですね。

Q11. 現在長崎大学病院に勤務する男性医師の育休取得率は50%前後ですが、今後100%に近づけるには何が必要だと思いますか

A11. 家庭においては、夫の育休期間中のタスクが明確化すると、妻から「育休を取ったのに夫は何もしなかった…。」と揶揄されることは無いかもしれませんね。

仕事においては、出産後1-2か月が大変であることを当事者も周りも知って、職場にバックアップしてもらい、計画的に業務を育休前から調整していくと良いと思います。その点では職場の全面的な理解が必須だと感じています。

<センターより>
愛する妻と子ども達のために…。双子の子育ての大変さを予想して、早い段階からしっかり準備を行い、綿密に計画を立てられました。それを職場に周知され、周囲の理解と協力を得て、出産予定1か月前までには仕事の調整を終えて、お子さんの誕生を迎えたという松岡先生。そこから2か月間は家族のお世話に集中して、さらに、ご自身の育休明けの勤務形態を在宅勤務に切り替えて、復職されました。

長崎大学病院で3人目となる在宅勤務医師となりますが、現在のネット環境を考えると、在宅勤務体制がさらに整備・拡大されて、理由に関わらず、必要に応じて在宅勤務を選択できるといいですね。

長崎大学病院の病理診断科・病理部は、以前よりバーチャルスライドシステムが導入されていますが、手術や生検などのすべてのスライドを取り込むのは長崎大学だけで、全国的に先行している状況があるため、今回の在宅勤務が可能となっています。この恵まれた環境がある長崎で、病理医として勤務することを選んでくれる医師が増えるといいですね。

育児休業取得に関しては、まずは管理職の理解、職場の理解、制度を理解(社会保険料免除の要件など)、そして夫婦で早くから計画を立てて、周知して、スムーズに職場も家庭も育休期間を迎えることができるような「計画育休」を推奨いたします。

●病理診断科(教授)中島 正洋先生インタビュー