新着情報・コラム

  • 私たちのWLB実践術

男性の育児休業取得編-(6・7)上司の声 事務部人事企画課主査 大嶽 有史 さん

2020.11.13

私たちのワークライフバランス実践術 No.22-③
男性の育児休業取得編(6・7)上司の声
長崎大学病院 事務部人事企画課(主査) 大嶽 有史 さん(30代)

2019年~2020年上期までに、長崎大学病院の事務部から3名の男性職員が育児休業を取得されました。

Q1. 男性でも育児休業が取得できるということを、いつ頃からご存知でしたか。

A1. 大学に採用された2005年度から人事系の業務に携わっていましたので、その当初から制度としては知っていました。

Q2. 人事企画課で2名の事務職員が2019年に3か月(村川さん)、2020年に4か月(東谷さん)の育児休業を取得されたそうですが、担当主査として、どのような苦労がありましたか

A2. 育休者が不在の間は他の職員の業務負荷が増えるので、その職員たちの業務面及び精神面のフォローを気がけました。今年は新しい就業管理システムの導入や、私自身が着任したばかりで要領を得て業務を調整する事がちょっと大変で、部下も疲れていましたね。

代替職員を雇えれば良いのですが、男性の育休期間は短いケースが多いので、数か月の雇用期間だと応募者がいないことが多いです。
そのため、募集方法を変え、学内の学生にアルバイト求人を行った結果、短期間でも優秀な学生が来てくれて助かりました。ちなみに私の課内では、グループLINEを任意で作って休暇等の情報を共有しています。今回のように育休者の業務で不明な点が出た時もLINEで相談して解決していました。

Q3. 実際に、事務職員が取得してみて感想はいかがですか?

A3. 事務部として育休を取りやすい環境を整備していく必要があると感じています。これは男女問わず言えることですが、部署内の人数が少ないためなど、周囲のことを気にして育休が取りにくくなることは避けなければいけません。
大学全体で女性職員の比率は増加傾向にありますし、育休を取得する可能性がある職員を把握したうえで、適正な人事配置を行えるのは理想的かと。

例えば、晩婚化が進み主査が育休を取得することがあるかもしれません。その場合は、部下にあたる主任に優秀な人材を配置したいと考えています。
性差によるハラスメントを避けるためにも、女性職員の皆さんに上位職(部長・課長・課長補佐・主査)へ昇任いただき、だれもが妊娠・出産・産休育休などを相談しやすい職場環境形成にご協力いただきたいです。

Q4. 課内の反応はありましたか。

A4. 課の職員の本心はわかりませんが、皆前向きに捉えて育休者を応援してくれました。部下には「いずれ自分自身も育休を取得してお世話になるかもしれないから、先行投資と思って業務に励んでいこう」とは伝えました。私の課内では、男性の育休取得は浸透してきていると思います。

Q5. 他の課にもお勧めしたいですか

A5. はい。是非取得してください。子どもは宝です。パパとママ両方で積極的に育児を行うことで夫婦生活も円満になると思います。

私自身はまだ独身ですが、育休は取る気満々です。そして、育休を取りたい男性職員は、『私と一緒に働こう!』とアピールしたいです。

Q6. 今後、長崎大学病院の中で、男性の育児休業取得が普及し、常態化していくには、何が必要だと思いますか。

A6. はっきり言って『休業期間中のお金の問題解決』です。
育休中は大学から給与は支給されません。その代わりに雇用保険から育児休業給付が本給の3分の2支給(子が1歳に到達する日の前日まで)されていますが、やはり生活していくには厳しいようです。

現在、女性のみが取得できる産後休暇(出産後8週間)の期間は100%給与支給されるため、『「出産育児休暇(仮称)」が男性でも取得できるようになれば、男性の育児参加が常態化していく』と思います。制度にこだわらず、男性が育児に参加できる環境を形成することが大事ですね。

あとは、『周囲の職員(特に上司)の意識改革』ですね。女性が育休を取得することに何も疑問を抱かないのに、男性だと「何で取得するの?(子育ては母親がするもの)」という意識は根強いです。

男性職員の皆さんには勇気を持って積極的に育休を取得していただき、男女問わず「子どもを授かる=育休を取得する」という意識の土壌形成にご協力ください。

<センターより>
大嶽主査が提案された「男性(父親)産休」は、新制度としての検討が厚生労働省で始まっています。男性も女性も、親として産休や育休を取得する数が増えれば、仕事の調整方法を組織として見直していく必要性が出てきます。

長崎大学ダイバーシティ推進センターで2017年に新設された「働き方見直し推進委員会」の委員でもある大嶽主査が、新しい働き方や人事システムを立案されることを期待します。
そして、管理職の皆さんにも、男性の育児参加への理解が浸透していくように、センターも頑張りたいと思います。

●第1子が生後8か月のときに3か月取得 村川泰蔵さんインタビュー

●第1子が生後6か月のときに4か月取得 東谷悠さんインタビュー

●第2子が生後3か月のときに2か月取得 事務部医事課主査 國弘遵さんインタビュー

●事務部事務部長 熊谷圭司さんインタビュー